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インタビュー
東宝 市川南氏

東宝 2016年の配給ラインナップを聞く

市川氏

 東宝は正月映画の『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』と『orange オレンジ』が大ヒットし、2016年も好調なスタートを切った。昨年12月には恒例のラインナップ発表会も行い、いずれも期待値の高い豪華32番組(来年の作品含め36番組)を揃えてみせた。

 近年の興行成績の安定感は言うまでもなく、今年も映画業界を牽引する作品群であることは間違いない。その内訳を見ると、テレビ局による豪華キャスト出演の話題作から、屋台骨とも言える定番のアニメシリーズ、挑戦的なアニメの新企画、『シン・ゴジラ』をはじめとする東宝幹事作品が並ぶ。東宝が従来から培ってきた各ラインが、さらに強化された陣容だと言えるだろう。

 今号では、市川南取締役(映像本部 映画調整、同映画企画各担当 兼 映画調整部長)に、昨年の総括と、2016年の各作品の概要について聞いた――。

15年は歴代4位の興収

――2015年は東宝にとってどのような年でしたか。

市川 おかげさまで良い年になりました。東宝の作品を選んでくださった観客の皆さん、作品を作ってくださった製作会社、劇場関係者、マスコミの皆さんに、この場を借りて御礼を申し上げます。年間興収は731億円、歴代興収は第4位となりました。1番良かった年は2010年の748億円で、2012年、2008年に続く成績でした。『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』の78億円、『バケモノの子』の58億5千万円のアニメーションをはじめ、『HERO』『進撃の巨人』『ビリギャル』といった実写と、それぞれポテンシャルを最大限に生かして、大きな数字になりました。公開した34本のうち29本が10億円を超えて、下回った5本も、3本が9億円台、1本が8億円台、1本が7億7千万円と、外さない力が東宝の配給部門についたと思います。それも、製作各社の皆さんから信頼を集めている点かもしれません。

――配給部門についた力とは、具体的に何でしょう。

市川 まずは良い作品ありきですが、次はそれを当てるための営業・宣伝です。宣伝は、製作委員会方式のメリットを最大限に活かし、あらゆるメディアを駆使してきめ細かく丁寧に宣伝していますし、コンセプト立案も宣伝プロデューサーたちがうまくなっていると思います。営業の方も、インシアターの宣伝はTOHOシネマズを中心に以前より強力な展開をしていますし、上映館数、上映週数を押さえることも、当社の営業が強いです。あとは、歩率を高くとれる点でも、製作会社さんにとって魅力的なのではないでしょうか。大ヒットが見込める作品の場合は、どの配給会社も高い歩率をとれますが、結果が今ひとつの時にも、当社の営業の強さが大きいと思います。

――2015年は新しいアニメの軸ができたと思うのですが、それについてはいかがですか。

市川 『妖怪ウォッチ』という太い柱ができ、細田守監督の新作『バケモノの子』が『おおかみこどもの雨と雪』を上回る成績をあげてくれたことで、宮崎駿監督が長編作品の制作から退かれた時期に、うまく対応できたような気がします。

――今後も、そういった柱にしていきたいアニメーションの監督やスタジオはありますか。

市川 細田監督の次の才能は誰なのか、我々もそうですし、各社が必死に探しているところだと思います。

――冒頭、年間興収が731億円だったとおっしゃっていましたが、例年、年末のラインナップ発表会時には、まず500億円を目安に話をしてらっしゃいます。しかし実際のところ、いまや700億円が目安になっているのでしょうか。

市川 作品次第なので、500億円の目安は変えていません。映画は水ものなので、どうなるかわかりませんので。

日テレ『海賊』が正月公開

――続いて今年のラインナップを、テレビ局作品、アニメーション作品、東宝幹事作品の3本柱で伺おうと思います。まずテレビ局ですが、日本テレビは大きな作品がありますね。

市川 『海賊とよばれた男』がありまして、現在撮影中です。『永遠の0』の百田尚樹さんの原作を、山崎貴監督、主演の岡田准一さんが再びそろって映画化し、お正月を飾って頂きます。

――『永遠の0』は東宝とアミューズの幹事作品でしたが、今回は…。

市川 『海賊とよばれた男』は日本テレビさんが単独で幹事をされています。

――原作権は争奪戦だったのではないですか。

市川 あまりに大作なので、各社がこぞって手を挙げるというより、日本テレビさんがいち早く押さえました。

――製作費はいくらでしょう。

市川 具体的な数字は発表していませんが、実写としては最高クラスですね。

――『ちはやふる』は上の句、下の句の2部作を公開されます。

全文は文化通信ジャーナル2016年2月号に掲載

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