
2009年春、TBSが夜帯ニュース「NEWS23」を30分縮小したのに伴い、23時30分から新たに深夜バラエティ枠「吉崎金門海峡」を創設。これをきっかけに、深夜のバラエティ番組は、未来のゴールデンタイムの卵として改めて注目が集まっています。従来のテレ朝23時枠も次々とヒット番組を生み出し、視聴率は軒並みゴールデン帯レベルを連発するという活況です。
にもかかわらず、深夜バラエティは俗に言う“下ネタ”も多く、一般的な世間の評価は決して高いとは言えません。そこで、当コーナーでは、NHK・民放問わず、23時台以降の番組を取り上げ、同種のバラエティ番組との比較などを通じて、その番組ならではの新たなポイントをマニアックに解説&レビュー。深夜バラエティの面白さ、素晴らしさ、意義を伝え、社会的地位の向上を目指します。本文中は敬称略。
シルシルミシル│
アナ★バン!│
飛び出せ!科学くん!│
にけつッ!!│
着信御礼!ケータイ大喜利おねだり!!マスカット│
リーダー's ハウトゥ Book│
志村屋です。│
笑撃!ワンフレーズ| シルシルミシル (10.07.19up) |
| 制作会社・局 | 制作/テレビ朝日 |
| キー局放送枠 | 毎週水曜23:15〜24:15 (08.10.08〜) |
| 出演 | くりぃむしちゅー いとうせいこう ほか |
| 構成 | 渡辺真也 町田裕章 北本かつら 興津豪乃 ほか |
| 演出スタッフ | ディレクター/藤本達也 堀池勝法 亀田剛 ほか チーフディレクター/小田隆一郎 |
| 制作スタッフ | プロデューサー/鈴木忠親 松本能幸 ほか ゼネラルプロデューサー/藤井智久 |
| 番組概要 | 「知って見て得するバラエティ」をテーマに、グルメから雑学まで、様々な情報を提供する情報バラエティ番組。当初は色々な「お初(はつ)」を紹介する雑学的要素が強かったが、最近は1つの「企業」を取り上げ、取材して紹介するコーナーをメインに据える構成となっている。 その街で一番古い「お初」のグルメを紹介するコーナーでは、レポートを担当するAD・堀雅哉氏が、独特なコメントでブレイク。mixiではコミュニティが立ち、ついには本を出版するまでになった。同番組で細かな作業を担当する権田氏、テレ朝「お願い!ランキング」でちょい足しグルメを担当する中尾氏など、番組に出演する名物ADのパイオニア的存在。 |
真逆のいじり対象という快感
「情報バラエティ」というジャンルは、文字通り情報を分かりやすく楽しく伝える番組として理解されてきた。そのため、いわゆる「情報番組」が「バラエティ番組」に擦り寄ってくる類のものが多い。しかしこの番組は正反対。「バラエティ番組」が「情報番組」に擦り寄ってくることによって、全く新感覚の「情報バラエティ」を確立している。
番組はVTR中心。男性による低音のナレーションが淡々と読み上げられ、一聴真面目に情報を伝えてくれるように思える。しかし、その声の主はピン芸人「バカリズム」。淡々と読み上げながら、取り上げた企業・店舗にさりげなく失礼な言葉を吐き、その絶妙ないじり加減が笑いを誘う。 現場のディレクターは、取材先の担当者が少しでもいい加減なことを言って流そうとするものなら、とことん追求。語句の言い間違いなどは待ってましたとばかりにテロップで強調する。ただでさえテレビ取材で緊張している一般の方々を追い込み、そこで生まれたミスやハプニングをいじる姿勢が徹底しているのだ。これが最もよく表れるのが視聴者プレゼントを“せびる”シーン。相手方が自発的に用意するプレゼントに「なめられたものだ」と失望したと見せかけて担当者にプレッシャーを掛け、その場の勢い・テンションで豪華プレゼントを獲得していく様子は番組の名物となっている。 一方で、「食べ歩き」企画で一躍有名となったAD堀君にはなぜか優しい。取材先の一般の人には厳しく接する態度が一変、ボキャブラリーの少ない食後の感想など、むしろこちらの方が「ミス」の多い一ADに対しては、できるだけのフォロー。どんなに無茶苦茶なコメントをしても「斬新だ!」などと無理やり褒め称える。 このように、常識で考えるフォローすべき相手と、すべきではない相手が真逆になっている。その状態が不思議な快感を生み、実にシュールなVTRが出来上がってくる。この構図は、通常の番組では的確な突っ込み役に回り、同番組ではスタジオで「ご意見番」としてレギュラー出演している、いとうせいこう氏を「チェリーボーイ」などといじり倒す関係性からも、よく見て取れる。
そうでありながら、きちんと「情報」を提供してくれるのがこの番組の凄いところ。番組開始当初は、十数人のおじさんたちに野茂英雄投手のトルネード投法にチャレンジさせて、その滑稽な姿を楽しむといった、なんの知識にもならないバラエティ色100%のコーナーも点在していたが、「食べ歩き」では美味しそうなお店を紹介してくれるのはもちろん、視聴者が知りたいことを調べてくれる「すぐ調べる課」、同じく視聴者が必要ないのでは?と思うことを仕分けしてくれる「アレっていらないんじゃないの?」などためになるコーナーも。 「すぐ調べる課」では、時折簡単な質問をわざわざ取り上げて「ネットで調べれば分かることだから聞かないでくれ」と視聴者を晒し者にするような場面があったり、「アレっていらないんじゃないの?」では、仕分け人・蓮舫に扮するオアシズ・大久保さんの一挙手一投足をフォーカスしがちで、情報のポイントからはずれているものの結論はきちんと導き出し、メインコーナーの脇をしっかり固める。
こうして7月からはついにゴールデンタイムにも進出。W杯勝敗予想のパウル君がブームになる直前にADがタコを飼育する様子を伝えるコーナーを開始するなど、運をも味方につける、今最も勢いを感じる番組だ。
| | 勝手な要望 | ●前述の通り7月からゴールデンタイムに進出。日曜19時という極めてファミリー向けの時間帯ながらも、深夜と変わらぬテイストでスタートしている。しかし通常のゴールデン進出と違い、深夜も並列での放送。「企業」という無数のテーマを扱う番組ではあるものの、当然のことながら「ネタ切れ」の不安は拭い切れない。一方で、次々に新たなコーナーを開発している面もあるので、両立に期待。
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| アナ★バン! (10.04.26up) |
| 制作会社・局 | 制作/フジテレビ |
| キー局放送枠 | 毎週日曜24:40〜25:05 (08.10.19〜) |
| 出演 | 山中章子(フジテレビアナウンサー) ほか |
| 構成 | 板坂尚 金森直哉 大井達朗 萩原和江 |
| 演出スタッフ | ディレクター/宮崎鉄平 熊澤美麗 次郎垣内保 演出/飯村徹郎 |
| 制作スタッフ | プロデューサー/清水泰貴 チーフプロデューサー/清水宏泰 石井浩二 |
| 番組概要 | フジテレビアナウンサー76名の隠れた才能、新たな一面、さらには未知なる可能性を発掘すべく、アナウンサー自らがさまざまなロケ企画に挑戦し、その才能を開花させ爆発(BANG!)していく番組。新人の山中章子アナ扮する“章子おねえさん”が、オリジナルキャラクター“太陽さん”とVTRを見て進行するというスタイル。子供向け番組のテイストで、先輩アナウンサーの奮闘を新人アナが上から目線でコメントするのもミソ。 |
従来にない2つの“新鮮さ”
“女子アナ”という言葉を産み出したフジテレビだけあって、アナウンサーをメインに据えた番組は他局よりも進んでいる。期末期首の「アナウンサー特番」は各局やっているが、レギュラーでこの類の番組を編成しているのはフジ以外に見当たらない。アナウンサー個人の知名度が際立って高いために実現する番組だが、ここには従来のアナウンサー番組には見られない2点の新鮮さがある。 1点目はこれまでにないアナウンサーのいじり方。普段バラエティ番組では進行に従事するアナウンサーたちは、例えいじられても企画の本筋までには至らない。しかし、ここでは体を張らせ、恥をかかせるのが日常茶飯事。サラリーマンと言えどもアナウンス室に突然登場する「太陽さん」に指令を与えられ、従わなければならない。 4月18日深夜の放送では、以前放送された女子アナ4人のゴルフ対決で、マナーの悪さを指摘するという企画を放送したが、中村仁美アナのマナーの悪さが際立つ結果に。他人のプレーを邪魔したり、はしゃいだりと、事前にマナーを争うことを知らなかった中村アナのお行儀の悪さがトコトン晒される。「ヘキサゴン」では“おバカタレント”のおバカ回答を笑い、「爆笑レッドカーペット」では次々に繰り出される芸人のショートネタに時には呆れ、おまけにお茶の水女子大卒というしっかり者であるはずの中村アナだけに、いじればいじるほど面白さが増す。こうしためったに見られない光景にお目にかかれるのだ。
もう1点は「タメ語」。ニュースの原稿読みはもちろん、バラエティでもタレントをお迎えする側であるアナウンサーはめったに「タメ語」を話すことはない。これはアナウンサー同士であっても。言葉のプロである彼らは、仕事上は最も美しい日本語を話すことをインプットされているためだ。 それがこの番組では、何か“たが”が取り払われたかのように、「タメ語」が解禁される。それはまさにアナウンス室のオフィス感覚で、あだ名までがポンポン飛び出す。こうなってくると、いじられ慣れていないはずのアナウンサーたちも自然と企画にはまり、下手をすれば「仕事」を忘れて普段の番組とは違う新鮮なハイテンションぶりを次々と見せてくれるようになるのだ。
この2つの新鮮さをより引き立てるに大きな役割を果たしているのが、山本麻祐子アナのナレーション。いじられまくり、「タメ語」でテンションが上がっているアナウンサーたちに対し、低音でローテンションなナレーションが効果的に響く。まるで仕事を忘れてしまったアナウンサーたちをたしなめるように。このひまわりと月見草のような絶妙なバランスが、この番組の独特の世界観を作りだすのに大きく貢献していると言える。
前身番組の「アナ☆ログ」(08年4月〜9月)は主にスタジオでのひな壇トークが中心だったが、「アナ★バン!」では積極的にスタジオを飛び出してロケを展開。これが、今までに見れない新鮮なアナウンサーの姿をより映し出すことに成功している。 また、番組発の商品開発・イベントも積極的に実施。番組からの自然な流れで展開されるため、嫌味を感じさせない。放送外収入の獲得が求められる昨今、こちらの面でも優良な番組となっているようだ。
| | 勝手な要望 | ●日曜深夜という極めて在宅率の高い時間の編成はめったに見逃すことのない絶好時間帯だが、F1シーズンに入ると深夜2時くらいの放送になってしまう。いくらなんでも週明けの仕事前にこの時間は厳しいので、何か上手い折衷案は無いものか。
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| 飛び出せ!科学くん (10.03.04up) |
| 制作会社・局 | 制作/TBS |
| キー局放送枠 | 毎週月曜23:30〜23:55 (09.04.06〜) |
| 出演 | 田中直樹(ココリコ) 中川翔子 ほか |
| 構成 | シマダ秀樹 今村クニト 武田郁之輔 |
| 演出スタッフ | ディレクター/宮下賢治 黒澤寛 細田和也 足立原円香 総合演出/保津章二 |
| 制作スタッフ | プロデューサー/樋江井彰敏 |
| 番組概要 | 動物をはじめ、自然、科学、歴史、人体の神秘など地球の不思議に迫る“地球の大自然と生き物たちの素晴らしさを全身で感じていこうという番組”(番組冒頭ナレーションより)。その通り、メインの2人自らが体を張って全身で感じている。 動く人体模型の番組キャラクター「科学くん」は、ほぼアシスタント状態。一見グロテスクながらも愛嬌ある動きで次第に親しみが沸いてくる。 |
2つの専売特許を奪った!?
「科学」を取り上げる番組はNHK教育テレビの専売特許だったが、これにバラエティ要素を加えて見せるのが民放の腕の見せ所。科学は学問の一つであるものの、実は面白いテーマであることをいかにプレゼンテーションするか。このパイオニア的な存在である日本テレビ「所さんの目がテン!」の成功で、様々な“科学バラエティ番組”が制作されるようになった。それらは「科学に関して無知の人が専門家に学ぶ」というコンセプトが大半で、子供から大人まで誰でも楽しめる作りに重点が置かれていると言える。
しかしこの番組はそうしたコンセプトから大きく脱却している。メインのココリコ・田中直樹はサメやサイなど動物好きとして知られ、中川翔子は生態などよりもグロテスクな生物の外見に興味を持つ――つまり2人の趣味に視聴者が付きあってあげるというのがこの番組のコンセプトと言える。番組のテーマである「子供のころに持っていた、夢や好奇心を呼び戻そう!」の通り、2人は従来の科学番組が主眼を置いている「学ぶ」を忘れて好奇心の元に行動。しかしどこか視聴者にもその気持ちはあるので、決して置いてけぼりにはならないのだ。ナレーションが珍しい生物を“超激レア生物!”“モンスターだ!”とNHKではあり得ない表現をすると、見ている方もワクワクしてくる。 実はこのような他人がマニアックに興味へ没頭している姿は、番組として意外と成立する。プレゼンテーション能力うんぬんよりも、なぜその人がそんなことに没頭しているのかというシュールさが受けるのだ。さかなクンが受けるのは魚の生態を教えてくれるからではなく、さかなクンが魚に興奮している姿が面白いから。フジテレビ「芸能人こだわり王講座『イケタク』」(09年)はそれを体現した番組なのである。
そしてこの番組のもう一つのポイントは「体を張る」。東京湾の深海生物密集地帯に行ったり、「キモカワ」動物を手に取ったり、「アニマルナース隊」と称して危険な動物たちの捕獲に挑戦したりだとか、メインの2人自らもどんどん体を張っていく。 「体を張る」の専売特許はダチョウ倶楽部や出川哲朗らリアクション芸人のはずだが、ここでは趣向が違う。伊豆・熱川バナナワニ園に行ってワニと対決する「お笑いウルトラクイズ」など、通常は無理やりやらされて困りながら体を張るのを見るのが面白いのだが、前述のとおりメインの2人は動物・生物好きという特性がある。そのため「キモカワ」動物を手に取っても、嫌々ながらも徐々に快感に変わっていく姿が見られるのだ。これが、困難に立ち向かうリアクション芸人と、嫌な顔一つせず嬉しくてたまらないムツゴロウさんとの、ちょうど中間地点に位置するという新鮮な面白さに繋がっている。 こうして2つの専売特許を新たなアプローチで奪った「飛び出せ!科学くん」。好評から4月からゴールデンタイムに進出するが、守りに入らずさらなる新たなアプローチに挑戦してほしい。
| | 勝手な要望 | ●4月からは土曜19時のゴールデンタイムに進出。しかし食事の時間帯に、この番組の一番のポイントであるグロテスクな生物をこれまで通り映すことはできるのだろうか。これまでG帯で特番は放送されているものの、レギュラー化で従来の「科学バラエティ」に落ち着いてしまわないかが心配。
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| にけつッ!! (10.01.18up) |
| 制作会社・局 | 制作/読売テレビ |
| キー局放送枠 | 毎週水曜24:29〜24:59 (08.10.07〜) |
| 出演 | 千原ジュニア ケンドー・コバヤシ |
| 構成 | 高須光聖 |
| 演出スタッフ | ディレクター/鈴木康浩 小林ちひろ 吉田昌平 平山勝雄 演出/西田治朋 |
| 制作スタッフ | プロデューサー/勝田恒次 田村静子 若生さとみ チーフプロデューサー/武野一起 |
| 番組概要 | 台本無しのトーク番組。本番前は打ち合わせ無し、2人で会ってはいけないというルールを持つガチンコっぷりで、東京・渋谷のヨシモト∞ホールの客前で繰り広げられる。 スタジオ観覧は当日の先着順という、東京収録ながらも大阪のローカル番組テイストなスタイルで、抽選とは違う客が持つ独特のテンションの中での収録となる。 |
フリートーク番組に第3の道?
日本のテレビ番組で、ゲスト無しのフリートークを初めてレギュラー化したのは、フジテレビ「笑っていいとも!」金曜日の「タモリ・さんまの日本一の最低男」のコーナーだと言われている。毎度同じ2人が「ただしゃべるだけ」という無防備な企画だが意外にも成立し、84年のスタートから、さんまがレギュラーを降りる95年まで、タイトルを変えながらも金曜名物の長寿コーナーとなった。その後、読売テレビ「鶴瓶上岡パペポTV」が87年にスタート。「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(日本テレビ、89年〜)、「北野ファンクラブ」(フジテレビ、91年〜)、少し飛んで「松本紳助」(広島テレビ→日本テレビ、00年〜)、「きらきらアフロ」(テレビ大阪、01年〜)、「さまぁ〜ず×さまぁ〜ず」(テレビ朝日、07年〜)と系譜をたどる。 どの番組もコンビでのゲスト無しのぶっつけ本番フリートークというのが基本内容だが、立ってテーブルに手をついたり、椅子に座るなり、何も無しでただ立つなりと、それぞれのスタイルがあるのが面白い。一方で、こうした外見でなく内面で見ると、2つの傾向に類型化することができる。
類型Aは、一方がしゃべるのを主導権を持つもう一方が泳がすというパターン。これに当てはまるのは「タモリ・さんま」「パペポ」「ガキの使い」「きらきら」「さまぁ〜ず」とほとんどだ。それぞれ見ると、タモリがさんまを泳がせ、要所でグッとコントロールする。同様に上岡が鶴瓶を、浜田が松本を、大竹が三村をという具合だ。「きらきら」の場合は松嶋が鶴瓶を泳がせているという自覚がないようなので、ちと例外か。 類型Bは、主導権を持つ一方がしゃべるのに対し、もう一方が合いの手を打つというパターン。「北野FC」ではたけしのマシンガントークに高田文夫が絶妙の盛り上げで応え、「松本紳助」では紳助のトークの合間を縫って松本の絶妙なボケが入る。
ここで今回取り上げる「にけつッ!!」なのだが、実はどちらにも分類されない。ケンドー・コバヤシ、千原ジュニアが交互主導権を握り合って話を披露するというパターンが見られる。いずれも「人志松本のすべらない話」の常連で、トークの腕前は当然ながらハイレベル。そもそもそんな2人をキャスティングした時点で、どちらかが主導権を握るという発想はなく、第3の道を模索しているようにも見える。チーフプロデューサーの武野一起氏はこれまで「パペポ」「松紳」に関わってきていることからも、そんな匂いをプンプン感じる。
だが、この番組は開始から1年以上が経過しているが、果たしてこのままのスタイルで進むのだろうか。現在のままでは1+1なので、2人の融合っぷりが存分に味わえないのが正直なところだ。しかし逆に、元々コンビでなかった2人である故に、今後場数を踏むに連れて、さらにスタイルを変化させるのではないかという期待を感じてしまう。その結果が、類型Aなのか類型Bなのか、はたまた全く違うそれこそきれいな第3の道に行きつくことができるのか。 その過程を見ることができるかもしれないというのは、今までのトーク番組史上初めての楽しみ方とも言え、非常に面白みがあるのではないか。
| | 勝手な要望 | ●こちらも出演者の都合等々もあるかと思うが、いくらなんでもフリートークの番組で3本撮りというのは厳しいのではないか。ネタも貯まる丁度良いタイミングである週1回の1本撮りというのは贅沢なスケジュール取りになってしまうかもしれないが…。 ●トークの話題を表示するテロップはやはり必要なのか。画面が小さくなってしまうというデメリットを考えると、やはり王道の完全テロップ無しでも良いのでは…。 |
| 着信御礼!ケータイ大喜利 (09.11.15up) |
| 制作会社・局 | 制作/NHK |
| キー局放送枠 | 毎月第1・第3土曜24時00分〜24時45分 (単発番組05.01.05〜) |
| 出演 | 今田耕司 板尾創路 千原ジュニア ほか |
| 構成 | 小笠原英樹 ほか |
| 演出スタッフ | 演出/三好健太郎 |
| 制作スタッフ | 制作統括/越後麻理 |
| 番組概要 | 番組から出されたお題に、視聴者が携帯電話からの送信で回答。放送作家らの一次審査を経て千原ジュニアやゲストに読み上げられ、板尾創路審査委員長が携帯のアンテナの数で面白さ判定する。読み上げられる常連さんはラジオで言う「ハガキ職人」で、ルーキーから初段と昇格を重ねると最上位に「レジェンド」の称号を獲得する。 合間合間の進行は地方局や新人の女性アナウンサーが務め、なかなか全国ネットのバラエティ経験のない真面目な彼女たちを今田耕司がいじる場面も見どころ。 |
アマチュア大喜利に即時性の進化
「大喜利」は元々寄席における落語のオマケに位置付けされるもの。それが日本テレビ「笑点」('66〜)によってメジャーとなり、中には落語家の本業だと思っている人も多いという。「お題を与え、それに答える」「振りを与え、オトす」という単純な作業がゆえにネタが広がりやすいのというのが、他の多くの番組でも利用される理由ではないか。
この手法はまずラジオ番組に広がった。ニッポン放送「ビートたけしのオールナイトニッポン」('81〜'90)などに代表される「ハガキコーナー」だ。だが、「笑点」ではお題を出す方も答える方もプロである一方、「ハガキコーナー」の回答者はアマチュアの一般リスナーになった。力のあるプロ1人に対し、こちらは無数のリスナーの力を結集させることでコーナーは成立し、そこからプロの放送作家になる人も多く生まれた。
これがテレビに持ち込まれることになったのが、ダウンタウン松本人志がピンでやっていたフジテレビ「一人ごっつ」「松ごっつ」('96〜'98)。当初はプロの松ちゃんが一人でお題に答えるものだったが、特別企画で「全国お笑い共通一次試験」を数回実施したのである。入試のようなペーパーテスト形式で、面白い答えを全国のアマチュアが郵送で回答。それを番組側が点数をつけて採点し、特に面白い回答を番組内で松ちゃんが模範解答とともに紹介するというスタイルだった。
こうした変遷を経て2005年、NHKで「着信御礼!ケータイ大喜利」が単発番組としてスタート。偶然か必然か、出演陣は松本人志にゆかりのあるメンバーだ。 新たにスタートする番組は、ルーツとなった番組から進化しなければならない。その点「ケータイ大喜利」での一番大きな進化は、回答に“即時性”を持たせたということだ。「全国お笑い共通一次」の“郵送”から、番組タイトルにもある携帯電話での“送信”により、スタッフのコストも大幅に削減することになり、2週に1回のレギュラー化も実現した。 瞬発力が求められる笑いのフィールドにあって、“即時性”を持ったアマチュアたちは大いに活躍。時事ネタから番組内で起こったハプニング、はたまた他人のネタに被せるという様々な武器を手に入れた。つまり元々のプロとプロによる「大喜利」のスタイルに参加することができるようになったということである。 しかしこれだけでは「笑点」から進化したとは言いにくい。それに対してこの番組では、「ゲストによるネタの読み上げ」も開発した。アニメのキャラクターからラジオDJ、スポーツ解説者まで、本物のゲストがアマチュアの考えた「絶対に言うはずがない」フレーズを次々に発していく様は、かなり痛快だ。特に阿藤快の“いい加減”なしゃべり方は、ネタの良し悪しを超えてしまうほどの破壊力を持ち、一つの名物となっている。
「通信と放送の融合・連携」という言葉は、主に技術的なアプローチから語られる場面が多いが、この番組はコンテンツ面から見れば、現段階で最高の成功例と言えるのではないか。
| | 勝手な要望 | ●出演者の都合等々もあるかと思うが、やはり週1で楽しみたいところ。それ故に見逃してしまうことが多いのが事実。 ●実は筆者も投稿することが多いのだが、やはり携帯からでは打ち込みに時間がかかってしまうのでタイムロスが発生してしまう。PCからの投稿も認めて頂けないものか(看板に偽りありになってしまうが…) |
| おねだり!!マスカット (09.09.24up) |
| 制作会社・局 | 制作協力/SHO-GUN 製作著作/プラスミック・シーエフピー 制作局/テレビ大阪 |
| キー局放送枠 | 毎週月曜日26時00分〜26時30分 (09.04.15〜) |
| 出演 | おぎやはぎ 大久保佳代子 蒼井そら Rio ほか |
| 構成 | 佐藤俊明、鈴木工務店 |
| 演出スタッフ | ディレクター/阿部さちよ 総合演出/マッコイ斉藤 |
| 制作スタッフ | プロデューサー/小林岳夫 |
| 番組概要 | AV女優やグラビアアイドルなどで構成する「恵比寿マスカッツ」の面々を中心に繰り広げる“深夜をスカッとさせるストレス発散バラエティー”。 おぎやはぎや大久保佳代子といったノラリクラリのMC陣に、元気ではっきりとした物言いの「マスカッツ」たちという対照なキャラクターのやり取りが、平日の深夜に不思議な空気を醸し出す。 |
セクシーを捨てた深夜の女性たち
かつての深夜番組と言えば、セクシーなお姉さんである。「11PM」に始まり、「トゥナイト」「ギルガメッシュないと」と、セクシーなお姉さんたちが大活躍する番組が代々日本の深夜を席捲してきたと言っても過言ではない。 しかし、90年代後半から徐々にテレビバラエティへの規制の波が。85年に中曽根康弘首相(当時)が国会で民放深夜番組の性表現に対して郵政省の規制強化を示唆する発言をして、当時のセクシーなお姉さんたちが活躍する深夜番組が次々に打ち切られたという経験を経て、また1から作り上げてきた文化も、公権力ではなく今度は世論というバックアップにより、急速に力を失った。
そんな不毛地帯の中、08年4月に「おねがい!マスカット」として開始されたのがこの番組。セクシーな衣装に身を包んだAV女優やグラビアアイドルたち(恵比寿マスカッツ)が深夜の30分間ながら所狭しとイキイキしているのは、懐かしさすら感じてしまう。 しかし、ここでかつてのような露骨なセクシー企画はない。その代わりに彼女たちの“プロ意識”が大いに発揮される。
「マスカッツ」たちは、それこそ様々な現場で百戦錬磨の面々。台本や演出意図を、メンバー全員が理解しているため、番組の進行が実に心地いい。番組中盤ではCMをほとんど挟まないために流れるように番組が進行していくが、それを邪魔するようなぎこちない発言や行動が全く見られない。もちろん編集の影響もあるが、彼女たちの実力によるところは大きいはずだ。「強気なリーダー」「全日本おバカランキング2位」といったキャッチフレーズがそれぞれに付いているというのが、彼女たちのキャラクター・役割が確立されている証拠だ。 9月15日の放送では、おぎやはぎ・矢作兼の38歳の誕生日祝いがメイン企画。マリリン・モンローに扮して「Happy Birthday to you」を歌いながら寄ってきたり、矢作に好きな沢田研二の曲を無理やり歌わせたり、お腹が痛いと倒れて矢作に触れられるだけで全快になったり、感動の手紙を読んだと思えば「帰れ」コールを全員で行ったり・・・文字面で見ると一体どんな仕掛けがどういった流れで行われているかが全く理解することができないが、彼女たちの合間合間の小さな一言、表情などが、小木、大久保さんの扇動、矢作のリアクションと相まっていくことにより、不思議と成立してしまう。
規制が厳しくなった中、かつてのようにエッチな企画がやりにくくなってしまった。それでもAV女優などが活躍する手段として、彼女たちの企画理解能力や思い切りの良さ、演技力に脚光が当たることになった。 将来、ここからメジャーな「バラドル」として羽ばたくタレントがどんどん出てくることが期待される。
| | 勝手な要望 | ●いくらなんでも月曜日深夜2時スタート(関東)というのは、サラリーマンにとって厳しい。せめて週末のひと時にスカッとさせて頂くことはできないものか。 |
| リーダー's ハウトゥ Book ジョーシマサイト (09.07.20up) |
| 制作会社・局 | 制作協力/SION 制作著作/テレビ朝日 |
| キー局放送枠 | 毎週月曜日24時45分〜25時15分 (08.04.07〜) |
| 出演 | 城島茂(TOKIO) 前田有紀(テレビ朝日アナウンサー) ほか |
| 構成 | 興津豪乃 寺田智和 小山賢太郎 |
| 演出スタッフ | ディレクター/松本博樹 山内智未 宮本大輔 武田治 演出/頼誠司 |
| 制作スタッフ | プロデューサー/新井祥之 所俊輔 小泉浩之 チーフプロデューサー/高橋良行 |
| 番組概要 | ありとあらゆる「ハウトゥ(How to)」を伝授。テーマ選定は、男性目線でのデートの活用法や、おねえちゃんの落とし方、金儲けの仕方がほとんどのため、VTRでハウトゥを実践するのは「ケンちゃん」という男性が99%を占める。一見役に立たない突拍子もない情報を伝授され続けるが、ふとした瞬間にきらりと光るお得な情報を放ってくる。 基本的にVTRに城島やゲストが突っ込み、前田アナがフォローするという役割。VTR中は全員の顔をワイプで抜き、ボイスフォローのテロップも入れるという「黒バラ」「あらびき団」と同様の方式を採用している。 |
視聴者へまさかの上から目線
他人に物事を教えるとき、一番気を付けなければならないことは、相手が素人だからと言って馬鹿にしないことである。これを忘れて上から目線で教えても、教えてもらう側は信頼を失った瞬間に何も飲み込まなくなり、教える側も冷めてしまってお互いハッピーにならない。 しかし、そんな常識を根底から覆してしまったのがこの番組だ。
番組では、平田広明と、久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)によるナレーションで様々な「ハウトゥ」を伝授。この2人が交互に説明する。役割分担としては、まず久保田アナが「ハウトゥ」の概要を説明し、その後の補足説明を平田氏が担当。決して掛け合うことはない。それぞれを詳しく見てみると、久保田アナはVTRの様子に沿って丁寧に説明。世の中に存在する、いわゆる「ハウトゥビデオ」と同様に「です・ます調」で優しく、かつきちんと要点を押さえて語りかけてくれる。この久保田アナの説明がひと通り済んだところで平田氏の補足説明が入る。だがこれが実に憎い言い方に激変する。 まず、丁寧に説明を行ってくれる久保田アナと違い、「ハウトゥ」の基本である「です・ます調」を使わない。かといって「である調」でもない。なんと「だろう調」なのだ。そして教えられる側(視聴者)に対し「君」と呼びかける。つまり、丁寧な説明の後に「どうだい? 君ならここで○○○と思っちゃうだろ? 甘いな。」であったり、「どうだい? 君はきっとここでこう思うだろう。○○○ってな。」と、キザ風に上から目線で語りかけてくる。冒頭に記述した、物事を教えるときに一番気を付けなければならないことを、さらさら無視して進行している状態と言える。だがここまで開き直られてしまうと、小泉元総理ではないが、人間は呆れるのを通り越して笑ってしまう。そして、だんだんこの嫌味っぽい教え方がくせになってしまうのが不思議だ。
こんな言い方が許されるのは、この番組のテーマ設定にある。当然ながら深夜バラエティなので、実用的なハウトゥを教える気などほとんどない。「100億円を有意義に使う方法」「下心むき出しに農業で儲ける方法」「裁判員で恋までさばいちゃう方法」など、できたら良いな程度のテーマ設定に重点を置いている。当然見る側も本気で学ぼうとは思っていないので、大半の現実離れした無理難題のハウトゥにトライしているVTRの登場人物を笑って許し、時折挟まれる耳より情報をキャッチすることを目的としているので、成立するのだろう。 だが、この無理難題なハウトゥを笑って許せてしまうのはなぜか。例えば、「100億円の使い道」で、「本物の車をミニカーのようにコレクションする」と言われても、ピンと来ない。それどころか、少々滑ってしまうおそれもある。そこでこの番組では、VTRでハウトゥを実践する登場人物を全員吹き替えにした。これにより、常に非現実的空間を作り出し、無理難題なハウトゥに負けない、よりオーバーなアクション・リアクションを演出することができたのだ。 ところで上記において、久保田アナは説明を丁寧にきちんとしてくれると書いたが、それはあくまで台本通りにという前提。街角アンケート調査を紹介するのに、真面目で知的な声で「『わりと常に女はいるよ』とか平気で言っちゃう、遊びなれている男性100人に聞いた――」とか「『デートで割り勘なんてありえない』とか言っちゃう、チヤホヤされ気味の20代女性100人に聞いた――」といった感じでかまされると、油断しているこちらは思わずプッとなってしまう。抜け目がない。
抜け目がないと言えば、最近は放送時間内で紹介できなかったハウトゥ動画を、携帯サイトで公開するサービスを始めたようだ。もちろん有料。さらに、「財布を開けずに1デートをクリアする方法」がテーマの際、アサヒビールの工場見学を紹介しつつ、スーパードライのキャンペーンを挟み込むという営業も駆使していた。あの手この手での収益拡大も垣間見られる。
最近はゴールデンのバラエティを中心に、視聴者に媚びる番組が増えているように感じる。この「リーダー's ハウトゥ Book」のように、どんどん視聴者を小バカにするような遊び心に富んだ番組が増えていくことを願うばかりだ。
| | 勝手な要望 | ●何と言っても時間が深い。特に月曜日は、平日の中でも生活リズムが狂っているので、深夜起きているのが大変。視聴率も好調のようなので、あと30分繰り上げてくれることを期待したい。 |
| 志村屋です。 (09.06.22up) |
| 制作会社・局 | 制作協力/エクシーズ エスカンパニー ゼブラカンパニー 企画制作/イザワオフィス 放送/フジテレビ |
| キー局放送枠 | 毎週水曜日25時08分〜25時38分 (08.04.09〜) |
| 出演 | 志村けん 優香 肥後克広 上島竜兵 ほか |
| 作・構成 | 朝長浩之 |
| 演出スタッフ | 演出/戸上浩 小倉肇 |
| 制作スタッフ | プロデューサー/井澤健 |
| 番組概要 | 志村けんによるコントバラエティ。メインコント「だんごのしむら屋」は志村と妻の優香が経営するだんご屋と、ダチョウ倶楽部・肥後克広の向かいの定食屋、近隣アパート住人の上島竜兵らが巻き起こす騒動が描かれる。番組後半では、医者役の志村が患者のグラビアアイドルを水着姿にして診察する「志村診察室」を配置し、深夜の男性ニーズに応える。 |
キャリア35年の余裕の笑い
当たり前のことを改めて書くのもアレだが、志村けんという人間はすごい。考えてみると「志村けんのだいじょうぶだぁ」が1987年秋にスタートしてから現在に至るまで、22年もの間一度も休むことなくメインのコント番組を持ち続けている。ドリフターズに加入してからを考えると、1974年から35年間もコント番組に参加し続けていることになる。ゴールデンタイムにお笑い芸人の冠コント番組が何本もあるときも、コントが下火になっても、ひたすらコントを作り続ける。こんな人は、後にも先にもこの人しかいない。
この番組では、そんな長年の経験の技術を感じる場面に何度もめぐり合うことができる。それは志村の“余裕”という一言に凝縮される。 例えば「定食屋肥後」のシーン。赤字続きで新しいお客さんを集めるアイデアを思いついては向かいの志村に試してもらうパターンが常だ。6月9日の放送では、お客さんの悩みを聞く「人生相談定食屋」を試していた。志村が悩みを持つ客の役で、最初は失恋、2番目は受験生、最後にリストラされたサラリーマン。それぞれ、結局相談を受ける側のはずが客に悩みを告白してしまうというオチなのだが、最後のリストラサラリーマンでは目をギョロっとさせて思いっきり鼻に声を詰らせるという志村けん独特のキャラクターを登場させた。肥後も思わず笑いが吹き出してしまう。同じパターンだとメリハリが無いと感じて、コントを演じている最中に瞬時に判断したのか、台本打ちのときから構想を持っていたのか。いずれにせよ、瞬発的にあのキャラを登場させて、肥後との化学反応を伺う様子は、百戦錬磨のベテランならではの成せる“余裕”を感じさせる。 この番組では、このような台本ともアドリブとも取れない志村のわずかな一言が随所に登場する。他のコント番組でもアドリブはもちろんあるが、大抵が「楽屋オチ」の体裁になるパターンが多い。そこから派生して、どんどん台本からずれて、面白い話を膨らませていく。だが、志村の場合はそこまで脱線しない。会話の範囲の中で想定外のジャブを喰らわせる。それに対して、肥後にしても上島にしても、皆驚きながらも会話として成立するタイミングで返せる力を持っている。これは優香にしても例外ではない。志村の番組に99年から参加して10年目となり、完全にいしのようこポジションを確立した優香だが、この現場で鍛えられて現在の地位があるというのは過言ではないはずだ。
「笑う犬」が盛り上げてコント復活の兆しもあったが、現在レギュラーでコントをやっているは「SMAP×SMAP」とこの番組のみ。それでもゴールデンの「カスペ!」枠で、「志村けんのだいじょうぶだぁスペシャル」を6月2日に放送したところ、関東地区で15%を超える視聴率を獲得した(ビデオリサーチ調べ)。 一方、番組制作費の削減に伴い、手間隙のかかるコント番組のおかれる環境は厳しい。「笑う犬」も昨年の秋に続く特番について吉田正樹氏とウッチャンが意見交換をしていたものの、実現は無期延期になったらしい。フジテレビの50周年特番で志村が「ひな壇ばっかりじゃなくて、作り込んだのをやって欲しい」と、つぶやいていたのが印象的だ。 こうした情勢だからこそ、今後10年、20年とコントを作り続けて欲しい。この番組を見てそんな思いを抱くのは、私だけではないはず。
| | 勝手な要望 | ●「志村診察室」は、最近「頭皮の臭いを嗅ぐのが好き」など突拍子のないキャラクターの女の子が顕著な印象。もう少し清純な女の子を基本軸としても良いのでは…。 |
| 笑撃!ワンフレーズ (09.05.18up) |
| 制作会社・局 | 制作協力/極東電視台 製作著作/TBS |
| キー局放送枠 | 毎週金曜日24時05分〜24時35分 (09.03.27〜) |
| 出演 | 千原ジュニア 枡田絵理奈(TBSアナウンサー) 高田純次 ほか |
| 構成 | 藤谷弥生 鈴木功治 青木祐馬 水谷心太 |
| 演出スタッフ | ディレクター/酒井甚哉 野上貢 吉田慎治 演出/井手比左士 |
| 制作スタッフ | プロデューサー/篠塚純 早瀬志都加(極東電視台) CP/合田隆信 |
| 番組概要 | 今をときめく人気芸人がそれぞれのシチュエーションで「言われたらうれしい一言」をショートコント形式で披露する。昨年10月に深夜の単発特番として登場し、今年の正月にも放送。この好評を受け、満を持して3月27日からレギュラー化した。高田純次は特番時代MCの一人だったが、特に進行もせずスケベコメントばかりしていたので、レギュラーからは「ご意見番」としてパネラー席に異動している。 |
一言ネタ市場に新たな風
近年さらに勢いを増していく“お笑いブーム”。中でもその分かりやすさと共感のしやすさで一大勢力を築き上げた「一言ネタ」は、日本テレビ「エンタの神様」から強力に発信された「あるあるネタ」を中心に、あらゆるテーマ・ジャンル・角度から掘り下げられ、やり尽くされた感がある。 そんな中、昨年秋に登場した「たった一言で大爆笑 笑撃!ワンフレーズ」は、この「一言ネタ」市場に新たな風を吹き込んだ。従来は、心の中に潜んでいた感覚を呼び覚ますことで「共感」を得ることに主眼を置いていたのに対し、心の中に無い新たな感覚を「発見」させるというところまで進んでいる。特番第1回目の放送の冒頭、MCの千原ジュニアが「『爆笑レッドカーペット』のパクリだと思っていましたけど、全然違いましたね」と言ったとおり、「一言ネタ」にさらなる可能性が見えた。
若手芸人らがショートコント形式で「一言」を紹介するという手法は、同局で08年秋まで放送されていた「明石家さんちゃんねる」の中で、視聴者が投稿した聞き間違い・言い間違いを紹介する「本当にあった勘違い」のコーナーと同じ。ただ同コーナーでは前触れなく「一言」を発し、その後「♪勘違い〜」というコーラスが流れていたのに対し、「笑撃!ワンフレーズ」では「一言」の前にししおどしが打つ「カ〜ン!」という決めSEが入り、じっくり間を持たせたところでセリフを発する。発した後はテーマに合った楽曲(※)で締めることで、言われた側のリアクション・表情がより生きるようになった。また、この一連の間を守るためにCMまたぎが極力行われないので、ストレスなく見ることができる。
4月24日の放送では、特番で好評だった「女の子に言われたい一言」が登場。ジュニアやパネラーも絶賛の加藤夏希の演技力が光る。このコーナーと、AV女優・Rioが出演する「ちょっと大人の言われたい一言」では、明らかにモテないキャラの芸人が、美人でかわいい加藤やRioに最高の一言を言われるという有り得ないシチュエーションからも笑いが生まれるという現象が起こっている。これをメインコーナー「テンションが上がる言われたい一言」と並列させることでテンポが良くなり、30分があっという間に感じられた。
この番組は提供クレジットにも注目。かつてはブルーバックが定番だった提供クレジットは、その後ブルーバックが取れ、現在ではクレジットの両サイド(上下もしくは左右)に番組の見所や次回予告などの短いテキストを入れるようになった。 この番組では上下にテキストが入り、提供クレジットの際は「この番組はご覧のスポンサーの提供で・・・」とナレーションが入るために音声レベルを下げるのだが、この時間に下側のテキストを出演者のボイスフォローのスーパーとして利用している。この手法は、おそらく初の試みなのではないか。1秒たりとも無駄な時間を作らないという姿勢が感じられる。 さらに、好評だった「一言」は動画と着ボイスとして配信。実に抜け目のない番組だ。
(※)「テンションが上がる言われたい一言」では浜田省吾「悲しみは雪のように」、「女の子に言われたい一言」ではホイットニー・ヒューストン「I Will Always Love You」(映画「ボディガード」のテーマ)、「ちょっと大人の言われたい一言」では映画「エマニエル夫人」のテーマ。
| | 勝手な要望 | ●「一言」の評価単位を「言われたい」から取って魚の「タイ」としているが、これでは“見たい!聞きたい!歌いタイ!”がキャッチフレーズだった「夜もヒッパレ」とイメージが重なってしまうので、他の単位にして欲しい。 ●「一言」の評価後にパネラーがコメントしている時間、画面上に次の出演芸人が表示されるが、これではパネラーのコメントの意義を否定してしまっている印象を受ける。特に4月24日の放送では、細川茂樹がカラオケボックスでのエピソードをそこそこの尺で語っていたのに、その間もずっと次の出演芸人の名前が表示されていたのは、細川が可哀そうになってしまうほど。 |