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ネトフリの『オクジャ』会見にポン・ジュノ

【FREE】ネトフリの『オクジャ』会見にポン・ジュノ

2017年06月23日
左からソヒョン、ポン・ジュノ監督 左からソヒョン、ポン・ジュノ監督

 ネットフリックスのオリジナル映画『オクジャ okja』が6月29日より、全世界オンラインストリーミング開始される。日本でも22日、ザ・リッツ・カールトン東京でPRイベントが行われ、監督、共同脚本、プロデューサーのポン・ジュノ、主演女優のアン・ソヒョンが来日、登壇した。

 第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品。韓国の鬼才ポン・ジュノが放った4年ぶりの新作は、ブラッド・ピット率いる製作会社「プランB」とのタッグ作品。ブラッド・ピット自身もエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ね、ティルダ・スウィントンやジェイク・ギレンホール等ハリウッド俳優が大挙して出演し、世界から注目を集めている。

 韓国の山間で、オクジャと呼ばれる巨大な動物を世話する少女ミジャ(ソヒョン)は、オクジャを親友の様に大切に思いながら10年もの間のどかに暮らしていた。しかし突然、米ニューヨークに本社がある多国籍企業のCEOがオクジャを利用する計画を企てたことから、オクジャがニューヨークへ輸送されることに。オクジャを連れ戻すために無謀な救出作戦を決行するミジャは、次第にオクジャを巡る激しい争いに巻き込まれていく。

 PRイベント当日、制作の背景について監督は、「ソヒョンという美しい少女と従順な大きな動物に愛を込めた。僕にとって初めてのラブストーリー作品だ」とコメント。ソヒョンのキャスティングについては、「選考を行ったが、彼女はリストのトップに絶えずいた。『ハウスメイド』(イム・サンス監督)や、『その怪物』(ファン・イノ監督)の演技を見て、印象に残っていた。ソヒョンに対する確信がずっとあった」と振り返った。それに対してソヒョンが、「これ程、俳優を気にかけて下さる監督はいないだろうし、今後、色んな挑戦をしていきたいが、ポン・ジュノ監督は何よりも最優先です」と笑顔で話すと、監督も「一生懸命準備します」とほほ笑んだ。

 制作にあたっては、日本の作品にもインスピレーションを受けた様で、監督は「ジブリの『未来少年コナン』、押井守監督『イノセンス』」、海外作品からは「ジョージ・ミラー監督『ベイブ』とその続編」を例に挙げた。

 なお、カンヌでは劇場未公開作品のコンペ選出について、物議を醸した。このことについて監督は、「60年代にTVが登場した時、映画や劇場が終わってしまうという恐怖を口にする人たちがいたが、今では映画とTVは共存している。映画と配信も同じことだろうと信じている」とコメント。さらに、「ネットフリックスは柔軟に対応してくれる。『オクジャ』は韓国で100館規模、アメリカでも館数は多くないが、劇場公開している。また、カンヌの次には、シドニーの映画祭が決まっている」と劇場公開作品と同様の展開もできていることに触れた。映画監督の立場からは、「マーティン・スコセッシ監督のような巨匠もネットフリックスで制作している。大きな予算の中で、クリエイティブがコントロールできることが魅力。創作の自由に対する渇望やそのことに干渉されたくない思いで、様々な監督がネットフリックスと手を組んでいるのだと思う」と考えを語った。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。