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北乃きい主演「爆心(仮)」、来夏公開

【FREE】北乃きい主演「爆心(仮)」、来夏公開

2012年03月09日
映画「爆心(仮)」撮影中 (左から)日向寺監督、石橋蓮司、北乃きい、稲森いずみ、池脇千鶴、宮下順子 映画「爆心(仮)」撮影中 (左から)日向寺監督、石橋蓮司、北乃きい、稲森いずみ、池脇千鶴、宮下順子

 被爆地・長崎から希望を紡ぐ映画「爆心(仮)」(製作:パル企画+日本スカイウェイ+長崎放送+長崎ケーブルメディア他/制作:パル企画)が、去る2月17日に同地でクランクインした。「誰がために」(05年)、「火垂るの墓」(08年)などの日向寺太郎監督がメガホンをとり、北乃きいが主演を務める。長崎の他、福島、東京都内などで撮影され、3月12日にアップ予定。5月末の完成を目指す。年内に長崎で先行上映され、全国公開は来年夏となる見込み。パル企画が配給する。

 芥川賞作家・青来有一の同名連作短編集(文藝春秋刊)を映画化する。舞台となる長崎は、現在では異国情緒あふれる街として知られるが、江戸時代にはキリシタン迫害の中心地となり、第2次大戦中では原爆投下の標的とされるなど、歴史的に受難の地でもある。物語は、そのような背景を踏まえて、現在の長崎に生きる市井の人々を描写。世代の異なる3人が、受難からやがて再生へと向かうさまを捉える。

 日向寺監督にとっては、国内外で高く評価された「火垂るの墓」以来の劇場長編3作目となる。故黒木和雄監督らに師事し磨いた手腕を発揮して、長崎で人間にとっての家族、愛、信仰などに迫り、同地からしか発信できないメッセージを込める。脚本は、城戸賞準入選やギャラクシー賞優秀賞受賞をはじめ、実績多数の原田裕文が手がけた。撮影は川上皓市、照明は川井稔、録音は橋本泰夫、美術は丸尾和行、編集は川島章正が、それぞれ担当。出演は、北乃の他に、稲森いずみ、柳楽優弥、池脇千鶴、石橋蓮司、佐野史郎、杉本哲太ら豪華な面々がそろった。

 3月6日に東京・中野区でロケ取材会が行われ、日向寺監督は「どの役者さんも思った以上の演技をしてくれているので、撮影しやすい」と手応えを語り、東日本大震災や原発事故との繋がりについては「3・11以前からこの映画の企画は進んでいました。3・11後に、原作者の青来さんからはそのあたりも意識してはどうでしょうかとの提案はありましたが、私としては特に意識しないでやろうと思いました。ですが、まったく意識しない作品にはならないと思います」とした。

 被爆3世の女子大生役を演じる北乃は、「このように原爆をあつかった作品に関わるのは初めてで、長崎にロケに行った時に長崎原爆資料館に足を運びました。原爆資料館に行くことも初めてでしたが、役作りにとっても良い経験になりました」と語り、「こういう作品を通して、私も受けついでいかないといけない」と力を込めた。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。