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インタビュー:渡辺純一スカパー・ウェルシンク代表取締役社長

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インタビュー:渡辺純一スカパー・ウェルシンク代表取締役社長

2007年04月16日

ワンノブゼムの出資者にはなりたくない!
 出資70本、投資額35億円/5期目の08年度黒字化へ
 まずは認知される集団に/プロモーション力強みに

 多チャンネル放送のプラットフォーム事業を中心に展開する(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズは04年7月に100%出資のコンテンツ投資会社「(株)スカパー・ウェルシンク」を設立した。収益源の拡大を睨み、優良コンテンツに投資し制作段階から深く関わり、スカパー!の財産にするのが狙いだ。設立から2年半が経ち、これまで映画・アニメ70作品の出資を決めた。映像業界においてその存在が注目されつつある。渡辺純一代表取締役社長にこれまでの成果と今後の展望など話を聞いた――。

■出資70本、投資額35億円

本誌 企画会社として半年間準備し、事業会社化してから2年が経ちました。これまでの2年半の成果を教えてください。

渡辺社長 この2年半で出資を決定したのは映画・アニメ合わせて70作品になりました。そのうち約50作品(今後DVD化される作品も含む)が既に公開され、あとの約20作品がこれから公開されます。その数の評価はわかりませんが、ただ、出資を決める作業も大変で、皆の協力を得て70作品を出資できた。ここまでは頑張ってこれたかなと思う。投資額は70作品で約35億円。当初見込んでいた額よりも低い。それは希望どおり出資できないものもあれば、慎重になったところもあるためです。作品の収支で言えば、22作品についての成績がほぼ出た。これは既に公開されDVD化までされた映画13作品とアニメ9作品で、収支がほぼ確定したものです。その評価としては、映画は出資に対するリターンが若干のプラスとなって利益が出た。しかしアニメは70%のリターンで3割程度のマイナス、DVDの売上を含め予定どおりいかなかった。トータルすると、ほぼイーブンと言いたいところだが、数字的には若干のマイナス。スタートして2年半、まだまだ産みの苦しみにあるという状況です。


本誌 投資したフジテレビの映画などが大ヒットしましたね。リターンが良かった作品は何ですか。

渡辺社長 やはり、フジテレビの「交渉人 真下正義」「容疑者 室井慎次」の2作品、それと「韓流シネマフェスティバル」などがよかった。アニメでは「蟲師」などです。まあ、70作品で投資額35億円ということは1作品平均にしたら5千万円ぐらいの投資。もちろん作品によってバラつきはありますが、ですのでリターンもそう大きくはないし、逆に大負けもない。これまでのところ全体的に大きくコケてはいないので、2年半ぐらいではまあまあかなとも思うが、決して満足いくものではない。次のステージではさらに点を辛くし、さらに高い目標でやるので、07年から08年前半で出てくる作品で当てたい。


■5期目の08年度黒字化へ

本誌 05年度の業績は売上2億44百万円、純損失3千万円、06年度上期は売上2億65百万円、純損失1億58百万円でした。

渡辺社長 やはり、これまでのところ、よかったと言えるものではないですね。黒字ベースに乗せるのは、来年度(07年度)は難しい。大きく一発当たれば黒字ということもあるでしょうが、まずは投資会社としての認知をしっかり浸透させていき、それに伴う実績を積んで5期目の08年度ぐらいにはいい形で黒字化したい。特に、これまでのところはアニメの回収がよくなかったので、きっちり回収して形をつけたい。

本誌 投資にあたっては、どういうスタンスで取り組んでいますか。

渡辺社長 スカパーが投資会社を作って作品に投資していこうという背景には、有料放送という市場の中で、他社が制作した作品の放映権を獲得して放送するということも当然ありますが、それだけでなく、作品を開発し、自分たちの財産、著作物のカタログを持っていこうという狙いがあってスタートした。それと、多チャンネル衛星放送が持つ力が、作品作りに貢献できると考える。その一つがプロモーション。もう一つは作品の回収の構造の中に有料放送(ペイテレビ)があるということです。それは劇場公開後に、DVD化、放送するというサイクルの中にペイテレビがある。ですので、我々が作品に投資していくのは関係性が深いと思う。ただ、こういう映像ビジネスの中で、我々有料放送がどれだけの存在感を持てるか、という課題がある。もちろん我々自体小さな会社なので、一つの作品をヒットに結びつけるほどの大きな力はない。主導的な立場にもなれないし、その実力もまだない。しかし、単なるワンノブゼブの出資社にはなりたくない。作品が当たるか当たらないかを他人任せにしないような形に早くしたい。格好よく言えば、我々が参加することで上手く化学反応できればいい。我々が必要不可欠な物質になれたらいいと思う。そのためにも、多くの出資社とコラボレートすることが大事になってくる。


《スカパー・ウエルシンク 出資作品リスト》

●05年~06年公開の主な作品
映画
韓流シネマフェスティバル
「交渉人真下正義」
「容疑者室井慎次」
「最終兵器彼女」
「コアラ課長」
「シムソンズ」
「テニスの王子様」
「水霊」
「やわらかい生活」
「ブレイブストーリー」
「トランスアメリカ」
「東京フレンズ」
「青春漫画 僕らの恋愛シナリオ」
「親指さがし」
「出口のない海」
「ヅラ刑事」
「いちばんきれいな水」
「天使の卵」
「ただ君を愛してる」
「虹の女神」

●07年公開予定の作品
映画
「あるいは裏切りという名の犬」
「名犬ラッシー」
「子宮の記憶」
「素敵な夜、ボクにください」
「あしたの私のつくり方」
「大帝の剣」
「恋しくて」
「ゲゲゲの鬼太郎」
「しゃべれどもしゃべれども」
「アヒルと鴨のコインロッカー」
「ブリッジ」
「河童のクゥと夏休み」
「リトルDJ」
「ヒートアイランド」
「自虐の詩」
「黒帯」

TVアニメ
「地球へ…」
「のだめカンタービレ」
「RE‐BORN」
「デルトラ・クエスト」
「ブルードラゴン」
「ロミオとジュリエット」


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