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インタビュー:塚越隆行ウォルト・ディズニー・スタジオ ホーム・エンターテイメント日本代表

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インタビュー:塚越隆行ウォルト・ディズニー・スタジオ ホーム・エンターテイメント日本代表

2007年12月19日
ディズニーの思いを明確に伝えていく
消費者にわかりやすいブランド名へフォーカス
DVDマーケット拡大はライトユーザーがカギ!


















 ウォルト・ディズニー・カンパニーは今年6月、ポール・キャンドランド氏をウォルト・ディズニー・ジャパン(株)の新たな代表取締役社長とする人事を発表。続いて7月には、ウォルト・ディズニー・カンパニーのスタジオ部門名を、「全ての作品がディズニー・ブランドの一部として、より身近にお客様に理解していただくことを目的として」変更した。この動きは、昨年発表されたディズニーのスタジオ部門の世界的な組織再構築の一環によるものだ。
 世界的に約50年使用されたブランド名「ブエナビスタ」から映画部門に続き、ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメント(WDSHE)に変更したビデオ部門。7月25日開催の「サマー・コンベンション」で塚越隆行日本代表は、「さらにディズニー・ブランドの強化に努めていく」と力強く宣言した。
 DVD/ビデオ市場が前年を下回る状況(1月~7月)の中、WDSHEの今後の展開、方針などについて聞いた―。


明確なポジショニング

―改めて部門名変更の経緯、その狙いについて教えて下さい。

塚越 昨年発表しましたが、よりディズニー・ブランドを全面に出していこうという一環です。業界の方々は知っていますが、“ブエナビスタ”というのは50年間使ったブランド名なんですね。それを“ディズニー”に変えるのは大きなことでしたが、ディズニーにフォーカスする意思表示です。
 9月上旬にアメリカに行って来ましたが、作品をいろいろ見てくる中で凄く納得がいくんですよ。直近で言えば、「魔法にかけられて」(全米公開11月21日)とか、ディズニーとしてこういう作品を作っていくんだというのが、非常に明確に出ている。他のスタジオさんとの差別化なんだと思うのですが、はっきりとしたポジショニングで、ファミリーに向かって、良質なコンテンツを作っていくということ。ディズニーという名前のもと、作品もブランド名も全部そこへフォーカスしていくというのは非常にわかりやすい。
 ブエナビスタというのがディズニー作品の配給会社とわかるのは業界の人。ですから、消費者に対してもわかりやすいというのがもうひとつのポイント。ディズニーという名前を浸透させていく、ディズニーがどういう活動をしているかをわかって頂くことが大事になってきているのを、作品戦略と同時に感じますね。日本では、ファミリー・エンターテインメントがもっと可能性があると思っているので、そこに対して活動していく中でこの名前は生きてくる。

―昨年度3年連続で年間DVDメーカーセールス第1位を獲得されましたが、今年のここまでのセールス状況はいかがですか。

塚越 DVD業界自体は非常に苦戦している。その理由として一番大きいのは、カタログと言われているものの売上が不振になってきているんです。これは僕の個人的な見方ですが、今の我々のDVDマーケットは映画ファンに支えられていて、これは凄くいいことなのですが、一般のライトユーザーに広がっていない。その結果、カタログ作品をある程度コアな人たちが買い尽くした感があるんですよ。でも、DVDハードの普及は広がってきているし、成熟してきているが故に悩みはありますが、作品の訴求の仕方というのはある。ですから、今後はライトユーザーが決め手になり、どれだけ興味を持ってもらうかが大きなカギ。
 それともう一つは、いま営業の方が非常に力を入れているんですが、小売店さんと一緒になって消費者への提案の仕方というのをいろいろと工夫しているところなんです。その結果、数字で言うと前年対比で50%くらい上に来ているんです。まだまだカタログを出し尽くしたとは言え、店頭での取扱の仕方とか、提案の仕方によっては、可能性は大いにある。これを今年、来年にかけて広げていこうかと思っています。そういうことで消費者の方々にもっと映画を好きになってもらう、興味を持ってもらうことを、作品、小売店さんを通じて両軸でやっていこうと思っているんです。

―小売店の姿勢も変わってきているということですか。

塚越 以前よりも今の方が一緒に取り組んでいる感は強まっています。以前は本当に営業行為だったんですが、今は消費者の方々にどうやって提案しようかということを一緒に、お互いの強みを出し合ってタッグを組んでいるという感じ。僕が入った十数年前までは、小売店さんは小売店さん、メーカーはメーカーという形でちょっと距離を置いていたようなところがあった気がします。今は一緒にもっと考えられる土壌が出来てきた。ですから、今年の年末には非常に面白いキャンペーンなどが小売店さんと組めると思うので、ますます消費者の方々から見ると、より作品のことがわかりやすくなるし、買って見てみようという気になってくれると思います。

―価格戦略はどうですか。

塚越 もちろん、消費者にとって買いやすい価格はあると思うし、それは大事にします。ただ、この3、4年、価格至上主義という時期があったんですが、これはやめます。まず作品を消費者の方々に伝えなければならない。2番目にリーズナブルな値段であると思うんです。それを作品のことはともかく、安いから買えというのは違うというのを明確にポジショニングしています。過去の経験を踏まえ改めて、我々が扱うものは作品として理解してもらうことが基本だろうと。だから価格訴求はしません。この作品があなたにとってなぜ必要なものなのかというところがマーケティングでしょう。それを第一に考えます。
 それと付加価値。作品は本編も楽しいけど、もっと膨らむものだと思うんです。この部分を映像特典とかパッケージ自体とか、それからブルーレイみたいなクオリティのものがあったり、いろんな形でいろんな満足の仕方というのがあると思うので、その付加の付け方というのをもっと研究したい。これからの時代、安ければいいだろうということではなく、どう満足してもらえるかということだと思う。特に我々が扱っているコンテンツは、そっちの方にもっと軸足を置いてやっていきたい。


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