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トップインタビュー:高井英幸東宝(株)代表取締役社長

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トップインタビュー:高井英幸東宝(株)代表取締役社長

2009年01月28日


「東宝」というイメージからの脱却へ
08年年間興収は同社の歴代新記録を達成
09年は「真夏~」「アマルフィ」「~太陽」等


 08年は、東宝にとって最高の年になった。09年は邦洋合わせて32番組がフィックス。果たしてこの勢いはどこまで続くのか。高井東宝社長が今年から来年を語る


本誌 昨年、本誌で高井社長にインタビューしたときには、映画調整部の歴史についてお話を聞き、今に至る好成績の背景をうかがうことができました。今回は、今年の業績、及び来年の展望などについて、まっとうにお聞きします。

高井 はい、わかりました。

本誌 今年は、年間で興収を740億円から750億円前後まで数字を伸ばすとのことです。改めて言うまでもないですが、これは東宝の歴代新記録の成績です。40億円以上の作品が4本。公開順に、「花より男子 ファイナル」「劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ギラティナと氷空の花束シェイミ」「崖の上のポニョ」「容疑者Xの献身」の4本ということですね。去年は4本あり、今年と同じでした。それから今年10億円を超えたのが、21本。昨年は、20本でした。今年の“大記録”は、もちろん「崖の上のポニョ」が牽引車になっているわけです。それから全体の興収として、1~11月で700億円を超えています。明らかに今年が東宝にとってエポックメイキングな年だったということで、それを踏まえて社長のお話をうかがいたいと思います。

高井 昨年の12月に2008年のラインナップを発表した時に映画営業・宣伝担当の千田(諭)専務が「(並んだ作品を見て)身体が震えた」と表現をしましたからね。一番のポイントは、やはり「崖の上のポニョ」という宮崎駿監督の作品を、どこまで大きくヒットさせるか――そのことが、前後の作品のヒットに結びついていくわけです。その点ではほぼ目的を達成できました。残念ながら全作品成功ではありません。前半、ちょっと予想を下回る作品があったんですが、それが良い刺激となって身を引き締めていったんで、そのあとは各作品の力を十分発揮することができたと思っています。今年は記録を出さなければならないラインナップだったことは間違いありません。

本誌 わかります。去年、12月13日だったと思うんですけれども、発表した時にすごいラインナップだったものですから、逆にこれは大変だなと。数字が上がって当たり前みたいなラインナップができていたものですから。その成果を出すのが、とにかく大変だなと感じたわけです。

高井 順調な時ほど気をつけなきゃいけないということを会議では繰り返し話しました。前半、期待した数字を下回る作品が続いた時には、やや冷や汗をかいたこともあったんですよ。でも、この冷や汗が効いたんだと思うんですよね。

期待はずれの2本

本誌 作品で言いますと、「マリと子犬の物語」が1年前の正月作品としてヒットした半面、「銀色のシーズン」「スマイル 聖夜の奇跡」「ガチ☆ボーイ」といったB級エンターテインメント的な感じの作品が、少し期待をはずれた気がしました。

高井 その3本に関しては、そんなに期待をはずれた結果ではなかったと思うんですね。やっぱり「少林少女」と「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」の2本ですね。この2本が、三塁打になってほしいところが二塁打で終わったっていうところがちょっと。

本誌 「隠し砦~」の反省点みたいなものはありますかね。

高井 黒澤明のリメイクだからいけないっていうことはないと思うんですね。樋口真嗣監督らしいエンターテインメントになるという期待がありました。それはそれで実現することができたと思います。しかし、お客様には、その面白さを十分には伝えることができなかったということですよね。時代劇は難しいなというのはわかりました。

本誌 やっぱり一番驚いたのは「花より男子 ファイナル」なんですけれども、これが77億5千万円。

高井 そうですね。この作品にはものすごい期待度がありました。企画が生まれた背景を見れば、ある程度のヒットは間違いない作品だという判断で、やらせていただきました。その時は頑張って50億円というのが一つのラインだと思っていました。それを軽く超えたのは、この作品が我々が想像した以上のポテンシャルがあったということですよね。前売券の販売状況から事前にかなりのヒット作品になることはわかりましたが、ラインナップを発表する時点では、あそこまでの成績は想像していませんでした。


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