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特集:松山千春の自伝的小説『足寄より』異色の朗読CDドラマ

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特集:松山千春の自伝的小説『足寄より』異色の朗読CDドラマ

2006年12月27日
時を超えたヒーロー松山千春の魅力は…
 千春役に塚本高史を抜擢
 メーカーの枠を超えたCD時を超えたヒーロー松山千春の魅力は…
千春役に塚本高史を抜擢
メーカーの枠を超えたCD


「新しいCDソフトを作りたい」。そんな思いが、このCDドラマとなった。今年、デビュー30周年を迎えた松山千春にスポットを当てた、朗読CDドラマ。 「出会い」「約束」「絆」、そして「旅立ち」をCDでドラマ化した異色の企画。


千春役に塚本高史を抜擢

 フォークシンガー松山千春の自伝的小説『足寄より』が、朗読によるCDでドラマ化され発売(10月4日)され評判になっている。千春役には人気俳優の塚本高史を抜擢。また、千春の生みの親として知られるラジオ局、STVラジオの竹田健二ディレクターとナレーションは田口トモロヲが務めている。アーティストの自伝は数多く出版されているが、CDによる朗読でのドラマ化は初めてだ。


 『足寄より』は、千春が77年に「旅立ち」でデビューして2年後の79年に発刊された。当時23歳の千春が、自らの生い立ち、生き方、そしてデビューするまでを描いた自伝的小説。小学館から発刊され、2年間で70万部を超える大ベストセラーとなった。
 81年には絶版になったが、今年5月末に千春のデビュー30周年を記念して扶桑社から復刊されたところ、すでに5万部を超えるヒットになっている。
 「アーティストの生き様を本格的に描いたものとしては、矢沢永吉『成り上がり』があるが、松山千春『足寄より』は、その元祖といっていい。当時は、社会現象にもなるほどの評判だった。現在でも十分に読み応えがある」と音楽評論家の富澤一誠氏。

 CDでのドラマ化では、千春の生みの親として知られる、北海道のSTVラジオの竹田健二ディレクター(享年36歳)との出会いから、デビューまでのふれあいを、竹田ディレクターの視点から描いている。「千春の初期の頃の作品を盛りませながら、千春と竹田さんとの出会い、別れを感動的に描いていく」と脚本と演出を担当した朝倉薫氏。



メーカーの枠を超えたCD

 また、同CDの最大の特徴は、千春の所属メーカーでもなければ、楽曲の権利も全く持っていないユニバーサルミュージックが企画したことだ。「新しいソフトを開発したい」と同社が、幅広い年代層から支持を得ている千春に目をつけた。千春の所属メーカーであるコロムビアミュージックエンタテインメントに了承を得て、制作した。
 「30周年を迎えた今年中に出したかった」とユニバーサルミュージック/UM3の加藤久典部長。
 楽曲に関しても、収録曲9曲についてもデビュー当時の権利を所有するポニーキャニオンからデビュー曲「旅立ち」や「こんな夜は」「君のために作った歌」「大空と大地の中で」「初恋」「帰郷」など6曲を借り、コロムビアミュージックエンタテインメントからは「ふるさと」「門出」「大いなる愛よ夢よ」の3曲借りた。まさに、メーカーの垣根を越えた作品集が完成した。
 「自伝的小説をCDでドラマ化すること自体も異例だが、1曲も楽曲を持たないレコード会社から発売するのは初めてのケースだと思う。内容的にもベスト・アルバムに近いものとなっているし。新しいタイプのCDとして注目を集めることは確か」(富澤氏)。


   ――――――――――――


『合理主義に反旗を翻せ
  ~松山千春の異色のCDドラマの魅力~』
    作家・演出家 朝倉 薫



 松山千春はデビュー以来30年間、生まれ育った北海道に居を構えながら、第一線で音楽活動を続けてきた。

 その宣言の書とも言える彼の初自伝『足寄より』が発刊され、ベストセラーとなったのも、27年前の出来事だ。

 松山千春は足寄に生まれ、足寄に育った。どんなに遠くへ旅に出ても、必ず足寄に戻って、足寄で生きて、やがて足寄で眠る。
23歳でそう宣言した松山千春は、その生活を実践し、51歳を迎えようとしている今も、旅を続けている。誰が望んだとしても、簡単に出来る事ではない。人類は便利さと時間の短縮に命を削ってきた。松山千春は隠居生活をしているわけではない。年間に70回近いコンサートで全国を駆け巡り、新曲を書きレコーディングを行い、北海道に戻ってはデビュー前から続けているSTVラジオに出演する。

 彼は堕落した人類に対する反逆者なのかもしれない。大げさに言えば、そういうことだ。

 デビュー30周年を記念したドラマCDを作りたいと依頼を受けて、僕は改めて若き日の自伝『足寄より』を読み返した。

 あまりにも純粋な想いにあふれたひとり語り。才能あふれる若者の成り上がりの書と一言では消費できない、苦労と成功の物語だ。歌に対して、家族に対して、人生に対しての想いを、23歳の松山青年はまっすぐ前を見つめて語っていた。

 彼は、50となった現在も、23歳の頃と同じ想いを実践し続けている。

 故郷、友人、歌、家族。そして、愛。フォークシンガーの王道を進む松山千春の眼中に、時代や流行は入らないのだろう。

 ぼくは、この『足寄より』を原作として、CDドラマ化することになったのだ。原作をなぞるだけなら、本を朗読すればいい。映像のないドラマCDという媒体で、何を表現すればいいのか。長年オリジナル脚本を手がけてきたプロとして、初めて覚える体の震えだった。



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