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「グラミー賞」の最優秀新人賞への疑問…

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「グラミー賞」の最優秀新人賞への疑問…

2012年02月15日

 世界で最も権威のある音楽賞「第54回グラミー賞授賞式」が12日夜(日本時間13日)、米ロサンゼルスのステイプルズ・センターで行われた。今回は、授賞式の前日にホイットニー・ヒューストンが急死したことで、授賞式以外の部分で大きな話題になった。

 そういった中、主要3部門(「年間最優秀レコード」「年間最優秀アルバム」「年間最優秀楽曲」)をアデルが独占した。

 アデルのアルバム「21」は、2011年の最大のヒット・アルバムだった。何と言っても世界20か国で1位にランクされ、総売上は実に1300万枚以上となった。この結果が、今回の「グラミー賞」を象徴した格好だが、とにかくアデルはノミネートされた6部門の全てを受賞した。

 しかし、そういった中で納得のいかなかったのが、今回も最優秀新人賞(ベスト・ニュー・アーティスト)の受賞だ。何と無名のシンガーソングライター、ボン・イヴェールの頭上に輝いたのだ。もっとも、ここで「無名」と言うのはあくまで日本人としての感覚だが…。

 それにしても、注目のニッキー・ミナージュは!?

 今回の「最優秀新人賞」はニッキー・ミナージュ、ボン・イヴェール、J・コール、ザ・バンド・ペリー、そしてスクリレックスの5組で争われた。その結果が「やっぱり…」なのか、それとも「まさか…」なのか…と言うわけである。

 ボンは、米国はウィスコンシン州出身のシンガー・ソングライター。前述した通り日本では知名度が低い。が、世界の音楽中ファンから熱い支持を得ている…ということなのか?

 しかし…である。前年のエスペランサに続いて、一体、最優秀新人賞の受賞者選考ってどうなってるのか? 前年の場合は、言うまでもなくジャスティン・ビーバーが有力視されていた。ところが、いざとなったら「年齢が(16歳で)若すぎる」というのが、受賞できなかった理由のようだ。しかも、授賞式の次の日、CBCテレビでは「エスペランサとは、どんなアーティストなのか?」なんて特集番組まで…。「グラミー賞」を生中継しているテレビ局が一体…。それだけじゃない。ジャスティン・ビーバーが受賞できなかったことへの疑問が音楽関係者の間からも巻き起こって、結果的にエスペランサは受賞記者会見まで中止せざるを得ない状況になった。こんなこと前代未聞である。

 で、今回は…。最も注目されていたのはニッキー・ミナージュだったことは明らか。と言うのも、女性ラッパーの彼女はズバ抜けた音楽センスとカリスマ性で全米で人気急上昇中だったからだ。この男性ラッパーが多い中で、ニッキーは数少ない女性ラッパーである。その彼女が女性ラッパーとしては7年ぶりに全米ラップ・チャートで1位にランクされた。これは評価すべきだろう。

 しかも、彼女の個性的なファッションは「ポスト・ガガ」と呼ばれている。さらに彼女は、マドンナの “秘蔵っ子” としても知られている。先日は、NFLの優勝決定戦スーパーボウルのハーフタイムショーに、マドンナと一緒にライブパフォーマンスを繰り広げ、CDでマドンナと共演している新曲「ギブ・ミー・オール・ユア・ラヴィン」を披露し、詰めかけた聴衆の歓声を浴びた。

 いずれにしてもマドンナも今や54歳。「あらゆる音楽性で28歳の彼女に託している」と言っても過言じゃないだろう。と言うより、マドンナにとっては、彼女でガガに対抗したいのだろう…。彼女自身も「マドンナの期待を裏切ることはない」と断言するほどである。

 マドンナ以外からも絶賛されている。今回の「グラミー賞」では最多の7部門でノミネートされたカニエ・ウエストをはじめマライア・キャリー、クリスティーナ・アギレナなどともコレボレーションしている。また、今年に入ってからはブリトニー・スピアーズのコンサートでオープニング・アクトを務めている。誰もが、ニッキーに対して「彼女はビックになる」と断言している。もちろんブリトニーも「全てにおいて素晴らしい。一緒に組めて幸せ」と大絶賛だ。

 いずれにしてもボン・イヴェールとは比較にならないはずだ。そういった部分では疑問も多かったが、今年の「グラミー賞」は、やはり亡くなったホイットニーによって救われたかもしれない。何せ、マイケル・ジャクソンの「スリラー」時代以来の24年ぶり、歴代2位の高視聴率だったと言う。

(渡邉裕二)

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