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ブラピ主演『ジャッキー・コーガン』プレシディオ南野修一宣伝部長

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ブラピ主演『ジャッキー・コーガン』プレシディオ南野修一宣伝部長

2013年04月19日




効率性の高い劇場宣伝、広告展開仕掛ける

――キャンペーンも、かなり“異色”です。

南野氏②.jpg南野 昨年12月入社の当社新人宣伝マン・細野を、4月26日の公開初日までに、劇中のブラピさながらのワル&セクシーに仕立てる企画を好評実施中です。細野にはジャッキー・コーガンと同じ革ジャン姿で、社内外の業務にあたらせています。公式サイトやSNSで盛り上げ、“和製ジャッキー・コーガン”として初日舞台挨拶に登壇することを目指しています(笑)。エンタメらしく、バカっぽいノリで、瞬間的に話題性を獲得できればというところです。

――4月1日、ジャッキー・チェン監督・主演作『ライジング・ドラゴン』(4月13日公開、角川映画配給)とのエイプリルフール企画には、驚きました。

南野 一般の方々から、ジャッキー・チェン主演作と、『ジャッキー・コーガン』というタイトルの映画が同時期に公開されるのは紛らわしいという意見があり、それを逆手にとって、角川映画さんにお声掛けし実現した企画です。ジャッキー・チェンとブラッド・ピットが互いに主演を交代したという架空の設定にし、公式サイトなどで告知し、盛り上がりました。

――イベントも、ちょっと“アソビ感覚”のあるものを実施していますね。

南野 まず、ダンテ・カーヴァーさん出演によるWEB向けの動画「今さら人に聞けない!罵り方講座」を作りました。かつてテレビ東京で放送されていた番組「今さら人に聞けない!怒らせ方講座」から着想を得ました。劇中でブラピ含めた俳優たちが相手を罵るセリフを連発するのですが、品行方正で絶対罵らなさそうな人、かつ英語が上手な人を条件に人選を進め、ダンテさんにオファーしました。4月4日に都内スタジオで収録し、全7話(各1~2分)を公開1週前の4月19日から前日25日まで1日1話ずつ、ニコニコ動画内の本作チャンネル内で配信します。劇中の罵りシーンも並行して流して、比較しながら楽しむことができるようにします。

 もう一つは、前述したゲーム「スペシャルフォース2」とコラボしたイベントです。同ゲームは一人称視点のシューティングゲーム、映画は一匹狼の殺し屋が主人公ということで、ピン芸人3人(R-1優勝者)が集まり、真の一匹狼の座をめぐって4月15日にゲームで対戦しました。この模様は狙いどおり、多数のメディアで取り上げられました。

JCジャッキー・コーガン■サブ4.jpg――インシアター宣伝にも力を入れているそうですね。

南野 インシアターの宣伝は、とても重要だと認識しています。TOHOシネマズの「1ミニッツ」という企画を利用しました。1ミニッツは、配給会社が1分間の予告編の枠を購入するもので、希望する上映作品の本編に自社作品の予告編1分をアタッチできます。当社は2月に公開した『レッド・ライト』で初めて利用し、今回が2回目です。4月に入れば予告編はかかるでしょうが、2~3月の早い段階でお金を投じてでも映画館で映像を流したいと考えました。そこで、ターゲットの近い『アウトロー』と『ダイ・ハード ラスト・デイ』の2作品にアタッチし、31館で合計28万人の観客が『ジャッキー・コーガン』の予告編を早期に見たことになります。狙った層に向けて訴求ができ、1ミニッツ実施中には前売券の販売枚数も伸びました。

 TOHOシネマズ以外の劇場においても、大型のバナーを制作して掲出するなど、劇場来場者を取り込む作業を進めてきました。

――広告展開も重要です。

南野 テレビスポット投下の時期は、第1期と第2期に分けました。公開直前のスポットで初めて認知してもらうのでは、なかなか劇場へ足を運んでもらえません。早めにスポットを打って、その後にイベントなどのパブリシティが出て関心を高めておいて、公開直前にもう一度スポットを打って、関心を持つ人の背中を押すような流れを作る戦略です。第1期は公開時期から離して、3月30日から1週間にわたり関東、関西で実施。第2期は4月19~25日の公開直前1週間、全国規模で落とし込みます。また、金銭的に余裕のありそうな大人をターゲットに、BS、CSの各チャンネルでも公開直前にスポットを流します。

――WEB広告も、よく目にします。

南野 CCC Xrostという広告サービスを使い、ブラピ過去作をTSUTAYAでレンタル、購入した人に対して、デザインの異なる3種類のバナー広告を配信しました。2月から3月上旬の早期に配信を行ったのは、どのデザインがよくクリックされるのかを知って、公開直前のクリエイティブに生かすためです。また、Googleアドネットワークを活用し、指定したキーワードで検索した人に広告を表示させ、また、映画公式サイトに来たユーザーを追いかけてネットワークしている媒体で広告を優先的に表示させるようにしました。

 Yahoo!のトップページにも、当社で初めて広告を出します。広告料金はかなりの高額ですが、最後の一押しに役立つはずです。映画サイトでの展開にも力を入れており、ややライトな映画ファンの多い「シネマトゥデイ」ではブラピ特集を切り口に、よりコアな映画ファンが多い「映画.com」では殺し屋映画特集を切り口に、それぞれ『ジャッキー・コーガン』紹介特設ページへ誘導します。

『インポッシブル』との2本“劇場で勝つ”

――パブリシティ、タイアップ、イベント、広告など、プレシディオの『ジャッキー・コーガン』に懸ける思いが伝わってきました。改めて、興収目標は?

JCジャッキー・コーガン■サブ5.jpg南野 興収10億円を目指します。ブラピ主演、200館規模で10億円という目標は、簡単ではありませんが、十分に達成は可能だと思っています。当社の最高記録が、2010年1月に公開した『パラノーマル・アクティビティ』の6億円です。まずはこの数字を超えて、さらに上のレベルを狙います。

――南野さんは一時、自社配給作品の宣伝から離れ、他社作品の宣伝を受託したり、自社運営の映画サイト「Gacchi(ガッチ)」に関わっていました。

南野 年度替わりの昨年10月から、1年ぶりに映画の配給チームに戻ってきました。実は、今回の人事異動には、我ながら大きなミッションを抱えていると感じています。もともとビデオ向けの作品を得意としてきた当社ですが、特に、私のいない1年ほどはビデオ向け作品に偏りすぎました。社内的には、今年度(2012年10月~2013年9月)は“劇場で勝つんだ”という気勢を上げて取り組む1年目との位置づけです。

――そうなると、『ジャッキー・コーガン』は絶対に結果を残さなければなりませんね。また、6月14日公開の『インポッシブル』も深い内容の作品で、ナオミ・ワッツがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたことも話題になりました。

南野 『インポッシブル』はスマトラ沖地震をテーマにした家族の物語ですが、買付けの担当者ではなく、配給チームが“ウチでやりたい、当ててやる!”と声を上げて買付けを決めた配給主導の作品なのです。『ジャッキー・コーガン』と『インポッシブル』は、映画館で見るべき映画です。配給会社である以上、こうした劇場で勝負する作品を常に手掛けていきたいというのが、偽りなき本音です。この2本をヒットさせて、配給会社として一人前になって、次なるステップに進んでいきたい。そのためにも、まずは『ジャッキー・コーガン』での大勝負に絶対に勝たなければなりません。そういう覚悟で、臨んでいます。(了)

(インタビュー/文・構成:松本貴則)




■南野 修一 氏 プロフィール

大阪府出身。
同志社大学卒業後、2003年4月に株式会社ギャガ・コミュニケーションズ(現・株式会社ギャガ)に入社。
2006年11月に現在の株式会社プレシディオに転職、宣伝部長を務める。



(C) 2012 Cogans Film Holdings, LLC


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