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パラマウント ピクチャーズ ジャパン 星野 有香 マーケティング本部長

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パラマウント ピクチャーズ ジャパン 星野 有香 マーケティング本部長

2013年08月09日




映画の面白さを伝える


 ――カンバーバッチを宣伝の柱に据えたのには、十分な説得力がありますね。さて、6月までに呪いを解き、7月にカンバーバッチで攻めて、公開直前の8月は…。

 星野 8月は、とにかく映画の面白さを伝える時期です。よく言われることで、タレント押し、本作の場合はカンバーバッチだけでは興収10億円止まりです。元々の『スター・トレック』ファンで10億円、合わせて20億円です。これに30億円を積み上げるのが、映画そのものの持つ力です。

 ――具体的には、どうしますか。

 星野 とにかく色々なことを行っています。一つは、シネコンウォーカーの『スター・トレック イントゥ・ダークネス』特別リーフレットを作成し、劇場で設置・配布しました。その中には、海外の高評価、発信力のあるオピニオンリーダー3人(映画監督・樋口真嗣、映画ライター・渡辺麻紀、映画ジャーナリスト・宇野維正)のレビューを掲載したほか、観客に近い立場にいる興行会社の主に番組編成担当者の方々にコメントを寄せてもらいました。

 ――50億円を狙うとなると、やはり客層を広げる作業が必要です。

 星野 前作にはなかった日本語吹替版を作り、ファミリー層の取り込みを図ります。スポックの恋人ウフーラ役に起用した栗山千明さんは、『スター・トレック』のコアなファンの間でも評価されています。また、エンタテインメント性を訴える手段として、カラートーンを意識しました。主要キャラクターは各自異なる色の衣装を着ているのですが、その違いを生かした広告デザインを作り、見た目のインパクトを生み出しました。

 ――劇中の挿入楽曲も、話題となっています。

 星野 今春にJ.J.から、バーのシーンで使用する楽曲を日本人アーティストと共同プロデュースしたい旨のオファーが来ました。日本サイドで人選を進め、中田ヤスタカさんにオファーし、快諾していただき、楽曲「Into Darkness」が完成しました。中田さんは、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅなどのプロデュースを手掛け、DJとしても活躍しています。楽曲共同プロデュースは世界6ヶ国のトップアーティストが行っていますが、J.J.は日本の楽曲が「6ヶ国中で最高傑作だ」と大満足しています。きゃりーぱみゅぱみゅがゲストヴォーカリストとして参加していることも含めて、この楽曲は10代、20代の若い世代に強いアピールになるはずです。


お盆に先行公開


 ――8月23日公開ですが、16~18日先行公開が決まりました。

『スター・トレック』サブ1.jpg 星野 公式フェイスブックや公式ツイッターには、いち早く映画を見たいという声が多数寄せられていて、それに応えた形です。お盆は一年間で映画館のお客さんが一番多いシーズンですから、当社としても嬉しいことです。先行公開の直前にスタッフ、キャスト全員が来日し、8月13~14日に稼働して、先行公開に向けて一気に盛り上げます。お盆の時期は日本人の生活導線が変わりますから、来日した模様をテレビ番組で見た人が、劇場に足を運ぶような流れを作り出したいと思っています。

 ――宣伝費は、今年のパラマウント作品で最高額ですね。

 星野 今年最大の勝負作ですから、『ミッション:インポッシブル』『トランスフォーマー』両シリーズのように、宣伝費は2ケタに乗ります。テレビスポットは3000GRP規模。前作の客層はM2、M3層が主でしたが、今回はM1、F1層に届くようなスポットの打ち方をします。15秒より30秒、30秒より60秒と、なるべく長いスポットを放映していきます。2分という長尺も作りました。

 ――KURE5‐56(呉工業)とのテレビスポットは、パラマウントの定番ですね。

 星野 KURE5‐56とのタイアップは『トランスフォーマー/リベンジ』『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』に続き3回目。泉谷しげるさんの出演する30秒のテレビスポットが、2000GRP投下されます。これに加え、首都圏のTOHOシネマズで『ワイルド・スピード EURO MISSION』の上映前に、KURE5‐56のシネアドが流れ、続けて本作の予告編が流れるような連動を図っています。

 ――他にタイアップは。

 星野 7月1日からJR東日本ウォータービジネスとのタイアップを始めました。JR各駅に設置された次世代自販機500台に映像とメッセージが流れ、自販機の側面には等身大のカークとスポックが現れるという面白い企画です。また、コンビニ全社とのタイアップを獲得しました。最近はコンビニと洋画がタイアップを組む際は、1社独占が殆どなのですが、今回は全社の店舗で2~3週間ずつ露出します。他にも豆腐の波乗りジョニー(三和豆水庵)、九州のパン製造会社リョーユーパンなど、多数のタイアップが決まっています。


興収50億円に向けて手応え十分


 ――イベント関係は。

 星野 お台場にある日本科学未来館で来日イベントを行います。元宇宙飛行士の毛利衛館長の登壇や、未来の地球をイメージした館内をスター・トレック風に演出するなど、皆さんが驚くような仕掛けを準備しています。

 ――ネットでの展開はいかがですか。7月16日、カンバーバッチの来日記者会見をニコファーレで行い、その模様をニコニコ生放送で生中継したのは画期的でした。

 星野 フェイスブックやツイッターなどSNSでのキャンペーンに力を入れています。7月中旬時点で、フェイスブックの「いいね!」が2万件を超えているので、順調な推移だと見ています。使用できる映像が豊富にあるので、ネタバレにならない範囲でギャオやユーチューブに映像をアップして、バイラル効果を狙っています。

 ――今回は、3Dにも力を入れていますね。

星野②.jpg
 星野 全国650スクリーンで、3Dが330、2Dが320という想定です。当社は『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』公開の際に、3D興収比率83%という驚異的なシェアを獲得したのですが、今回も3Dを強調していきます。興行サイドから3D押しを期待する声も聞かれますし、数ある夏休み映画の中での差別化にもつながると思っています。

 ――興収50億円という目標に向けて、手応えのほどは。

 星野 宣伝はプランどおり順調に進んでいて、今では十分にそのラインを狙える位置にいると自覚しています。海外では57ヶ国で前作比180%の興収を上げており、日本の場合はそれをはるかに上回る増加率が必要ですが、ここまでの推移を見る限り、かなりの手応えがあります。最後まで全力を尽くして、「夏の大本命」に相応しい成績を上げられるように公開まで突っ走ります。(了)

(インタビュー/文・構成:松本貴則)



(C)2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.



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