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『ハドソン川~』航空評論家の杉江氏が解説

【FREE】『ハドソン川~』航空評論家の杉江氏が解説

2017年01月27日
有村(左)と杉江が『ハドソン川の奇跡』を解説 有村(左)と杉江が『ハドソン川の奇跡』を解説

 ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント発売『ハドソン川の奇跡』のブルーレイ&DVDリリースを記念したトークイベントが25日、東京・東新橋のスペースFS汐留で行われ、映画コメンテーターの有村昆と、航空評論家の杉江弘が登壇した。

 クリント・イーストウッド監督による同作は、09年に極寒のNYで、離陸直後に発生した航空機のエンジン事故でハドソン川水上に無事着水を果たし、全員生還の偉業を成し遂げたサリー機長の知られざる苦悩と、真実を描いたヒューマンドラマ。元日本航空の機長でもある杉江は、事故の原因となったバードストライクについて「鳥の大きさで被害はピンキリ。スズメなどの小さなものは多いが、今回のように幅が1・5m、(体重)4kgのカナダガンが群れで入ってくるとエンジンが止まってしまう。これは想定外。あと、通常は片方のエンジンが止まっても、もう片方を使って着陸できるが、両方とも止まってしまうのも想定外」と、今回の事故がいかに異例の状況であったかを説明。サリー機長は事故発生から208秒後の短時間でハドソン川への着水を成功させたが、杉江氏は「普通のパイロットはほとんどが空港に戻るが、サリー機長はすぐにハドソン川に向かった。追い詰められて下した判断ではなく、普段から研究し、考えていないとできない。あと、彼はすぐにAPU(補助エンジン装置)を入れているが、これはエンジントラブルのチェックリストでは15番目に出てくるもので、これも普段から考えていないとできない」と、サリー機長の経験からくる瞬時の判断の的確さを称賛し、「ハイテクの時代でも、最後はやはり人間なんだということが描かれている」と作品を高く評価した。

 また、有村は同作の特典映像に収められている「イーストウッドが早撮りで驚いた」という主演トム・ハンクスのインタビューに触れ、「『1回テストでまわしてみよう』と言って、パンとやったら、もうそれでOKらしい。今回の映画は、トム・ハンクスはほぼファーストテイクが使用されている」と話し、名優の自然な演技も注目のポイントに挙げた。ブルーレイ&DVDは同日より発売。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。