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渋谷ツタヤ、IP主軸で体験価値重視の店舗に刷新

【FREE】渋谷ツタヤ、IP主軸で体験価値重視の店舗に刷新

2024年04月26日
 カルチュア・コンビニエンス・クラブは、4月25日(木)に「SHIBUYA TSUTAYA」をリニューアルオープンした。DVDやCD、コミックの販売とレンタルを主力としていた従来の店舗から大刷新。若年層やインバウンドをメインターゲットに、ビル全体でIPコンテンツに触れ、体験を楽しむことに主眼を置いた店舗に生まれ変わった。

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SHIBUYA TSUTAYA

 オープンに先駆け、24日にはマスコミ向けに内覧会を開催。髙橋誉則代表取締役社長兼CEOは「(現代は)コンテンツに対する『好き』『推し』が多様化している。一人の人間でもいくつものパーソナリティを持っている時代。その流れの中で、新しいリテールのビジネスの在り方をこの場所で実現したかった」と店舗リニューアルの意図を説明。また、詳細については渋谷プロジェクトエグゼクティブプロデューサーを務める鎌田崇裕氏がプレゼンした。

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髙橋誉則社長

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渋谷プロジェクトエグゼクティブプロデューサーの鎌田崇裕氏


 事前の調査によると、同店舗前の通行者の割合は20代が最大ボリューム。特に女性が多いとの結果が出ている。また、リニューアル前の店舗の1日の客層を調べたところ、6割を外国人が占め、50か国を超える多様な観光客が足を運んでいることがわかった。さらに、渋谷駅周辺で「不満・不便」を感じることのアンケート調査では、「カフェが混んでいること」「休憩できる場所が少ない」ことが突出しているという結果も表れた。リニューアル店舗では、日本が誇るIPを軸に、こういった調査結果から浮き彫りになったニーズに応えていく。

 同店舗では、一般の利用客に加え、顧客としてコンテンツホルダーも想定する。鎌田氏は「BtoCtoB」と表現し、企業との協業にも力を注ぐ方針を掲げる。売上比率は、企業のプロモーション利用による収入が4割、物販が3割、残りがカフェやシェアラウンジといったその他収入をイメージしているという。従来店舗はピーク時の1日の来館数が2万人ほどだったが、今後は約3万人と予測。オープン後しばらくは特に混雑が予想されるため、整理券を配布するなどして来館者数を規制する考えだ。

 SHIBUYA TSUTAYAをモデルとした全国でのフランチャイズ展開については、髙橋社長は「そのまま横展開しようとは考えていない」としつつ、「その地方の体験価値を作っていかなきゃいけない」と、店舗ごとに最適な業態を決めていく考えを示した。


イベントや物販フロア、カフェやシェアラウンジも

 SHIBUYA TSUTAYAは、地下2階から地上8階までの10フロアで構成される。

 7階は「コラボレーションカフェ」(77席)とし、落ち着いた照明と色調の中で、円状のバーカウンターからフードやドリンクなどを提供する。モニター前を椅子で囲んだイベントスペースも設けられている。特大パネルも設置されており、IPコンテンツとコラボした体験を提供していく。

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7階のコラボレーションカフェ(1)

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7階のコラボレーションカフェ(2)

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7階のコラボレーションカフェ(3)


 6階は「IP書店」。書店と銘打っているものの、販売する商材はコミックだけに留まらず、多くのグッズを販売する。海外では「SHOTEN」は、コミックから広がるグッズを販売する場所というイメージが広がってきており、6階も「SHOTEN」としての展開を意識。同店舗で最も物販に力を入れたフロアとなる。

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6階のIP書店(2)

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6階のIP書店(2)


 5階は「ポケモンカード・ラウンジ」。フロア全体がグレーカラーの格調高い雰囲気で、オシャレな空間の中でフードやドリンクを楽しみながらポケモンカードバトルを楽しめる。82席を擁しており、1650円(税込)から利用できる。

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5階のポケモンカードラウンジ(エントランス)

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5階のポケモンカードラウンジ(座席)


 3~4階は「シェアラウンジ」。4階はコミックやビジネス書が並ぶ書棚に囲まれた明るい空間で113席を用意。3階はフロアの各所にフィギュアを展示したシェアラウンジで139席を設置。大迫力の等身大フィギュアが客を出迎えており、オープン当初は「チェンソーマン」が展示された。軽食も充実しており、外国人から人気の冷凍食品も陳列。電子レンジやオーブントースターまで完備する。また、観光客のニーズが高い、スクランブル交差点を眺められる広々としたスペースも設けた。こちらのフロアも1650円(税込)から利用可能だ。

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4階のシェアラウンジ

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4階のシェアラウンジ スクランブル交差点を眺められるスペース

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4階から眺めるスクランブル交差点

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3階のシェアラウンジ 展示スペース

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3階のシェアラウンジ


 2階は「スターバックス」。最大の特徴は、店内をリボンのように湾曲しながら1本でつながる71mもの客席だ。また壁面にも、湾曲しながら35mも続く大型のビジョンが設置され、デジタルアートを見ることができる。2階もスクランブル交差点を眼下におさめるスペースが設けられている。

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2階のスターバックス

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2階のスターバックスのスクランブル交差点側スペース


 1階は「Shibuya IP Spuare A」(通称SIPS A)と銘打った巨大なイベントスペース。最大の特徴は3枚の大型LEDビジョンで、それぞれ移動が可能な設計になっている。オープンなフロアだが、少ないスタッフで壁を設置できる構造になっており、クローズドなイベントにも対応する。オープン当初は、4月4日から放送中のアニメ「WIND BRAKER」とのコラボを展開。7階のカフェと連動しながら作品を盛り上げていく。また、人気キャラクターと並んで写真を撮れる韓国発のフォトブース「フォトマティック」も2機が設置される。

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1階のイベントスペース「SIPS A」

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SIPS AのLEDビジョンは移動することができる


 地下1階は「Shibuya IP Square B」(通称SIP B)と銘打ち、こちらも1階と同様のイベントスペースとして活用。世界中の美術館で使用されている美術展示什器を使い、ギャラリー展示や物販も可能なフロアとなる。

 地下2階は「エンタメワンダーランド」とし、アーティストやアイドルなどのCDやDVD、写真集などを販売する。従来店舗の1階で培ったノウハウを用い、大型展示やポップアップ販売も行う。また、8階のスタジオや屋上スペースも夏以降に稼働を開始する予定だ。

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地下2階のエンタメワンダーランド(1)

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地下2階のエンタメワンダーランド(2)

 同店舗全体の特徴として、多くのフロアがスペースに余裕を持って設計されている点が挙げられる。コラボするIPによって柔軟にレイアウトを変えることができるほか、多くの集客にも対応できると見られる。また、店内各所にモニターが設置され、映像に触れる機会が多いこともポイントだ。屋外ビジョンにもこだわっており、渋谷駅やスクランブル交差点からの見え方も工夫していく。

 さらに、イベント開催時の配信設備も充実しており、ここから世界に向けた情報発信にも力を入れていく考えだ。


※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。