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ブラジルから来た山城カミーラ美幸の演歌愛

【FREE】ブラジルから来た山城カミーラ美幸の演歌愛

2013年02月20日
日系ブラジル三世の演歌歌手・山城カミーラ美幸 日系ブラジル三世の演歌歌手・山城カミーラ美幸

 「京都浪漫坂」(12年8月8日発売=フリーボード)でデビューした、日系ブラジル人三世の演歌歌手、山城カミーラ美幸。地球の裏側で、幼い頃から演歌を聴いて、歌って育ち、日本人以上にその心を理解する22歳は、「いつか(ブラジルでも見られる)『NHK紅白歌合戦』に出られるほどの歌手になって、故郷に錦を飾りたい。そして、地球規模の演歌歌手になりたい」と夢を膨らませる。

 2008年に来日。日系人ながら混血ではなく、容姿は今どきのふつうの日本の女子大生と変わらない。「顔も服装も日本人なのに、日本語が話せないので、こいつなんだ?と思われていたと思う」と苦笑い。今では日本での生活にもすっかり慣れ、日本語も流ちょうに話せるようになった。

 生後、言葉を話すより先に歌を歌ったというほど。家族の影響から、演歌に囲まれて育ち、「子どもの頃から日本で演歌歌手になるのが夢でした。美空ひばりさん、二葉百合子さん、川中美幸さん、石川さゆりさん…憧れでした」。ブラジルでカラオケ大会などに出場してのどを鍛え、高校卒業後に夢を追って海を渡った。

 来日後に作曲家・佐田みさき氏に師事し、本格的にボイストレーニングを重ねてきた。また日本語を習得、演歌を歌うのに欠かせない歌詞の読解力も身につけてきた。富田有氏作詩、佐田氏作曲の「京都浪漫坂」で念願のデビュー。「夢がかないました。カラオケで私の名前が出てくるんです!大事に大事に歌っていきます」。

 同曲は、2002年の「新しい日本の歌フェスティバル」でパブリック・ミュージック賞を受賞しながら、長らくCD化されていなかった。日本の中でも特に日本文化が色濃く残る京都のさまざまな坂を背景に描く、切ない別れの歌。

 ブラジル人のカミーラが、心を込めて歌う。「失恋した女性を描いた悲しい内容だけれど、決して後ろ向きなだけではない」と歌詞を読み解き、「とても綺麗なメロディーが印象的。私も大好きな京都を思いながら歌っているから、皆さんも京都の風景を思い浮かべながら聴いてほしい」。

 これからも、ずっと演歌を歌っていく決意。希望は「できるだけ “ド演歌” がいいです」。日本で活躍し、「将来はブラジルでコンサートを開きたい」と誓う。また、日本の若者に演歌の良さを伝えたいという。「生まれ育った日系ブラジル人社会では、子どもからお年寄りまで演歌を愛している。もしかしたら、日本人よりも日本の文化を知っているかもしれない。日本の若い人にも、日本文化にもっと親しんでもらい、演歌の素晴らしさを知ってもらいたい」。演歌普及のため、世界を駆ける―。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。