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カンヌレポ:学生短編で日本人女性が第二位

【FREE】カンヌレポ:学生短編で日本人女性が第二位

2014年05月27日
平柳敦子監督(左)と桃井かおり 平柳敦子監督(左)と桃井かおり

【カンヌ24日=映画ライター・岡田光由】

 いよいよ賞レースの結果が最終日に向けて次々と発表され始めた。まずは若い学生監督たちに贈る賞で、映画学校の推薦を受けた短編が集まるシネファンダシヨン部門で、審査委員長は『ライク・サムワン・イン・ラブ』の監督アッバス・キアロスタミである。

 その部門で全16作品中第二位となったのが、平柳敦子監督の『Oh Lucy!』だ。これは桃井かおりが主演し、彼女が演じる中年のOLが英会話学校でルーシーという名と金髪のカツラを与えられ、自分とは別の人物ルーシーになりきっていくコメディである。桃井が特異のキャラクターを発揮して笑わせる。その桃井との出会いは、平柳監督が日本で毎年開催のショートフィルム・フェスティバルでグランプリを受賞したときだそうで、まさか桃井かおりが快く出演してくれるとは最初は思わなかったらしい。
「だって、出演依頼のメールのあと、私の住むロサンゼルスまで来て頼むんだもの。しかも妊婦の姿でしょ。断るわけにはいかないでしょ」と桃井。入賞の知らせを受けた平柳監督は「映画製作はとても大変だけど、世界で最高のカンヌ映画祭で入賞できて、とてもうれしい」と満面の笑みを見せた。

 平柳監督は1975年長野県生まれで、現在はシンガポールに在住。最初は俳優志望で、サンフランシスコ州立大学で演劇を学んだ。その後、監督を目指してニューヨーク大学シンガポール校へ転校、そこの卒業制作となったのが『Oh Lucy!』なのだ。しかも二人目の子供を妊娠中に撮った作品とは。日本女性の肝っ玉ぶりを発揮した快作である。なお、賞金として1万1250ユーロが贈られた。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。