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田辺・弁慶映画祭、柴田監督作品が最高賞に

【FREE】田辺・弁慶映画祭、柴田監督作品が最高賞に

2014年11月12日
第8回田辺・弁慶映画祭開催(後列左から5人目が柴田監督) 第8回田辺・弁慶映画祭開催(後列左から5人目が柴田監督)

 11月7日(金)~9日(日)まで、和歌山県田辺市の紀南文化会館で「第8回田辺・弁慶映画祭」(主催:田辺・弁慶映画祭実行委員会)が開催され、若手映画監督作品のコンペティション部門の各賞を最終日に発表、弁慶グランプリは柴田啓佑監督『ひとまずすすめ』(30分)が受賞した。同作は、さらに市民賞、今年新設された男優賞(木村知貴/『SLUM‐POLIS』と2作の出演で)と女優賞(斉藤夏美)も受賞し、高い評価を受けた。コンペの特別審査員は、掛尾良夫(審査員長)、山下慧(映画評論家)、沢村敏(東京テアトル)、吉田恵輔(映画監督)の4氏が務めた。

 『ひとまずすすめ』は、市役所の戸籍課で働く三十路目前の女性を主人公に、人生で直面する様々な問題、「結婚」「家族」「夢」「幸せ」を通して、彼女の葛藤をユーモアを交えながら描いたドラマ。

 柴田監督は1984年生まれの30歳。日本映画学校(現日本映画大学)在学中に制作した前作『ヤギ、おまえのせいだ』は、第6回田辺・弁慶映画祭に入選しており、今回が入選2回目。現在、助監督として様々な現場に参加する一方で、自身の監督作品を制作している期待の若手監督。『ひとまずすすめ』(脚本:小森まき)は、福岡インディペンデントでグランプリ、第16回長岡インディーズムービーコンペでグランプリ、映文連アワードで優秀作品賞(準グランプリ)を受賞している。柴田監督は、協力してくれたスタッフ、キャストに感謝を述べ、「これからも “人間” をしっかりと描いていきたい」と抱負を語っていた。

 なお、「映画検定」1級合格者である映検審査員が選ぶ映検審査員賞は小崎基広監督『4mmベニヤ3枚と半』(70分)、今年特別設置された文化通信社賞は塚田万理奈監督『還るばしょ』(35分)が受賞した。

 次代を担う新しい才能を応援する趣旨で新設された文化通信社賞を受賞した『還るばしょ』は、塚田監督が日本大学芸術学部映画学科の卒業制作で撮り上げたもの。歯科衛生士の女性を主人公に、証明できない不確かな自分を見つめた物語。コンペ8作品の中でも、より監督のパーソナルな経験を基にした作品で、フィルムで撮影された映像の中に、主人公の不確かな心の揺らぎが描かれ、主演の佐藤由紀子が見事に演じている。塚田監督は「自分が漠然と不安になった時をそのまま描きました」と語っており、作家としての可能性を感じたので同賞を授与された。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。

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