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『台湾アイデンティティー』は若い人が観るべき映画 (vol.31)

平池記者の「競馬ときどき映画」

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『台湾アイデンティティー』は若い人が観るべき映画 (vol.31)

2013年06月17日

 まずは先週の競馬予想の結果から。

・ユニコーンステークス サウンドトゥルー(8番人気)→3着
・函館スプリントステークス フォーエバーマーク(3番人気)→3着

 まあまあの結果でした。ユニコーンは馬券も取りましたが、なにせ3着同着で配当は半減。嬉しさ半分悔しさ半分というところです。


 さて今日は映画の話題。先日、 『台湾アイデンティティー』という作品を観ました。ためになる映画だったのでちょこっとご紹介。

 この作品は、台湾が日本の統治下にあった1895年から1945年に生まれ、日本語で教育を受けた「日本語世代」の台湾人にインタビューしたドキュメンタリー。

 彼らが、敗戦によって日本が台湾から撤退した後、どのように生き、日本に対してどのような感情を抱いているのか、それが6人の証言者によって赤裸々に語られています。

 まず私はこの映画を観て思ったことは、「もう、この時代を生きた人の話を聞く機会は限られている」ということです。登場する人物たちは皆20年代から30年代前半生まれ。年齢は80~90代となり、話を聞くことができるタイムリミットは目前まで迫っている。その点で、非常に貴重な証言集だと思います。

 東日本大震災の際、200億円を超える義援金が寄せられたことが示すように、非常に親日のイメージがある台湾。この世代の人たちも日本に愛着を持っていることを感じさせますが、「日本のことは好き」という一方で、「でもね…」と続く、複雑な心情も覗かせます。そこには、日本に見捨てられ、その後つらい思いをしてきたそれぞれの事情が見えます。この、「親日」の一言では言い表せない、彼らの感情の持ち様を現している点がこの映画の肝だと思います。

 そして、6人それぞれの人生がまさに「波乱万丈」で、失礼を承知で言えば“興味深い”のです。昨年、日韓合作の『マイウェイ 12000キロの真実』という映画が公開されました。この作品は、日本、ソ連、ドイツの軍服を着て戦地を転々とする数奇な人生を送った人物が主人公でしたが、『台湾アイデンティティー』に登場する人たちは、それを地で行ったような人々。証言している一人が「今の若い人にわからない」と話していますが、本当に想像もつかない人生を送っています。一人一人、映画化できそうなエピソードばかりです。

 それでいて、どの人も柔和な顔でインタビューに応じているのが印象的。これまで苦労してきたからこそ、平和になった今、残りの人生を穏やかに、楽しく生きているのが伝わってきます。

 日本と台湾がかつてどういう関係にあり、今に続いているのか。その一端をこの6人から知ることのできる、若い人が観ておくべき映画だと思います。『台湾人生』の酒井充子監督作品。7月6日より全国順次公開です。


平池アイコン(サイト用).gif平池由典(ひらいけ・よしのり) 映画部記者 兼 サイト事業部所属
 映画・DVDの取材を担当しています。“宇宙人が攻めてくる系”映画が大好物。趣味は競馬と映画鑑賞。当コーナーでは、競馬と映画を中心に自由につぶやいていきますので、良かったらご覧ください。

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