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【Vol.24】アニプレックス、またもやヒット

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.24】アニプレックス、またもやヒット

2013年11月28日
 前々回、アニプレックスの存在感について書いたばかりだが、今回も同社について書かないわけにはいかなくなった。

 11月23日に公開された『PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth』(劇場版『ペルソナ3』第1章)が、見事なスタートとなったのだ。初日2日間の興行成績は動員3万9963人、興収6091万2300円。週末の興行ランキングは動員が7位、興収が6位。ミニシアターランキング(30スクリーン以下)では堂々の1位を飾った。

 公開館数がわずか26スクリーンでこの数字。まさに大ヒットである。スクリーンアベレージは234万円で、群を抜いての1位だった。

 来場者の年代は10~30代が中心。男女比は4:6で女性が多い。同作はプレステ用2のゲーム「ペルソナ3」が原作だが、RPG原作作品としては珍しく女性からの支持も高い。原作ゲームの体験者だけでなく、同作で初めて「ペルソナ」シリーズに触れる人も多かった。

 ヒットの要因は複合的だろうが、改めて同社に聞いてみると、以下の3点を挙げてくれた。

(1)「ペルソナ4」のゲームやテレビアニメを入口に「ペルソナ」シリーズのファンになった人が、劇場版『ペルソナ3』第1章に来ているのではないか。「ペルソナ4」のアニメは昨年3月まで2クール放送され、パッケージの売上も好調だった。昨年6月には「ペルソナ4」のアニメを再編集した特別版が、映画館でイベント上映されている。

(2)自社のアニメ作品に、劇場版『ペルソナ3』第1章の予告編を付けた効果が出ているのではないか。他社のアニメ作品でも劇場サイドの判断により、予告編編成において同作が選ばれていたかもしれない。

(3)女性は1人で来るよりも、誰かを誘う傾向がある。同作に興味を持つ女性が、シリーズを知らない友人らを誘って来場するケースも多そう。

 こうした要因が重なり、ヒットにつながった。女性の比率が上がり、初めてシリーズに触れる人も多くなった。そんな分析だった。

 それにしても、同社が製作にかかわった劇場用アニメはヒット続きだ。今年7月から毎月封切りがあり、すべてがヒット。テレビアニメの劇場版の場合、固定のファンがいる。その層に訴求すればいいから、ヒットの確立は高い。そうかもしれないが、他方、口で言うほど簡単ではないだろう。

 12月封切り作品はないが、年明け1月には「アイドルマスター」の劇場版がある。そして4月以降の来年度は、劇場版『ペルソナ3』の第2章、2009年に公開されたアニメ映画の第2弾『センコロール2』、この2作品がすでに決まっているという。どんな展開となるのか、早くも来年が待ち遠しい。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。





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