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トップインタビュー:広瀬道貞(社)日本民間放送連盟会長

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トップインタビュー:広瀬道貞(社)日本民間放送連盟会長

2009年02月23日

いまは痛みを分け、辛抱のとき
 最悪の業績乗り越え完全デジタル化に自信
 深刻な状況ではない、負ける理由がない


 
 「悲観的な話ばかりが流行って困るよ」、民放連広瀬道貞会長はその大きな体を揺らし笑顔で話した。
 100年に1度とも云われる世界不況にあって、大手企業は赤字転落、リストラ断行、事業縮小と不況のスパイラルは止まらない。それは民放業界にも直撃し、半数近い放送局が経常赤字になるという過去最悪の業績となった。先行きが見えないまま2009年の年を迎え、景気後退で危ぶむ声も聞かれる2011年7月地上デジタル化完全移行という大命題を抱えながら、いかにこの難局を乗り切るか、各局とも打開策に頭を悩ませているはずだ。
 しかし、本誌インタビューに答えた広瀬会長に悲愴感はなく、09年年頭所感で記した『大きな夢を描いて歩こう!』そのままに、「この耐える時期を辛抱していこう」と呼びかけるように語った。
 その自信に裏打ちされるものは何なのか。放送界をめぐる課題は、地上デジタル化完全移行だけではない。広告費の低迷、放送と通信融合の法体系問題、制作費など経費削減、BS放送の多チャンネル化、放送外収入の拡大など…山積している。広瀬会長に今後の放送界がとるべき姿を問うてみた。





約半数が赤字と最悪

広瀬 放送局の経営は世界不況の環境下にあって、民放の歴史の中で、おそらく最悪、大変わるい数字になっている。そうした中で、中継局の増設など、2011年7月に向けて地上デジタル化完全移行をきちっと進めていくことが最大の課題。受像機は現在50%普及しているが、今年末までに77%、台数6400万台に増やす目標が立てられている。大変高いハードルだが、一丸となって取り組むとともに、消費者から、なぜ高い買い物をしなくてはいけないかというような反感が起きないように理解を深めていきたい。

 ―― 業績が最悪ということですが、具体的にはどういう状況ですか。

広瀬 08年度中間決算(08年4月~9月)において、民放連加盟201社のうち、衛星放送7社を除く、地上波194社の業績をみると、そのうち47%の92社が経常利益段階で赤字となった。地上テレビ127局では、そのうち43%の55局が経常赤字となった。中間決算とはいえ、半数近い局が赤字になるというのはおそらく例がなく、最悪の状況です。
その背景は、やはりデジタル化投資がある。民放全体で投資総額は約1兆円。そのうちローカル局では1局あたり30億円から50億円ぐらいの投資になっている。この30億円、50億円というのは各局の利益のおそらく10年分にあたるのではと思う。減価償却で各局の投資負担は、おそらく昨年、今年あたりがピークになっている。今年は、東京・大阪・名古屋の広域放送局が前年に比べて5・5%増え、その他のローカル局は前年とほぼ同じになっている。
通期見通しは、中間決算でこの状況にあって、昨年秋から景気急減速しているのだから、下期は上期に比べていい材料はなく、むしろ悪い材料が多いので、さらに悪化していくおそれがある。

来年度さらに減収予想

民放連は昨年12月下旬「2008~2015年度のテレビ、ラジオ営業収入中期見通し」を公表した。
地上テレビ営収は08年度過去最悪水準の4・6%減収を見込み、09年度はさらに上回り5・6%減と予測した。ただ、10年度に景気回復局面入りし、11年度以降は横ばい傾向を見込む。地上ラジオは08年度~09年度にかけても07年度並みの6・5%前後の減収を予測した。ただし、再度分析し09年1月28日に「09年度見通し」を改訂する可能性もある。


 ―― 民放連では09年度の営業収入が今年度よりさらに減収すると厳しい予想をしています。デジタル投資負担だけでなく、広告の減収、メディア間競争も激化して、民放の経営は相当に苦しくなるのではないですか。

広瀬 インターネットなどの新しいメディア競争の環境の中で、先の明るくない話かというと私自身は決してそうは思っていない。民放連の調査などもあわせて見て、デジタル投資のピークが過ぎる2010年ぐらいから徐々にいい方向に向かうと見ている。07年の下期から始まった景気低迷は、徐々に改善される。まして、広告費でインターネットにしてやられたというような実感は全くない。
新聞はたしかに深刻だと思う。長い間、新聞の料金を下げずにきて、そして販売経費をむちゃくちゃ使ってやってきたところがあった。コスト計画は、新聞の中身で競争するということに中々ならなかったんだね。販売力で勝負するようだった。それで、同じような情報やニュースがインターネットで流れているとなると、新聞4千円程度VSインターネット0円という値段の差が付き過ぎて難しくなった。やはり1から出直すというか、経営の根本のところまで戻らないと本当の意味での競争は出来ない。それで生き残りをかけて争わなくてはいけないが、まだそのスタートにもついてないので大変だと思う。
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