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今年の日本映画界は厳しい現状に直面

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今年の日本映画界は厳しい現状に直面

2011年11月28日

 師走も近づき、今年も映画の年度別成績を占う時期となった。

 作品別では、年間興行成績No.ワンは、邦画が「コクリコ坂から」(45億円/東宝)。洋画が「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(96億円/WB)の2本となりそうであり、今年は年間興収100億円突破作品がなしとなりそうである。

 全体でも年間興収2,207億3,700万円の記録を樹立した昨年対比で大手配給会社13社の1~10月月別累計が79%で推移しており、単純に前年比80%とすると、今年の年間興収は1,800億円を割ることになる。この成績は1997年の年間興収1,771億円(スクリーン数1,884スクリーン)、1999年の年間興収1,828億円(スクリーン数2,221スクリーン)の十数年前まで遡ることになる。

 これは映画館のスクリーン数が1,800スクリーンだったころの成績であり、現在映画館は3412スクリーン(昨年12月現在)の時代であり、1スクリーンあたりの興収は大幅にダウンする結果となっており、映画業界の中でも特に興行会社の厳しい現状がうかがいしれるというものである。

 では、年間の製作・配給本数はどうであろうか。

 明確な統計資料は出ていないが、製作・配給本数をうかがうデータとして映倫(映画倫理委員会)が月別で邦画/洋画(短編・中編を含む)の審査本数を発表している。

 邦画の今年1月~10月の審査本数累計は234本(中編・短編含む)で昨年の259本(1月~12月累計は305本=中編・短編含む)に比べて減少している。これは、大手3社がほぼ前年並みを維持しており、中規模の製作本数が減ったと推測される。

 一方、洋画は1月~10月の審査本数累計が259本と昨年の239本を若干上回った。都内単館劇場が減少している中での審査本数の増加である。シネコンを中心にチェーン(TYチェーン/STチェーン)に乗らない配給興行形態がバラエティになった結果であろうし、チェーンでのロングランにたえる作品が減り、1チェーン当たりの年間上映本数が増えた結果でもあろう。

 いずれにしろ、日本映画界は“産業”として厳しい現状に直面している。

(代表取締役社長:指田 洋)

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