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マルチスクリーン型放送研究会設立―テレビの新たな楽しみ方提案

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マルチスクリーン型放送研究会設立―テレビの新たな楽しみ方提案

2011年12月08日
 例えば、テレビ番組で紹介されたお店の情報や料理レシピなどが自動的にスマートフォンに配信される。これまで番組を視聴しながら自らインターネットで検索していた手間が省けるという、そんな新しいサービスが研究されている。

 12月7日、大阪、東京の民放テレビ6局と家電メーカー、ITベンチャー、広告会社の計12社が「マルチスクリーン型放送研究会」を発足した。

 テレビ番組を視聴しながら、その関連コンテンツをタブレット端末やスマートフォンで楽しむという“マルチスクリーン”と呼ばれるテレビの視聴形態を開発・提案する。欧米では実用化しつつあり、国内でもこの秋、家電メーカーなどからメインスクリーン(テレビ)とセカンドスクリーン(タブレット端末、スマートフォン)を連携させる新しいデバイスの提案が出始めた。しかし、そのサービス内容、技術的手法も各社各様で、まだまだ模索段階。IPDCフォーラムにおいて、デジタル放送波を活用するダブルスクリーン型放送サービスに関する検討が始められているが、技術方法論や利用環境面の課題の洗い出しが中心であり、フィールド実験を通じたその有効性、実現性の検証が望まれているという。

 そこで、よりテレビを楽しめる“マルチスクリーン”のあり方を開発し、提案しようと同研究会が設立された。代表は下條真司氏(大阪大学情報科学研究科マルチメディア工学専攻応用メディア工学講座教授)、顧問は竹田義行氏(NTTドコモ常務執行役員研究開発センター副所長)、中村伊知哉氏(慶大大学院メディアデザイン研究科教授)。オブザーバーは総務省近畿総合通信局。

 会員は12社。大阪の民放5局(朝日放送、関西テレビ、テレビ大阪、毎日放送、読売テレビ)、TBSテレビ、電通、博報堂DYメディアパートナーズ、NEC、パナソニック、ネクストウェーブ、ヴィレッジアイランド。ちなみに年会費は12万円で、他の入会も受け付けている。

 研究会では、テレビ局が番組と番組関連情報を同一電波に乗せて放送して、番組はメインスクリーン(テレビ)で、関連情報はセカンドスクリーン(タブレット端末、スマートフォン)で別々に楽しめるサービス構築を目指して、今後共同で実証実験に取り組むとしている。IPDCフォーラム技術検討部会と連携して検討を行う。具体的には同研究会からユースケース等の検討結果の提供、それを元にIPDCフォーラム技術検討部会で検討を行った仕様等をフィードバックする。

 “マルチスクリーン”サービスで最も重要なことは「メインスクリーンとセカンドスクリーンが同期すること」で、その実現に当たって、インターネット上で利用されているIPパケット(インターネットプロトコル)を地上デジタル放送の電波に乗せて“IPDC技術”や、受信したIPコンテンツを、無線LANなどを用いてセカンドスクリーンに転送することを考えている。放送番組を起点とした新たな情報流通基盤を実現しようというものだ。

 同研究会には、在京民放キー局ではTBSテレビ以外は現段階では参加していない(ちなみにIPDCフォーラムでは、キー局はTBSテレビとフジテレビが参加)。大阪発の研究会という印象だ。関連情報といえども、独立して楽しめるコンテンツの提供が可能になるようなら多様な展開が期待されるが、スマートフォンやタブレット端末が急速に普及している中、どんなサービスが生まれるのか見守られる。

(戎 正治)

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