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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.61】
正月興行成績を読め、映画は待っていてくれない

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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.61】
正月興行成績を読め、映画は待っていてくれない

2011年12月27日
 2012年の正月興行作品が出揃った。12月21日公開の「ワイルド7」、12月23日公開の「劇場版イナズマイレブンGO 究極の絆 グリフォン」「聯合艦隊司令長官 山本五十六」「ニューイヤーズ・イブ」などが登場し、これで正月興行における全国規模の公開作品はあらかた公開されたことになる。21日、及び23日公開の成績を見てもらおう(すべて、25日現在)

▽「劇場版イナズマイレブン~」=24万0830人・2億9284万2200円
▽「聯合艦隊司令長官 山本五十六」=20万9284人・2億4964万円
▽「ニューイヤーズ・イブ」=11万4932人・1億6132万9000円
▽「ワイルド7」=13万1921人・1億6943万9700円

 また、次の成績を見てもらおう。正月興行作品で10億円を超えた作品であり、今ところ10億円を超えた作品は、この3本に過ぎない。

▽「映画 怪物くん」=160万1744人・21億4951万4850円
▽「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」=145万3391人・18億7617万5550円
▽「映画 けいおん!」=86万4769人・11億3922万5150円

 こうして数字を並べると、映画は数字では語れない(儲け主義反対)という輩が必ず出てくるのだが、当り前である。単なる数字だけなら、当たった、コケたといったみすぼらしいものに過ぎない。

 だから、こちらとしても、ただ万遍と数字を羅列しているわけではない。数字は、生々しい現実を垣間見せていることを知ってほしいがために、記述しているのである。数字は正直でありつつ、嘘っぱちでもあり、その両義性をはらみ持ちながら、映画と観客との“出会い方”をシビアに表す。

 この時点で、「タンタンの冒険」や「リアル・スティール」が、10億円を超えていない現実を見る必要がある。「けいおん!」が、137館ですでに11億円を超えてきた現実を知る必要がある。観客だから、そんなの関係ない。そのとおりである。だが、映画は待っていてくれない。数字が悪ければ、いずれ見られなくなる映画が出てくる。その覚悟が、君にできているか。数字は、過酷な現実をあぶり出すことを。

 今年最後の「興行戦線異状なし」。興行の意味、あるいはこのコラムの意味をわかっていない輩が、いまだ多いので、私のスタンスを明らかにした。コケた映画を喜ぶ。ヒットした映画をあざ笑う。どちらも、同じ愚行である。映画は、いつまでも待っていてくれない。

(大高宏雄)

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