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蓄積した不満‐政府に海外展開で要望

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蓄積した不満‐政府に海外展開で要望

2012年02月16日

 放送業界の話題は尽きないが、今年は特に “海外展開” が大きなキーワードの一つになっている。これまで以上に紙面も賑わしている。一昨年あたりからテレビ各局の動きは活発で、前々回の当コラム欄(2月2日付)でも記したが、この2週間の間にも各社から様々な取り組みが発表され、追い切れないほどだ。それは地上波に限らず、衛星放送においても動きが見られる。

 海外展開は、数十年も前から番組の放送権販売をスタンダードに始めて、それが近年、リメイク権やフォーマット権の販売が活発になり、加えて番組の共同制作も着手するなど、その様相は徐々に変わり、ビジネスが多様化、拡がりを見せている。その中で、海外の制作会社や放送局とのコミュニケーションをより図りながらビジネスを模索しており、皆、コンテンツを核とした “海外ビジネス” に本腰を入れてきたと言える。

 ただ、だからといって海外番販展開の業績が上向いているかというと、そうではない。むしろ、上昇傾向からこの2年ほどはやや下降している。世界不況の要因もあるが、海外展開を阻むものとして、とくにアジアでは海賊版や違法配信が横行し、これに対処する策が困難な状況で皆、頭を抱えている。加えて、中国においては海外コンテンツに対する番組規制がなされるなどで、こちらからの番組進出が以前よりも難しくなっている。他にも、番組販売とネット配信をセットにしたニーズにどう応えるかなど、課題は山積する。

 その一つ、政府の対応も大きな課題となっている。そのことは前々回コラムでも触れた。そして、民放連は2月3日、政府の「知的財産推進計画2012」の策定に向けた意見募集に対し、コンテンツの海外発信推進などを要望する意見書を提出した。その中で、国を挙げての取り組みを強く求めている。これまで蓄積された不満がここにあらわれているように見える。外交的取り組みも視野に、日本のコンテンツを産業として文化として、世界的に活性化するべく、国はもっと目を向けるべきとの声を発している。意見書の内容は、日刊文化通信速報2月16日付でほぼ全文紹介しているので、興味のある方はご覧いただきたい。政府はこれを受けてどう応えるのか。現在、ヒアリングも進められている。「知的財産推進計画2012」は3月をめどに骨子が固まる予定だが、机上ではない、具体的な対応につながるものとなるのか、注目される。

(戎 正治)

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