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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.21

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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.21

2011年03月15日

◎娯楽=映画は、人々の心を慰めるものである

 これは、経験したことのないような恐ろしさだった。3月11日の午後2時45分ごろ、帰社すべくJR有楽町駅のガード下あたりに近づくと、道端にいた多くの群衆が上方を見上げている。何だろうと思っていると、私がいる場所の周辺で揺れ動く感じがあり、次にガードがガタガタとかなり大きな音を立て始めたではないか。

 これは、只事ではない。ガード下をくぐりながら、これは半端ではない地震だと認識するや、道路周辺に数多くの人々が不安気に集まってきた。ここから先は、報道のとおりである。あまりの惨状に、言葉を添えることなど、今の私にはできはしない。

 映画界の被害も、大きかった。11日は、東北・関東の映画館の休館が相次いだ。都内でも、12、13日に至るや、休館の劇場が続出した。

 14日に関しては、TOHOシネマズがまとめた同社経営の劇場関係のみを記しておくなら、東北・関東に位置する25サイトのうち、計画停電の予定に入っていなかったTOHOシネマズ日劇など都内6サイトが営業。計画停電の予定に入っていた府中、船橋、市川など10サイトが営業自粛。ひたちなか、水戸内原、ららぽーと横浜など9サイトで、安全確認のため営業を中止した。

 作品では、これから公開予定だった「唐山大地震」と「ザ・ライト~エクソシストの真実~」が、公開延期。現在上映中の「ヒア アフター」が上映中止といった事態に陥った。理由としては、内容に鑑みて判断されたもの。プリントの配送が難しいと判断されたことなどであった。

 3月12日から公開された「SP 革命篇」と「塔の上のラプンツェル」はじめ、上映作品は当然ながら大きな影響を受けた。「SP~」の成績に関しては、東宝の発表はなかったが、2日間で興収3億円弱だったとみられる。「塔の上~」は1億4千万円ほどだった。本来なら、いずれもこんな成績ではない。

 映画界のこの3日間ほどの動きについて大雑把に触れてみたが、筆は重い。ただ一つだけは、言っておきたい。いかなる状況下であろうと、娯楽=映画は、人々の心を慰めるものであるということ。甘いと言われようと、私はそれを強く信じたいと思う。

(大高宏雄)
 



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