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【邦画3社 2017年配給ラインナップインタビュー】松竹 大角正常務取締役

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【邦画3社 2017年配給ラインナップインタビュー】松竹 大角正常務取締役

2017年02月03日

松竹・大角氏.jpg



 松竹は2016年に歴代2位となる興収187億円を記録した。高い評価の半面、興行的・収益的に厳しい作品もあった15年から一転、ヒットを最優先した16年は10億円超が8本、20億円超が3本。これは松竹の最多本数であり、ある程度、狙いどおりの結果を残すことができた。一方で、勝負作が予想を大きく下回るなど課題が見えた1年でもあった。

 打率を高めつつある松竹にとって、次なる課題はヒットのボリュームを高めること。17年はその可能性を感じさせる作品も複数用意した。

 数年前から自社企画製作に力を注ぐ松竹。その旗振り役を担う大角正常務取締役映像本部長(=写真)に、17年ラインナップの狙い、今後の企画製作の方向性などを聞いた――。





10億円8本、20億円3本


――2016年は年間興収が187億3986万7257円、前年比61.9%増でした。率直な感想をお願いします。

大角 うちは200億円を超えた04年(205億円)が最高の成績。この年は『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』(シリーズ3作目)が1本だけで100億円を超えました。昨年は近いところまで来ましたが、残念なのは200億円に乗せられなかったこと。ゴール寸前の作品が厳しかった。褒められるところまでは行ってないけど、まずまずといったところです。

――作品を個別に見ていくと。

大角 自社企画製作を年間で10本くらいやろうと3、4年前から始めて、徐々にですがそのベースはできてきました。ヒットと言われる10億以上の作品が8本。20億も『植物図鑑 運命の恋、拾いました』『HiGH&LOW THE MOVIE』『映画 聲の形』の3本が超えた。これから東宝さんの足元に届くのならば、次はやっぱり30億円以上に抜けていく映画が年間に2本くらい要る。これが中期的なうちの最も大きなテーマです。だって、うちが年間26本も27本もかけて187億で、『君の名は。』は1本で250億(1月22日現在235億円)でしょ。この差は途轍もなく大きい。ドーンと抜けたら80億とか100億が狙えるチャンスがあって、抜け切らなくても最低でも30億、40億は確実に取る。松竹にはそういう映画が今は足らないけれども、この10億、20億レンジはここへ来てちゃんと並ぶようになった。うちのスタッフみんな、よくやっているし、今までとは大きく変わったと思いますよ。

――昨年、上振れした作品は。

大角 一番大きく上振れしたのは『聲の形』です。当初は120スクリーンで10億以上を目標としていましたが、結果として23億です。『植物図鑑』も12~15億、10億レンジは確実視していたのですが、これも20億を超えていった。 

――逆に、下振れしたのは。

大角 『秘密 THE TOP SECRET』と『RANMARU神の舌を持つ男』ですね。『秘密』は『るろうに剣心』の大友啓史監督。やっと30億、40億狙える監督をつかまえたから、我々としては大きく期待し30億は狙いましたが、10億もいかず惨敗でした。『RANMARU』は12億くらいだと予想していたのですが、テレビの視聴率がもうちょっとだったことと、誰が見るのかというターゲットが分かりにくくてブレてしまい、興収は当初予算の10分の1です。日本テレビさんとやった『真田十勇士』も残念な結果になりました。それ以外の作品はほぼ予定どおりでした。


今年は10億円以上ズラリ

――今年のラインナップ、ズバリ興収目標はどのくらいを。

大角 220億円。

――特に力を入れるのは。

大角 最も大きく期待しているのが『東京喰種 トーキョーグール』。それから『曇天に笑う』。この2本は30億行ってほしい。近いところでは、2月公開の『一週間フレンズ。』は当たります。公開1カ月前の分析結果でも狙ったターゲットに対する認知が非常に高い。高校生の胸キュン映画で、10代の子たちがよく知ってて、なおかつ20代の前半まで広がってます。


続きは、文化通信ジャーナル2017年2月号に掲載。

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