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インタビュー:渡辺純一スカパー・ウェルシンク代表取締役社長

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インタビュー:渡辺純一スカパー・ウェルシンク代表取締役社長

2007年04月16日
■まずは認知される集団に

渡辺社長 しかし、スカパーという会社の名前が付いているからといって、相手がどうぞ投資して下さいという甘いものではないので、まずは認知してもらう集団にならないといけない。一般的に言って、ヒットするかどうかわからない作品はリスクを分散するために出資社を多く募ったりされるケースもあるので、我々が比較的参加しやすい場合もある。しかし大ヒット間違いない作品なら出資社の数が少ない方がいいわけで、我々がそう簡単には出資参加できない。スカパーが出資参加するまでもなく当たるのですから。参加出来たとしてもパーセントは低いのです。そういう中で、とにかく我々は出資を通じていろんな会社とお付き合いをして、太いパイプを作り、輪を広げていかなくてはいけない。2年半経って、まだその太いパイプは出来ていないし、今はまだそういう関係作りの段階にある。そのためには我々がどういう役割を担えるかが課題だ。

本誌 その役割とはどういうものですか。

渡辺社長 作品の動員をかけるためには話題作りが必要にある。その作業をどのくらい担えるか、つまりプロモーション協力をどれくらいやっていけるかです。いまプロモーションが一番強いのは地上波でしょう。我々はまだそういう起爆剤にはなれていない。しかし、スカパーも有料放送のプラットフォームとして、ある種の映像ビジネスの中にいる。お金を出して映画やアニメを見ている人たち(加入者)を抱えている。それは不特定多数ではなく、そのジャンルが好きな人たちです。そのお客の反応や傾向値がある程度はわかる。そういう意味でマーケティング的な材料として、プロモーションに結びつける要素はいくつか持っていて、それなりのプロモーションの仕方がある。もちろん、まだ「これだ!」という手法は出来ていませんが、そこに対する挑戦をしていくつもりです。それ次第では上手くアピールできる。それが構築できるようになれば、「今度の映画はウェルシンクに入ってもらおう」と言ってもらえるようになる。まだ難しい状況ですが、それを目指したい。(C)2007「ゲゲゲの鬼太郎」フィルムパートナーズ

■プロモーション力強みに

本誌 スカパーのプロモーション力が投資会社としての一つの強みになるということですが、これまではどういう展開をしてきましたか。

渡辺社長 「交渉人 真下正義」のケースでは、スカパーの1チャンネルを使って、24時間放送のプロモーションチャンネル「真下正義チャンネル」を作り、出演者やスタッフが登場するなど作品の見どころを紹介、3週間ぐらい無料放送した。そのほかの手法としては、加入者に対し試写会も出来る。また、その映画の出演者や監督の過去の作品や関連作品を、映画やアニメのチャンネルで、ある期間イベント的に放送することも出来る。そういう風に、放送上で映画祭的なことが可能だ。映画やアニメが好きな人が有料で見ているチャンネルを数多く抱えているわけだから、アピールする場としてはとてもいい。もちろんそれぞれのチャンネルは系列や資本関係もあって競合しているが、やはり、スカパーというプラットフォームを背景にして、お互い有効に利用し合うのがよく、そういう形となるよう目指している。それが実効性あるものになれば、相手もこっちを見てくれるようになると思う。映画やアニメのチャンネルとはこの2年半、投資やプロモーションの面でいくつかトライしてきた。これからもウェルシンクの大きな特長、持ち味としてさらに連携を強くして、意識してやっていきたい。


 渡辺 純一 (株)スカパー・ウェルシンク代表取締役社長
1947年(昭和22年)10月13日生、70年(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント入社、95年同社取締役、97年JスカイB(株)(現(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズ)放送本部ゼネラルマネージャー、98年日本デジタル放送サービス(株)(現(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズ)放送本部長、2000年6月(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー!)執行役員放送本部長、01年4月スカパー!執行役員常務コンテンツ事業本部・放送業務本部統括、03年6月(株)サムライティービー代表取締役社長(現任)、04年6月スカパー!執行役員常務コンテンツ事業部門担当、同年7月(株)スカパー・ウェルシンク代表取締役社長(現任)、05年6月スカパー!上席執行役員常務(現任)、(株)ペイ・パー・ビュー・ジャパン代表取締役社長(現任)。

(株)スカパー・ウェルシンクの概要
代表取締役社長渡辺純一
所在地東京都渋谷区渋谷2-15-1
設立年月2004年7月29日(同年11月増資し事業会社化)
主な事業に内容コンテンツ開発・投資事業の推進
決算期3月期決算
資本金4億8,000万円
発行済株式総数9,600株
資本構成(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズ100%
目 的
スカパー!の株主である民放各局やパートナー企業にも協力を要請し、そのノウハウや媒体力を活かして、コンテンツ開発・投資を行う。スカパー!のみならず、さまざまな放送メディアに加えて、DVDなどパッケージメディアやブロードバンド展開を推進する一方、関連商品やライツ販売、海外セールスを通じて、収益源の拡大・多様化を図り、より多くの方に優れたコンテンツを提供していく。


(全文は月刊誌「文化通信ジャーナル」07年2月号に掲載)



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