閲覧中のページ:トップ > 映画ニュース >

『恋人たち』、橋口監督、川島小鳥らトーク

【FREE】『恋人たち』、橋口監督、川島小鳥らトーク

2015年11月07日
『恋人たち』公開記念トークショー:左から森、橋口監督、川島の3氏 『恋人たち』公開記念トークショー:左から森、橋口監督、川島の3氏

 松竹ブロードキャスティング+アーク・フィルムズ配給『恋人たち』が14日よりテアトル新宿ほかで公開される。公開を前にしてスペシャルトークショーが、5日夜に原宿のイベントスペース「VACANT」で開催された。ゲストとして橋口亮輔監督、川島小鳥(写真家)、聞き手として森直人(映画評論家、ライター)の3氏が登壇した。

 『ぐるりのこと。』以来7年ぶりの長編映画。明日に未来を感じることすら困難な今を生きる全ての人に贈られる、絶望と再生の物語。森は「公開前なのに、こんなにお客さんがいらっしゃるんですね」と会場の入り具合に驚いた様子で登場し、「東京国際映画祭でご覧になった人は」と会場に尋ねると多くの人が手を挙げ、作品に対する注目度の高さが窺えた。

 森と川島は10年ぶりの再会だというが、橋口監督と川島は初対面。橋口監督作品のファンだという川島は「初めて観たのは高校生の頃で『渚のシンドバッド』だった。登場人物に優劣を付けずに描いていて、その人なりの良さや想いが伝わってきて感銘を受けたことを覚えている」と話した後、「『恋人たち』も素晴らしかった。隅田川の空がキレイ過ぎて、でもこういう青空を僕もどこかで見たことがあるなぁって」と最新作の感想を橋口監督に伝えた。

 松竹ブロードキャスティングは、『滝を見にいく』に続くオリジナル映画プロジェクト第2弾として『恋人たち』を製作。新人俳優発掘をテーマに掲げる同企画の特徴として、撮影現場に入る前にワークショップが行われる。ワークショップ内容を聞かれた橋口監督は「まず、僕はワークショップで『自己紹介』をしてもらった。『どこの事務所から来ました、好きな色はピンクです』みたいなものじゃなくて(笑)、つまり、自分を語る時に人生のどこを切り取り、どこに焦点をあて、語るかということを見る。自己紹介が良かった人は芝居の良さにも比例した。切り取るセンスがあるとでも言いましょうか。本作に出演した方々には、そのセンスがあった。参加者には『ダイヤの原石だ』と思うような人は一人もいなかった。でも彼らと向かい合うと、それぞれが魅力的で面白いと感じるものを持っていた。皆さんがご存知ないような出演者ばかりですが、素晴らしい役者陣だった」と答えた。

 トークテーマが「被写体との出会い」に移ると、川島は「写真の世界では出会いが、作品のできを左右する。ほとんどが出会い。自分はそこまで決められない」とコメント。それに対し、橋口監督は「例えば写真集『未来ちゃん』では仕込むことはあった?」と尋ねると、川島は「未来ちゃんは2歳程だったから、コミュニケーションはあまりとれなかった。でもそれが逆に面白かった」と返答し、「一瞬で写真は撮れてしまうから、(制作者の立場が)とても曖昧」と続けた。その後も橋口監督と森は映画と写真との共通点、相違点を探るべく質問し、川島が返答するたびに興味が尽きない様子だった。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。