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ビデオロジーセミナーに日テレ営業局高橋氏ら

【FREE】ビデオロジーセミナーに日テレ営業局高橋氏ら

2015年11月28日
 Videology(ビデオロジー)は25日、放送局、広告主、広告代理店などの関係者を招待し、国内初となるセミナーイベント「The Future of Digital TV Advertising」を都内で開催した。パネリストには、日本テレビ営業局営業戦略部担当副部長の高橋秀明氏、インテージ執行役員MCA事業本部本部長の長崎貴裕氏、サイバー・コミュニケーションズ代表取締役副社長の小柳肇氏、ライオン主任の中村大亮氏が登壇。モデレーターは、ビデオロジーのビジネスデベロップメントディレクター上江洲雅人氏が務め、広告付き無料見逃し配信などの国内デジタルテレビ広告について活発な議論が交わされた。

 ビデオロジーは、世界最大級のビデオ広告プラットフォームソリューションを提供する企業。冒頭、同社の日本コマーシャルディレクターを務めるマイク・ダンブロジオ氏が登壇し、「日本では今回が初めての開催だが、すでに海外のマーケットにおいて当社主催で何度かセミナーを開催してきた。今日は皆様のインスピレーションにつながる、素晴らしいセミナーになることを期待している」と挨拶した。

 日本では、在京民放キー5局が10月26日スタートした広告付き無料見逃し配信「TVer」のアプリダウンロード数が、11月19日で累計100万DLを突破したばかり。これについて、昨年より日本テレビの無料見逃し配信、今年TVerの立ち上げに携わった日本テレビ高橋氏は「非常に良いスタートを切ることができた」と評価した。またインテージ長崎氏は「見逃し配信視聴からリアルタイム視聴への回帰がみられる」と指摘。TVer開始前に行ったインテージシングルソースパネル(I‐SSP)の計測によると、見逃し視聴した人のうち、もともとリアルタイム視聴しており、見逃し視聴後もリアルタイム視聴した人が28%。リアルタイム視聴しておらず、見逃し視聴後にリアルタイム視聴へと移った人が47%。あわせて約75%がテレビ視聴につながり、視聴者の維持および新規獲得に効果ありとした。なお、見逃し視聴のみの利用者は18%となった。

 コンテンツ戦略については、無料見逃し配信に携わる日本テレビ高橋氏が「キャッチアップサービスに対して “何がプレミアムなんですか?” と言われてきた」と振り返り、これについて「突き詰めていくと非常にシンプルで、2つの要素かと思っている。1つ目は完全な公式動画であることによるコンテンツの信頼感、2つ目は尺の長さによって視聴態度が違う点」と指摘した。日本テレビの無料見逃し配信の平均視聴時間をビデオリサーチで調べたところ、約30分近く視聴されているという。「MOCO‘Sキッチン」などのミニ番組も含むことを考慮すれば、ドラマなど長尺の番組が、離脱が少なく集中して見られており、視聴態度が良質であるとの見解を述べた。なおIAB(インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー)の調べによると、長尺コンテンツの視聴者は、短尺コンテンツの視聴者に比べて長い時間広告を見ているという。長尺コンテンツ視聴者の広告完全視聴率の平均は88%におよび、高橋氏は日本テレビでもこれに近い数字を示しているとした。また、長尺に耐えうる面白さがあるかどうかだと念押しした。サイバー・コミュニケーションズ小柳氏は「メディアによって自分のビューアビリティがネイティブにある。そのなかで、テレビコンテンツにミッドロールでノンスキッパブルな広告が流れることについては納得感があるのでは」と見解を述べた。

 一方、デジタルテレビ広告における現状の課題については、メディアプランニングを担当するライオン中村氏が「デジタルテレビ広告がそもそも何の役に立つのか、まだ伝わってこない。グーグルの戦略のように、思想があってこそのプラットフォーム」だと主張。またサイバー・コミュニケーションズ小柳氏は、統合測定指標の確立が焦眉の急であると述べた。これについてインテージ長崎氏は「統合リーチはあったほうが良いが、デジタルテレビ広告を強化する上でそれ以外の指標も考えていかなければいけない」と答えた。

 最後にデジタルテレビ広告の未来について、ライオン中村氏は「デジタルテレビ広告の意味合いがクリアになれば明るい」と重ねて主張。また「TVerがありながら、各局プラットフォームを持っている。どちらに軸足を置くのか気になる」と述べた。これについてHuluを持つ日本テレビ高橋氏は「少しでも多くの接点を提示して、ユーザーに決めていただく」と答えた。またサイバー・コミュニケーションズ小柳氏は、2兆円産業のテレビ広告と1兆円産業のネット広告の両者を、ハイブリッドにアドバタイザーに提案していく必要性を主張。インテージ長崎氏は「見逃し配信は、コンテキスト、ターゲティング、タイミングをコントロールできる広告媒体だと思っている。もっと価値があるものになると良い」と述べた。日本テレビの無料見逃し配信は現在ランダムローテーション型だが、高橋氏は「技術的には(ターゲティング)できるし要望もあるが、ボリュームがまだ足りない」と説明。「見逃し配信に関してはAIDMAにおける『アテンション』や『インタレスト』が大きい。まずはリーチを取りませんかというのが現状」と述べた。

 なおパネルディスカッションの後は交流会が行われ盛況のうちに終了した。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。


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