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【ジャーナル抜粋】激動 東京都内 映画興行

【FREE】【ジャーナル抜粋】激動 東京都内 映画興行

2016年02月27日
【文化通信ジャーナル 2016年3月号より抜粋】

 東京都内の映画興行が、激動の時代を迎えている。2015年は新宿歌舞伎町と二子玉川にシネコンが開業し、いずれも多くの観客が詰めかけている。今後も都内で新規開発物件が相次ぐ。

 日本でのシネコン展開は車社会を背景に、郊外型ショッピングセンターに併設する形で1993年にスタート。その広がりによって、かつて繁華街にあった映画館は軒並み閉館に追い込まれた。ところが近年は、状況が変わってきた。映画館の出店地区が、完全に都市部にシフトしてきたのだ。

 人口減少や高齢社会の訪れとともに人口の都心回帰が進み、大都市で商業開発が計画され、その中にシネコンが出店する構図だ。かつて隆盛を極めた昔ながらの映画館が姿を消した場所に、今度はシネコンとなって映画館が復活する。そんなケースの代表例が新宿エリアと言えるだろう。

 本特集では、大激戦となっている新宿の興行状況を本誌15年4月号以来約1年ぶりに取り上げつつ、都内各所で進捗する興行にまつわる動きをまとめていく。シネコン初上陸から20年余、新たな局面に突入した興行のいまを追いかけたい。



 TOHOシネマズ新宿(12スクリーン、2347席)は昨年4月17日に開業して以来、驚くべき勢いで興行成績を伸ばしている。同館は原則として成績を公表せず、果たしてどれだけの実績が上がっているのか、業界内で高い関心が持たれていた。作品ごとの集客の様子を見る限り、これまで国内トップだった新宿ピカデリーを上回っているのは間違いなさそうだ。そんな見通しが定着するなか、昨年12月10日の発表によると、オープンから12月6日まで8カ月余の累計動員が152万人を突破したとのこと。

 なぜ、ここまでの爆発力を持ち得たのか。その分析は容易ではない。入居先である新宿東宝ビル全体の華やかなプロモーション展開や、ゴジラヘッドを含めた話題性などが、映画館への関心も同様に引き上げた。07年新宿バルト9、08年新宿ピカデリーと2大シネコン開業に伴う新宿への映画人口回帰の波にも乗っただろう。また、15年の国内映画興行が活況を呈し、観客を呼べる魅力的な作品が揃ったことも要因の一つだろう。

 その爆発力を示す事例は、枚挙に暇がない。昨夏の『ジュラシック・ワールド』は、MX4D1スクリーンだけで興収1億円を超えた。年末の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は9日間で1億円、20日間で2億円、41日間で3億円と驚異的なペースで興収を加算。同作の料金を2千円に上げたことが多方面で話題になったが、マイナスの影響は見られなかった。興収3億円といえば、ローカルのシネコンの年間興収に相当する数字。これをわずか1作品の1カ月余の成績だけで上回ってしまった。

※続きは、月刊文化通信ジャーナル3月号に掲載

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。