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東宝『レッド~』記者会見、ジブリ鈴木Pら

【FREE】東宝『レッド~』記者会見、ジブリ鈴木Pら

2016年09月03日
『レッドタートル』記者会見に出席したジブリの鈴木P(左)とマイケル監督 『レッドタートル』記者会見に出席したジブリの鈴木P(左)とマイケル監督

 フランス発のスタジオジブリ最新作『レッドタートル ある島の物語』(配給:東宝)の完成報告会見が1日、六本木のグランドハイアット東京で行われ、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督と、ジブリの鈴木敏夫プロデューサーが出席した。

 無人島に流れ着いたひとりの男の物語を、セリフなしで描ききったアニメーション。マイケル監督が手がけた8分間の名作短編アニメ『岸辺のふたり』を鑑賞した鈴木プロデューサーが、今回のタッグを熱望し実現。ジブリと仏ワイルドバンチ製作のもと、実作業はフランスを中心に行い、マイケル監督が尊敬する高畑勲監督も参加、8年の歳月をかけて完成させた。

 鈴木Pは「『岸辺のふたり』は、8分の中で人生の真実の全てが盛り込まれている。しかも、西洋の人が作ったのに、東洋の精神が入り込んでいる。この監督なら、長編を作っても日本人が納得する作品ができると思った」とマイケル監督にアプローチした理由を述べ、「ワイルドバンチのプロデューサー、ヴァンサン(・マラヴァル)に『岸辺のふたり』を観てもらい、一緒にやらない?と聞いたら、二つ返事で了承してくれた」と合作になった経緯を語った。一方の監督は「ジブリから突然一通の手紙を頂き、人生の中で一番衝撃だった。嬉しくて、1m宙に浮いているような感じだった」とオファーのあった時の心境を笑顔で振り返った。ストーリーは「自然を尊敬する気持ち」を重視したといい、美しい夕陽や浜辺だけでなく、自然の輪廻を意識したと語った。また、ひとりの男が女と出会うシンプルなラブストーリーや、監督の好みだという「南の島に漂流する男の話」を描いたという。ジブリからは初めに「作家性を尊重する」と言われ、「高畑監督は『あくまで君の映画だから』と前置きしながら、慎重に意見を言ってくれた」と、ジブリとの充実した共同制作の過程を語った。

 鈴木Pは、宮崎駿監督もすでに同作を鑑賞したことを明かし、「ポツリと『このスタッフが欲しい…』と漏らしていた(笑)」と、ユニークなエピソードも披露した。また、マスコミからは現在のジブリの制作体制と今後の方向性について質問が挙がり、鈴木Pは「(今は)手描きからCGへの転換期で、その対応策を考えないといけない。その中で、いま宮崎駿は長編からは引退したが、手描きとCGの短編アニメーション『毛虫のポロ』という12分間の実験的な作品を作っている。『レッドタートル』のように企画の段階で関わって、あとはヨーロッパで作るというような(場合もある)。CGをされている方から、創作をジブリでやって、CGはウチでやりますと提案されることもある。これからどうやって作っていくかは流動的」と現状の考えを述べた。

 公開は9月17日(土)。提携はスタジオジブリ、ワイルドバンチ、ホワイノット・プロダクションズ、アルテフランス・シネマ、CN4プロダクションズ、ベルビジョン、日本テレビ、電通、博報堂DYMP、ディズニー、三菱商事、東宝。会見後には、高畑勲アーティスティック・プロデューサーも加わり、TOHOシネマズ六本木ヒルズで舞台挨拶を行った。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。