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角川『沈黙』スコセッシ、公開直前来日会見

【FREE】角川『沈黙』スコセッシ、公開直前来日会見

2017年01月17日
『沈黙』スコセッシ監督来日、かくれキリシタンの指導者・村上氏(右)と 『沈黙』スコセッシ監督来日、かくれキリシタンの指導者・村上氏(右)と

 KADOKAWA配給『沈黙‐サイレンス‐』が今週末21日(土)より全国公開される。16日港区のザ・リッツ・カールトン東京では、マーティン・スコセッシ監督の来日記者会見が行われ、大勢のマスコミ、関係者が集まった。

 原作は、遠藤周作の「沈黙」(新潮文庫刊)。監督が原作と出会った1988年から28年間、いくつもの困難を乗り越えて実現させた一大プロジェクト。17世紀の江戸初期、キリシタン弾圧下の長崎を舞台に、「人間の強さ・弱さ」、「信じることとは何か」、「生きることの意味」など、人間の永遠のテーマを現代に問いかける。

 監督の来日は、特別フッテージ映像を世界初披露した16年10月のプロモーション以来のこと。今回、完成版を引っ提げ、再び来日。登壇した監督は開口一番に、「積年の思いだ。(日本公開について)皆さまに受け入れて頂け、夢がかなった」と日本公開に向けた喜びを語った。

 作品が完成したことについて、「若い頃に撮っていたら、全く違う作品になっていただろう。原作と出会った頃は、宗教観や理解度が、撮影に踏み切るまでには伴っていなかった。この28年間、娘が生まれるなど、色々な変化が私自身にあった」。原作について、「この小説は、『信じることとは何か』を問いかける作品。監督作『最後の誘惑』以降、私は自分の信仰心を見失っていた。何かが納得できていなかった。そういった時に、この小説は、もっと深く探求しなければならないことを教えてくれた」。「作品は完成したが、これで終わりだとは思っていない。今も自分の心の中に、今回描いたテーマを掲げていて、この映画とともに生きている感覚を持っている」と語った。

 描いたテーマについて、「否定するのではなく、受け入れることをメッセージに込めた」と説明。さらに、「キチジロー(登場人物)のセリフには、“この世において、弱き者が生きる場所はあるのか”とある。本作ではまさに、弱き者を弾かずに、受け入れ、抱擁すること。人として生きることの真価とは何かを描いた」と力強くコメント。それらのメッセージを「弱さや懐疑心を抱いている人たちに伝えたい」と話した。

 会見には、かくれキリシタンの指導者・村上茂則氏(7代目帳方)も参加。かくれキリシタンの信仰方法は、250年の間に独自の変化を遂げ、カトリックとは異なる部分もある。村上氏は、「我々の先祖が経験したことだと思うと、涙が出る場面もあった。是非、日本の、世界の皆さまに観て頂きたい」と語り、監督と交流する場面があった。

 出演は、アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバー、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシら。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。