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IDCF、国際コンペ最高賞は米映画が受賞

【FREE】IDCF、国際コンペ最高賞は米映画が受賞

2018年07月24日
 埼玉県川口市の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」が13日より節目となる15回目開催を迎え、最終日の22日のクロージングセレモニーで国際コンペティション、国内コンペティションの各賞を発表した。

 国際コンペでは、アメリカ映画、女性監督のクリスティーナ・チョウによる『ナンシー』が最優秀作品賞(グランプリ)を受賞。嘘をつくことでしかコミュニケーションを取ることができない、女性の繊細な心理をスリリングに描き出した一本。また、女性監督作品のグランプリ獲得は、2005年のミランダ・ジュライ監督『君とボクの虹色の世界』、スサンネ・ビア監督『ある愛の風景』以来13年ぶりのこと。

 俳優の渡辺真起子国際コンペ審査委員長は、「全10作品、どの作品も見ごたえがあり、とても丁寧に制作されたのではないかということを、作品そのものから感じることができた。あまりにも丁寧に語られているので、時に、心がいっぱいになり、感情的になってしまうような日もありましたが、審査はわりとスムーズに進行したと思います」と振り返った。

 国内コンペでは、長編部門で片山慎三監督が、足に障がいを持つ兄と知的障がい者の妹のドラマを撮った『岬の兄妹』、短編部門で磯部鉄平監督による、独身アラフォー女性を主人公にしたコメディ『予定は未定』がそれぞれ優秀作品賞を受賞した。

 アルタミラピクチャーズ代表の桝井省志国内コンペ審査委員長は「今回特に感じたのが、学生の皆さんから、助監督や映画のスタッフとして現場を支えている方たち、俳優の方たちなど、本当に映画を作る人たちの底辺が広がり、皆さんが自由に映画を作られることを大変すばらしいと思いますし、羨ましいと思います」とコメントした。

 また、国際/国内コンペを通じた日本作品の中から、今後の長編映画制作に可能性を感じる監督に対して贈られる「SKIPシティアワード」には、中川奈月監督『彼女はひとり』が輝いた。国際コンペ候補作の同作は自殺未遂を経験した女子高生と、彼女の幼馴染をめぐる物語。副賞として、中川監督の次回企画に対して、彩の国ビジュアルプラザ内の映像制作者支援施設、設備の一定期間の利用権利が提供された。

 土川勉映画祭ディレクターは、「本年度から規約を刷新した、国際コンペ、国内コンペ長編部門、短編部門の各受賞者様おめでとうございます。受賞作の中には、審査員同士が全く逆の解釈や評価をした作品もありました。映画とは、見る人間の人生観を反映するものであることを再認識しました。映画祭に参加していただいた全てのゲストと観客の皆様に感謝を申し上げます。また来年もこの場でお会いしましょう」と締めくくった。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。