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第40回PFF、最高賞に『オーファンズ~』

【FREE】第40回PFF、最高賞に『オーファンズ~』

2018年09月22日
PFFアワード2018授賞式 PFFアワード2018授賞式

 第40回ぴあフィルムフェスティバル内、自主映画のコンペティション部門「PFFアワード2018」の授賞式が20日夜、国立映画アーカイブで行われた。グランプリは、95年生まれ福岡県出身の工藤梨穂監督『オーファンズ・ブルース』、準グランプリは87年生まれ、東京都出身の川尻将由監督『ある日本の絵描き少年』に決まった。

 今年の審査員は映画プロデューサーの佐藤公美、映画監督の大九明子、佐藤信介、冨永昌敬、俳優の生田斗真の5氏。

 グランプリ受賞『オーファンズ~』は、記憶が欠落する少女が、幼馴染のヤンを友人らと探しにいくロードムービー。高校生の時、西加奈子の小説「さくら」に感動し、いつか映画化したいと映画監督を志した工藤監督は登壇すると感極まり、コメントできないほどに喜びの涙を流した。俳優・生田斗真は審査会議の開口一番に同作が好きだと推すほどで、「工藤監督の次作を絶対に観たい」と今後の活躍に期待を込めた。

 準グランプリ受賞『ある日本の~』は実写あり、アニメあり、マンガありの表現方法で描く感動物語。同作を制作するために映像制作会社を立ち上げるほどの熱意で取り組んだ川尻監督もまた、目頭を熱くしながらコメント。佐藤信介監督は川尻監督の制作姿勢を「クリエイティブの極み」と評価した他、同作のストーリーは多くの審査員の心を掴んだ。

 今年の賞の行方はばらけた。応募総数529。うち18本が入選。入選作品の中には、カンフー映画『一文字拳 序章‐最強カンフー少年対地獄の空手使い‐』(監督:中元雄)の殺陣の完成度、映画愛が佐藤公美氏に「いちファン」と言わしめ、無目的に映画を撮ったことを公言する池田昌平監督の『川と自転車』は、佐藤信介監督に「観た瞬間はグランプリだと思った。しかし、この作品が獲ってしまうと世の中ひっくり返るとも。何も語られていないのに、何か語られた気がした映画」と認めるなど各作品の個性が光った。

 また、主催の一般社団法人PFF理事長、PFFエグゼクティブ・プロデューサー矢内廣氏は「来年はいよいよ『大島渚賞』を用意する。どういった作品を対象にするかは鋭意検討中」と新設の賞について発表した。

 第40回PFFの主催は、一般社団法人PFF、国立映画アーカイブ、公益財団法人川喜多記念映画文化財団、公益財団法人ユニジャパン。オフィシャルパートーナーはぴあ、ホリプロ、日活。

《受賞結果》
▼グランプリ=工藤梨穂監督『オーファンズ~』▼準グランプリ=川尻将由『ある日本の~』▼審査員特別賞=池田昌平『川と自転車』、道本咲希『19歳』、石井達也『すばらしき世界』▼エンタテインメント賞(ホリプロ賞)=野村奈央『からっぽ』▼ジェムストーン賞(日活賞)=川尻将由『ある日本の~』▼映画ファン賞(ぴあニスト賞)=石井達也『すばらしき世界』▼観客賞=中元雄『一文字拳~』▼[特別設置]ひかりTV賞=工藤梨穂『オーファンズ~』
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。