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東映『カツベン!』監督全国キャンペが始動

【FREE】東映『カツベン!』監督全国キャンペが始動

2019年06月11日
 東映配給『カツベン!』(12月公開)の周防正行監督が、47都道府県を巡る全国キャンペーンの第1弾として、8日(土)新宿武蔵野館で活動弁士・澤登翠氏と無声映画の魅力についてトークを行った。

 同作では、日本映画の草創期、無声映画だった時代の弁士を描いている。イベントは、来年創業百周年を迎える新宿武蔵野館の記念事業の一環として開催された。当日は、無声映画『ローレル&ハーディのキルトとズボン』『カリガリ博士』を上映した。トークの様子は次の通り。
<トークイベント>

 ――周防 今日澤登さんの弁士による『カリガリ博士』を観ましたが、『カツベン!』の中で『カリガリ博士』ついて触れるセリフがあったので、観ることができて良かったです。

 ――澤登 新宿武蔵野館については。

 ――周防 学生時代は東横線沿線の元住吉に住んでいましたから、自由が丘武蔵野館(武蔵野推理劇場/04年閉館)で観ていました。新宿武蔵野館は、(映画監督として)お金を稼げるようになってからで、憧れていました。

 ――澤登 今作を作ろうと思った動機は。

 ――周防 僕は無声映画をフィルムセンター(現国立映画アーカイブ)で観ていました。その時は、弁士なし音楽なしで、それが本当の無声映画だと思っていました。改めて、澤登さんの弁士付きで観たのですが、実は無声映画を弁士付き、音楽付きで上映していたのは日本だけなのです。そのことが僕にとっては衝撃でした。その当時、映画館は一番賑やかでした。弁士が喋り、音楽が入り、そこに〝まってました〟と声がかかる。皆に愛されて発展して来た日本映画の最初の無声映画時代を撮りたいと思いました。映画がライブだった空気感。そういう時代を多くの人に知ってもらいたいというのが、本作を撮ろうと思った一番の動機です。

 ――澤登 映画の中で主演の成田凌さんや、高良健吾さんらをどの様な弁士として描こうとしたのですか。

 ――周防 これは驚きだったのですが、当時の弁士は自分で台本を書いていたのです。個性で勝負していた。当時の新宿武蔵野館には徳川夢声さんや山野一郎さんがいて、それぞれ自分で映画を解釈し、どうしたら観客に喜んでもらえるのか工夫していました。今回は、役者さんに活弁の技術を覚えてもらうために、現役の弁士である片岡一郎さんと坂本頼光さんの2人に、役者さんが語りの面白さなど生き生きと輝いてもらうためにキャラクターに合わせて教えてもらいました。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。