閲覧中のページ:トップ > 映画ニュース >

太秦『AINU~』トライベッカで受賞

【FREE】太秦『AINU~』トライベッカで受賞

2020年05月09日
 アイヌを題材に描いた映画『AINU MOSIR』(配給:太秦/製作:製作:AINU MOSIR LLC、ブースタープロジェクト)が、第19回トライベッカ映画祭の国際コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した。同部門での受賞は日本映画初の快挙となった。全10作品がノミネートされ、ダニー・ボイル監督や俳優のウィリアム・ハートが審査員を務めた。

 同作は、北海道阿寒湖のアイヌコタンを舞台に、アイヌの血を引く14歳の少年の成長を描いた作品。主演の下倉幹人はじめ、現地に住むアイヌの人々を起用。リリー・フランキーと三浦透子がゲスト出演している。監督の福永壮志はニューヨークを拠点に活動を始め、初長編映画『リベリアの白い血』(17年)が第65回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に出品されるなど注目を集めた。2作目となる今作の舞台となった北海道は監督の出身地。企画から約5年かけて作り上げた。プロデューサーは、『CUT』『Ryuichi Sakamoto : CODA』のエリック・ニアリと、『あの日のオルガン』『閉鎖病棟‐それぞれの朝‐』の三宅はるえ。撮影監督は『神様なんかくそくらえ』『グッド・タイム』のショーン・プライス・ウィリアムズ。音楽を、ヨハン・ヨハンソンやマックス・リヒターと共作してきたクラリス・ジェンセンと、アイヌの音楽家でトンコリ奏者のOKIが務め、国際色豊かなチームで制作された。

 受賞にあたり、映画祭の芸術監督を務めたフレデリック・ボイヤー氏は「AINU MOSIRは繊細な物語である。日本の先住民コミュニティにどっぷりつかる体験を与えてくれ、素晴らしい登場人物たちがアイデンティティと向き合う姿が描かれたユニークな作品である。また福永壮志という独自の視点をもった有望な監督の発見でもある」とのコメントを寄せている。2020年秋、渋谷ユーロスペースほか全国公開。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。