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『ばるぼら』会見に手塚監督、伊で受賞発表

【FREE】『ばるぼら』会見に手塚監督、伊で受賞発表

2020年11月19日
 イオンエンターテイメント配給『ばるぼら』の記者会見が17日に丸の内の日本外国特派員協会(FCCJ)で行われ、手塚眞監督が登壇した。

 同作は、手塚治虫が1970年代に「ビッグコミック」(小学館)に連載し、禁断の愛とミステリー、芸術とエロ、スキャンダル、オカルティズムなど様々なタブーに挑戦した大人向け漫画「ばるぼら」の実写映画化。独特な世界観から“映像化不可能”と言われてきたが、手塚治虫生誕90周年を記念し、日本・ドイツ・イギリスの合作で実現した。出演は稲垣吾郎、二階堂ふみ他。稲垣演じる男が、二階堂演じる新宿に佇む謎の女に出会う場面から物語は始まる。

 同作は、第32回東京国際映画祭コンペティション部門での上映を皮切りに、世界の映画祭で好評を博している。この日、15日までローマで開催された「ファンタ・フェスティバル」で最優秀作品賞を受賞したことが発表された。会見で監督は、「この作品にとって最初の賞で、イタリアのファンタスティック系の映画祭ということが、大変嬉しい。なぜなら、『白痴』という私の過去作もヴェネチアに招待され、その後沢山のイタリアの映画祭に招待されているという思い入れがあるからです」とイタリアでの受賞を喜んだ。

 監督は、手塚治虫の実子。会場からの「お父様の作品を映画化して、どれぐらい忠実に、あるいは反抗して描いたか」という質問に対しては、「原作は何十回も読んでいますし、ほとんどの内容を記憶しています。その上で、あまり原作を気にしないで自然に作ってみようと思いました」とし、その上で「元々の漫画の中にもファンタスティックな場面がありますが、自分が好きな場面が多く、そこは作っていて楽しかった」と現場を振り返った。また、「手塚治虫の漫画はいつどこの国で映画になってもおかしくないと思いますが、逆に私自身は日本の表現、日本の映画ということにこだわりを持っています」と語り、今作では「プラハあたりを舞台にしてやると良いのではという話もありましたが、逆に私は新宿で撮る方が面白いと思いました。そうすることによって、普段日本人である私たちが気付いていない東京の面白さが表現できるし、ストーリーや登場人物の行動に関係する日本人的な考え方が、外国で作るのとは違う内容で作れると思い、日本で撮影しました。海外のカメラマン(クリストファー・ドイル)を起用したのは、日本を表現しながら、日本人が気付いていない良さを出そうと思ったからです」と日本での撮影にこだわったことを話した。

 20日(金)よりシネマート新宿、ユーロスペース他全国公開される。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。