SPE、バンダイナムコフィルムワークス配給『雪風 YUKIKAZE』の完成披露上映会が9日、TOHOシネマズ日比谷で開催され、出演の竹野内豊、玉木宏、奥平大兼、田中麗奈、藤本隆宏、三浦誠己、山内圭哉、川口貴弘、中林大樹、田中美央、脚本の長谷川康夫、監督の山田敏久が舞台挨拶を行った。
同作は太平洋戦争中に実在し、戦場の海から命を救い続けた駆逐艦「雪風」の史実に基づく物語。脚本は『亡国のイージス』、『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』などの長谷川康夫。監督は山田敏久。製作プロダクションはデスティニー。
脚本を手掛けた長谷川は、「今日は脚本ということではなく、映画の全スタッフの代表としてここに立っている。撮影、照明、録音など山ほどパートがあり、そのリーダーたちは全員、何年も何作にもわたって、1人のプロデューサー(小滝祥平氏)のもと一緒にやってきた面々で、その一員として助監督をずっと務めてきた山田(敏久)監督の初めての映画ということもあり、集大成という思いで、ここにいらっしゃる俳優さんたちと一緒に作り上げた。2時間ジャスト、楽しんで頂ければ嬉しい」と語り、山田監督も「初監督でこのような大きな作品を任せて頂き、責任の重さを感じている。スタッフキャストの皆さんに助けられながら、一日一日、1シーン1シーン、1カット1カット、心を込めて撮った」と、それぞれが心のこもった挨拶を行った。
「雪風」の艦長・寺澤一利役を演じた竹野内は「自国を守るために、最前線に出ていく駆逐艦の艦長の責任の重さは、役作りをする上でどんなに考えても答えを見い出せずに撮影に突入したが、実際に始まってみると、皆さんの一致団結した姿に支えられ、いつの間にか艦長にして頂けた」と撮影を振り返り、「資料や体験談から学ぶことはできても、本当の戦争の恐ろしさは知ることができないと思う。だが、当時を生きた人々の心情を、映画で一緒に体感することで、より深く当時の情景を皆さんの心に深く残せるのではないかと思い、一丸となって心を込めて作った。多くの方々に広くこの映画が伝わることを切に願っている」とアピールした。
また、このイベントの陰の立役者だったのは、MCを務めたニッポン放送でパーソナリティーを務めている上柳昌彦氏。ベテランらしい落ち着いた口調と、作品への深い理解をもとにしたキャストの役柄紹介を交えながら、多くの登壇者から限られた時間内でバランス良くコメントを引き出し会場を魅了した。登壇者の呼び込み前には「この映画のプロデューサーである小滝祥平さんとは40数年来の友人で、『上ちゃん、今回の映画いいんだ!』と聞き、私も2回観た。映画では、戦争の責任者が会議をするシーンが出てくるが、戦時中にこんな言葉が交わされていたのか?と思い、彼(小滝氏)に聞いたところ、実際にその会議に参加していた方が、発言者とその内容を克明に記録していたものが残っていたそう。そういうものを基にした内容であり、そういったところもぜひご覧になって頂きたい」など、上映前の客席に向けて作品の魅力を存分に伝える姿が光った。
(取材 平池由典)