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東映『ディア・ストレンジャー』披露で監督「自分でも震えるような映画」

【FREE】東映『ディア・ストレンジャー』披露で監督「自分でも震えるような映画」

2025年08月07日
閉館した丸の内TOEIで『ディア・ストレンジャー』の記者会見開催 閉館した丸の内TOEIで『ディア・ストレンジャー』の記者会見開催

 東映配給、日台米合作映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の完成報告会見が5日(火)行われ、真利子哲也監督、出演の西島秀俊、グイ・ルンメイが登壇。作品には“廃墟”が重要な要素として登場していることから、7月27日に閉館した「丸の内TOEI①」が会見の会場として使用された。

 同作は、ニューヨークを舞台に、息子の誘拐事件をきっかけにあるアジア人夫婦が抱える秘密が浮き彫りとなり、崩壊していく家族を描いたヒューマンサスペンス。全編ニューヨークでロケが行われ、台詞は90%以上が英語の挑戦的な作品となった。真利子監督は2019年にハーバード大学の客員研究員としてボストンに滞在し、その後シカゴで短編映画『Before Anyone Else』を撮影。そして今作でNYロケの長編映画を実現した。オリジナル脚本の今作について、監督は「1年間アメリカに滞在し、その後コロナが起きて世界が一変して、すごく大事なものや日常が失われた体験を皆さんしていると思うので、それをきっかけに夫婦の愛を描きたいと思った」と企画の経緯を説明。ほぼ全編が英語での会話だったが、「お互いを想い合っているからこそ、すれ違ってしまう夫婦の関係を描きたかった。その時に、(夫婦が日本語・中国語以外の)第三言語である英語を共通語として使っているため、言いたいことを言っているけど少しすれ違うといったことを描く際に英語はすごく有効だった」と狙いを語った。

 真利子監督と初タッグとなった西島は、出演を決めた理由について「真利子監督のファンだったのでご一緒したかった。文化の衝突、家族関係の難しさという、みんなが直面して、まだ解決策が見つかっていないテーマが多く含まれている脚本だったので、撮影を通して自分自身もその問題に向き合ってみたいと思った」とコメント。また、共演したグイ・ルンメイについて「全てを作品に投げ出す方。休みの日も役に集中し、撮影で何度も『もう1回』ということがあっても、集中力を全く切らさない。どういう演技、どういう俳優が理想かを改めて自分で見つめ直す機会を与えてくれた素晴らしい俳優」と絶賛した。一方のルンメイは「廃墟を舞台とし、パペットも登場し、こういった手法を用いて役柄の世界を表現しようとするところに心惹かれた」と出演の決め手を明かし、西島について「見た目は落ち着いていて冷静だが、心の中には無尽のエネルギーを持っている方。毎回微妙に演技やリアクションが違って、毎回異なるエネルギーを浴びられる。このような俳優と共演できることは幸せ」と刺激を受けたことを熱弁した。

 最後に真利子監督は「不思議なことに、(作品を)見る人の立場や状況によって色々な印象がある映画。見た人と一緒に語り合うのもいいのかなと思っている。ラストシークエンスなど、自分でも震えるような映画になっているのでお楽しみください」と自信を覗かせた。9月12日(金)からTOHOシネマズシャンテほか全国公開。

 (取材 平池由典)
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。