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帝国DB調査、24年アニメ制作市場規模は過去最高記録

【FREE】帝国DB調査、24年アニメ制作市場規模は過去最高記録

2025年08月21日
 帝国データバンクでは、信用調査報告書ファイル「CCR」(200万社収録)ほか外部情報をもとに、アニメ制作会社を対象とした業界調査を実施し、その結果を15日発表した。同様の調査は2024年8月に続き10回目となる。

 それによると、2024年におけるアニメ制作業界の市場規模(事業者売上高ベース)は、前年(3482億6000万円)を4・0%上回る3621億4200万円となり、市場規模過去最高を更新した。テレビ・映画・動画配信サービスなど複数のプラットフォームでアニメ制作需要が旺盛だったほか、元請制作では二次利用を含むライセンス(IP)事業が好調で、多くの制作会社が増収または前年並みの売上高を維持した。2025年は「4000億円への到達も想定される」としている。

 制作会社1社当たりの平均売上(収入)高は12億3200万円だった。コロナ禍で一旦は減少したものの、2021年以降は4年連続で増加し、集計可能な2000年以降で最高を更新した。「元請・グロス請」で増加が顕著な一方、下請となる「専門スタジオ」では小幅の伸びにとどまるなど制作態様によって格差もあるものの、全体では売上高の増加傾向が続いた。増収の会社は37・2%、前年並みは41・8%、減収は20・9%。損益面では、増益が42・9%、赤字は33・9%。赤字の会社はコロナ禍以降の5年間では最少となった。

 制作態様別にみると、直接制作を受託・完成させる能力を持つ「元請・グロス請」では、2024年の平均売上高は27億4900万円で、前年を約1億8600万円上回り過去最高を更新。一方で、赤字・減益の「業績悪化」の会社の割合は60・0%を占め、3年ぶりに6割台にアップ。売上高の伸びを上回る制作コスト高に直面し、収益力が大幅に悪化した。

 下請としてアニメ制作に携わる「専門スタジオ」では、2024年の平均売上高は4億3800万円となり、4年連続で前年を上回り、17年ぶりに4億円台に回復。増益の会社が45・6%を占め、過去10年間では2018年(46・8%)に次ぐ高さとなった。デジタル作画やCG制作に強みのある制作会社の業況が好調で、中国・台湾のスマホゲーム業界から受注を増やすケースもみられた。

 なお、2025年7月時点で国内にアニメ制作会社は293社判明し、前年調査(317社)から24社減少した。小規模な事業者を中心に廃業、倒産などが多くみられたほか、アニメ制作会社による経営統合の動きが活発で、調査対象社数としては減少した。従業員規模では、最も多かったのは「20人以下」(82社)で、「5人以下」(76社)を上回った。なお、2025年7月調査時点のアニメ制作業における従業員総数は1万3492人(前年比1214人増)だった。
※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。