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キング、ウクレレ奏者・名渡山遼メジャー10周年AL発売

【FREE】キング、ウクレレ奏者・名渡山遼メジャー10周年AL発売

2026年07月10日
ウクレレも自作、手にしているのは最新2024年に完成した12本目 ウクレレも自作、手にしているのは最新2024年に完成した12本目

 ウクレレ奏者の名渡山遼が、メジャーデビュー10周年記念アルバム「Beyond the Rainbow」(キングレコード)を6月24日に発売した。前作を超えなければならないというプレッシャーから、納得のいく曲が書けず、制作に集中するため家族をおいてイギリスへ。書きためた約40曲をレコーディングのわずか1週間前に捨て、ゼロから作り直した。転機は息子との散歩。「いい音を出すため」という大義名分で自らを正当化し、日常を離れて作った曲は、音色はきれいでも「独りよがりの音」になっていたと気づいた。

■前作を超えなければ…

 今作は、新曲3曲とカバー曲を収めたディスク1、メジャーデビュー以降のオリジナル曲を集めたディスク2のCD2枚組。

 アルバムより先に10周年記念コンサート「Major Debut 10th Anniversary Ryo’s Uke Journey~Beyond the Rainbow~」(7月12日、東京・よみうり大手町ホール)の開催が決まっていた。タイトルは、コンサートの題名を踏襲。ウクレレ活動20周年を記念して発表した前作「Brand New Rainbow」(2024年)を受けて「みんなで架けた20周年の虹の向こう側の景色を、みんなで一緒に見に行こう」という意味を込めた。

 虹を越えるには、前作を超えなければならない。その思いがプレッシャーになった。「前作ではスラスラと曲も書けて、アレンジも時間をかければかけるほど良くなり、ストリングスオーケストラのような規模感のアレンジにしました」。ウクレレ音楽としては「やれるだけのことはやれた」と感じていたため「コンチェルトを書くくらいの意気込みでないと、前作を超えられないのではないかと思い、大層な虹を追いかけてしまいました」。作りたい音楽を見失い、納得のいく曲が書けなくなった。作曲に集中するため、今年2月、家族をおいてイギリスに渡った。

■わずか1週間前に決断


 しかし、そうして書きためた約40曲をレコーディングの1週間前にすべて捨てた。ストリングスまで書き上げ、「このままリリースできるのではないか」というレベルの音源が何曲もあった。

 捨てた理由は、曲の出来ではなかった。爪で楽器を弾くため、制作期間中は爪に良くない水回りの家事などを避けていた。「いい音を出すため」という大義名分で自分を正当化していた。「家族に『制作期間中だから静かにして』と言って、扉を閉めて作った曲には何の価値もないなと思い、思い切って全部やり直しました」。出来上がった曲は「独りよがりの音」になっていたと気づいた。

■転機は息子との散歩

 やり直しの時期は部屋にこもらず、子どもたちとヨモギを摘んで草餅を作ったり、家中を掃除したりした。転機は息子との散歩。飼っているリクガメの好物のタンポポを息子が見つけ、摘み始めた。「『そういえばこの創作期間の3、4カ月、こういうことを全くしていなかったな。なぜ忘れてしまっていたんだろう』と考えたら、ふわっと曲ができて、そこから広がっていきました」。

 こうしてアルバムの幕を開ける新曲「Nemophila(ネモフィラ)」が生まれた。「青い海のような広い心、そして穏やかな、ありふれた日常が一番大切で、それを大事にしていきたいという思いが込められています」。

 新曲3曲「Nemophila」「Treasure(トレジャー)」「Iris(イリス)」は、レコーディング直前の1週間で書き上げた。「Treasure」の完成は録音当日の朝4時。この1週間はほとんど寝ず、2週間で体重が12キロ落ちた。それでも「本当に『奇跡の3曲』ですし、ものすごく気に入っています。もう一度スタートラインに立てた気がします」。

■10年と向き合った選曲

 ディスク1には縁のあるカバー曲を収めた。イーグルスの「Desperado」は、父親が好きな曲で「弾いてくれ」と言われ、自分で音を探してアレンジした最初の曲。坂本九の「心の瞳」には、中学校の卒業式で歌った思い出がある。選曲にあたっては、多くの人が馴染みのある曲を「ウクレレで弾くとこうなるんだ」という新たな可能性や、音色の美しさが光る曲を選んだ。

 ディスク2の12曲は、メジャーデビュー以降に発表したアルバムの中から「ずっと応援してくださっている方にも、初めて聴く方にも名渡山遼のすべてが伝わるように過去作から凝縮した」。一方、「変化していくことも大切ですが、当時の気持ちを忘れないことも大事だと思い『このときの気持ちを忘れてはいけない』という曲をセレクトしました」。結果、自分自身のための選曲にもなった。

■7月12日、節目の舞台

 7月12日のコンサートはピアノ、ベース、ドラム、ヴァイオリン、チェロの編成にドラムが加わり、さらにゲストとして2人組ギターインストゥルメンタルユニット「DEPAPEPE」の三浦拓也を迎える。三浦は、メジャーデビューアルバム「Made in Japan,To the World.」(2016年)の収録曲「Angel」をアレンジしてもらって以来、節目節目で共演してきた相手だ。「これまでファンと一緒に歩んできた10年間を振り返りつつ、これから僕がどんなことを一番大切にして、どんなメッセージを込めながら曲を書いていくかという、新たなスタートラインに立てるようなコンサートにしたいです」。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。