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「ペ・ヨンジュン3D」翁長裕監督に聞く

【FREE】「ペ・ヨンジュン3D」翁長裕監督に聞く

2010年12月16日

 ローソンエンターメディア配給の劇場版「ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム2009」のイベント上映が13~15日の3日間限定で、新宿ピカデリーで行われ、連日大盛況となった。同作品は、昨年9月に東京ドームで2日間にわたり行われ、延べ10万人が集結したイベント「アニメ『冬のソナタ』~もうひとつの物語~」と「『韓国の美をたどる旅』出版イベント」を、劇場版として3D映像で製作・上映するもの。今年5月より劇場公開し、全国各地で高稼働を見せた。現在上映中の長野グランドシネマズ(12月4~16日)でも好調に推移し、来年は再び全国で拡大上映する予定。

 今回、新宿ピカデリーでは各日午前10時から1回のみ上映。3回の上映で合計700名を動員した。上映後には、翁長裕(おなが・ゆたか)監督が3日間連続で舞台挨拶を行い、本作にかけた思いなどを語った。


~初の劇場版を手掛ける、翁長裕監督インタビュー~


 劇場版「ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム2009」の翁長裕監督が、3日間限定イベント上映終了後、本紙の独占インタビューに応じ、大要次のとおり語った。
 翁長監督は、カメラマンとして、音楽誌や写真グラビア誌を中心に活動。RCサクセションのオフィシャルカメラマンに抜擢されたことをきっかけに、渡辺美里、久保田利伸らのミュージッククリップやライブ映像を手掛けるなど、音楽映像の世界に進出。以降、BLANKEY JET CITY、中島みゆき、GLAYら一流アーティストの映像を多数演出している。

――本作を監督することに決まった経緯は。

翁長裕監督.jpg翁長(右写真) 「東京ドームイベントの半年ほど前、本作のプロデューサーから『大物アーティストを3Dで撮る企画があり、これから監督を選定する。過去の作品やプロフィールを出してほしい』と言われたことが始まり。もともと立体映像が趣味だったこともあり、“3D”という言葉に食いついた。その後、正式に監督に決まったものの、当初は韓流に対する先入観のようなものが正直なところあった。しかし、ペ・ヨンジュンさんの人柄や純粋な思いが伝わってきて、目から鱗が落ちる感じで、先入観は消え去った」

――撮影、編集の流れは。

翁長 「昨年9月にイベントを撮影する時点で、まだ国内に3Dカメラの数が少なく、本当は10台以上欲しかったが、用意できたのは6台のみ。その代わりに“6席のスペシャルシート”として、良いカメラポジションを確保した。カメラが少ないからカット数も少ない、ご覧になる方の年齢層が高いはずなので、カットを早くつないだ映像は避けた方がよい。そういった条件がある中で、編集する上で意識したのは、長めのカットで、オーバーラップを多用し、クライアントの要望でもあったアップを多くすること。3D映像を見て気分が悪くなる方もおらず、リピーターの方が何人もいるという状況なので、受け入れてもらえたのかなと思っている」

――東京ドームでのイベントは、2日間で約3時間ずつ。計6時間のイベントを、103分の劇場版映像に仕上げた。

翁長 「今回の劇場版に採用しなかった映像が沢山ある。どの映像を残すかという選別の目、つまりは、私の感性が試されたようなもの。ペ・ヨンジュンさんはイベントで裏方に回り、韓国の伝統文化を紹介するガイド役を務めていた。だから、通常のライブイベントのように、単純に映像をつないでいくだけでは、この作品は成り立たない。ペ・ヨンジュンさんの伝えたいことは何なのか、彼と同じ目線になって映像作りを行った。劇場版の最後に流れる4分間の映像に、使用できなかった映像をPVのようにまとめた。これは私の日々の生業の作業であり、まさに別個の作品として作った。この4分間の映像を見てもらえれば、イベントの趣旨、つまりペ・ヨンジュンさんの云わんとすることが分かるようにしたつもりだ」

――3Dの効果は。

翁長 「今回は3Dという映像表現が、とても有効に働いたと感じる。あの東京ドームでの感動を追体験できるのは、3Dならではのこと。それに、ペ・ヨンジュンさんの息づかいまで伝わってきて、感じ取れるニュアンスも変わってくる。そういう怖ろしいくらいのリアリティがある」 

――今回の作品が、翁長監督にとって初の劇場公開作品。今後“映画”の方で仕事をすることはあるか。

翁長 「以前から、劇映画を1本くらいは作ってみたいという思いはある。私は沖縄県出身だが、これまでは“沖縄”をわざわざ出したくなかった。“沖縄”というだけで特別なスポットが当たってしまうもの。それがイヤだった。でも年齢を重ね今は53歳になり、最近では沖縄の文化など、地元のことに対して血が騒ぐようになった。映画を作るならば、今ある場所から見た沖縄をテーマにしたい。沖縄のことが好きになるような、後味の良いエンタテインメント作品を目指している。今、脚本を執筆しており、いつになるかは分からないが、実現できればと願っている。この作品は、3Dではなく、2Dで撮ることになるでしょう」

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。