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JIMCA、世界知的所有権の日にイベント

【FREE】JIMCA、世界知的所有権の日にイベント

2012年04月28日
スピーチするカート・トン氏 スピーチするカート・トン氏

 日本国際映画著作権協会(MPA/JIMCA)は、「世界知的所有権の日」である4月26日(木)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで記念上映会を開催。東宝東和の協力により「バトルシップ」を特別上映した。また、上映前には味村隆司JIMCA代表取締役と、カート・トン駐日米国臨時代理大使が登壇し、知的財産について理解を深めることを目的にスピーチを行った。同協会は同様のイベントを毎年この日に実施していく考え。

味村隆司氏の話
 「世界知的所有権の日」は、世界知的所有権機構(WIPO)が2000年に制定した記念日。日常生活における知的財産の重要性をご理解頂くとともに、芸術家・発明者といったクリエイターの人々の努力が世界の発展のために貢献したことを記念する日として制定された。日本では知名度は低いが、米国をはじめとして多くの国で記念イベントが行われている。
 今日の上映会が皆様に知的財産の重要性と映画制作者の映画にかける想いを改めて考えて頂ける機会になることを祈っている。

カート・トン氏の話
 知的財産権はクリエイターがその作品を販売することにより利益を得られる権利。どの産業にも存在し、著作権・特許権・商標権などを通じて保護されている。
 例えば「バトルシップ」を上映するユニバーサル映画は、この映画から収入を得る。そして、映画を制作、配給、上映した全ての人々、その中には高額な出演料の俳優もいれば、ロケ現場で弁当を配るスタッフもいて、彼らに報酬を払う。その後に残った利益を次の映画の資金にし、次世代の技術に投資する。映画収入が海賊版や違法犯罪によって減少すると、映画会社が成長できなくなり、将来への投資ができなくなる。
 違法な海賊版は今や、映画や音楽、ファッションに留まらず、偽物の医薬品や医療機器、自動車のブレーキやタイヤ、飛行機の部品にも及んでいる。このような知的財産権の侵害は全ての人を傷つける。消費者は安全でない偽物の製品を利用してしまうリスクがあるし、本物を製造するメーカーは将来のための投資ができなくなる。
 映画をファイル共有サイトから無料でダウンロード(DL)することの危険性は何だろうか? 実は皆さんが想像する以上の損害になる。09年から10年にかけての12カ月間で、日本における著作権侵害が経済に与える損害額は560億円以上になった。この損害額は2600人分の正規雇用が失われたと同じこと。日本における著作権侵害の71%はオンライン侵害で、海賊版DVDの販売より遥かに多い。店で万引きする人は少ないが、日本人の6人に1人は映画を違法DLしたことがあるという結果が出ている。米国では万引きも違法DLも日本より数が多く、日本をやり玉に挙げているわけではない。逆に良い知らせもある。日本で映画界と政府がそれぞれ行った調査によると、違法DLが誰かに損害を与えると認識すると、その人たちはあまり違法DLをしなくなる結果がでている。
 今日ご来場の皆さんは、友達に違法DLやファイル共有ソフトは被害者がない犯罪ではないと教えてほしい。その認識が広まれば、著作権の侵害が減り、全ての人の利益になる。

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。