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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.123】
「舟を編む」、見たいときに見られるように

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【大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.123】
「舟を編む」、見たいときに見られるように

2013年04月17日
 4月14日の午後、帰省した先のTOHOシネマズ浜松で、「舟を編む」を鑑賞した。前もって、前売り券を買っておいたのだが、その地に赴くと、当日はTOHOシネマズデーの1000円均一の入場料金であった。

 新宿ピカデリーに行く機会の多い私は、そんなこと、知るよしもない。損をしたなあ。と“対面式”の窓口に行くと、ネットで調べた上映開始時間が違っていた。午後12時40分の回のつもりで赴いたのに、何と開始は午後1時20分であった。日曜日だけ、上映時間が変更になっていたのである。こちらは、東京で用事があるのだ。さあ、どうするかとロビーで思案していたのだが、結局、意を決した。30分以上待って、その時間で見ることにしたのだった。

 やはり、映画って凄いな。映画を見続けていくにつれて、開始前のわだかまりが、きれいさっぱり消えていったではないか。映画が、素晴らしい出来栄えであったからである。映画の力は、環境をあっさりと覆す。これが、映画を見るときの醍醐味の一つでさえある。

 あ、ここは、シビアな興行コラムの場であったのを忘れていた。遅くなったが、本作の興行成績をお伝えしよう。4月13、14日の2日間で、全国動員9万3065人・興収1億1374万4400円(237スクリーン)。これは、少し足りないんじゃないかな。

 幾分堅苦しさをもつタイトルや、辞書を創る編集者たちの話と言ってしまうと、最初から、そんなに“かぶってくる”作品ではないのはわかる。ただ映画は、職種や世代、男女を超えた企業で働く人たちの感性に、強く訴えかけてくる内容になっていた。素晴らしさの大方はそこから派生しているから、今後、口コミが大きく期待できる気もするのだ。

 ただ一つ、注意しなければならないのは、これからの時期は、GW興行の作品が相次いで公開されるということである。今週、来週に話題作、注目作が揃ってくるのだが、そうなると少し経って、口コミがきいて映画を見たいと思った人たちが増えた段階で、それらGW興行の話題作、注目作が優先され、「舟を編む」の上映回数が減少してくるだろうことも、十分に考えられるのだ。

 見たいときに、上映されていない。これが、一番困る。本作の口コミ動向を、しっかりと把握して、劇場側には細心の上映の編成をしてもらいたい。それだけ、“万人向き”の面白い作品なのである。

(大高宏雄)

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