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【Vol.25】リアルDがTOHOシネマズで初の本格導入

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.25】リアルDがTOHOシネマズで初の本格導入

2013年12月05日
 TOHOシネマズららぽーと船橋(千葉県船橋市)が、11月22日にグランドオープンした。まだ足を運べていないのだが、劇場ロビーの写真を見て、目に留まったものがあった。それは「リアルD 3D」のロゴマーク。TOHOシネマズ独自規格の大スクリーン「TCX」、立体音響の「ドルビーアトモス」の両ロゴに並んで、リアルDのロゴがあったのだ。

 リアルD社は3D映画技術の世界最大手で、68カ国以上、約1千の興行会社の約2万2千スクリーンに技術を提供している。日本でもイオンエンターテイメント、ユナイテッド・シネマ、コロナなどと取引している。2011年2月には東京・有楽町に日本オフィスを開設し、日本国内でのリアルDの普及拡大を進めている。

 実は、リアルDの3DがTOHOシネマズに本格的に導入されるのは、今回の船橋が初めてのこと。リアルDにとっても宿願であり、米本社も大いに喜んでいるのではないだろうか。

 リアルDの3Dは、単発的にTOHOシネマズの劇場でも使用されてきた。本日夕刻、TOHOシネマズ六本木ヒルズの7番スクリーンで行われる『ゼロ・グラビティ』のジャパンプレミアでも採用されるという。通常は同館では別の3Dシステムを使っているが、今回は特別にリアルDの3Dが設置されるという。

 これまでに何度か、同様の一時的なリアルDの使用はあった。例えば、昨年12月に六本木ヒルズで開催の『ホビット 思いがけない冒険』のジャパンプレミア。この際には、ピーター・ジャクソン監督が「リアルDが我々の作品に3Dにおける世界最高技術を提供してくれて感謝している。リアルDが3D上映の体験を向上させるべく総力を上げて取り組んでいる姿勢が、私の最大の支えになった」とコメントを寄せている。3D上映はその暗さが隘路となるが、映画の作り手たちにとって、リアルDの3Dが持つ明るさが好材料となっているようだ。

 TOHOシネマズ日劇と六本木ヒルズの2サイトでは、昨年6月から9月までの期間限定でリアルDが導入される試みもあった。こうした歩みがあって、船橋への初導入が実現したのだ。リアルD社は声高にアピールをするわけではないが、船橋は重要な一歩になったのではないかと、私には感じられた。

 ちなみに、船橋の直後、11月28日にグランドオープンしたTOHOシネマズ市原(千葉県市原市)には、リアルDは導入されていない。リアルD、またTOHOシネマズの戦略が透けて見える気がする。



松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。





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