閲覧中のページ:トップ > 文化通信バラエティ > 映画部デスクの「映画興行あれこれ」 >

【Vol.29】イオンEがアンケート調査結果を一部公表

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

最新記事

【Vol.29】イオンEがアンケート調査結果を一部公表

2014年01月28日
 イオンエンターテイメントは1月17日から3日間、シネコンに関する意見収集を目的にアンケート調査を実施した。その結果が公表されたのだが、これがなかなか興味深い内容だった。

 今回の調査は、インターネット上で広く一般を対象に実施。20代~60代以上の男女計1200人余りが回答した。これまでも劇場来館者にCS調査等を行っていたというが、今回はより広い範囲からの声に耳を傾けようという明確な違いがあった。

 調査対象者を細かくみていくと、20代、30代、40代、50代、60代以上から各約240人、男女比は半々。

 (1)「回数」についての問い。昨年1年間に映画館で映画を見た回数は、「0回」が最多の57.8%。以下、「1~3回」が28.2%、「4~8回」が9.1%、「12回以上」が3.2%、「9~11回」が1.8%と続く。回数はさておき、4割以上は映画館で映画を見ていたということになる。

 (2)「映画館に行かない理由」についての問い。「見たい作品がない」14.5%、「映画館に行く時間がない」14.2%の二つが、1位と2位で肉薄。以下、「映画に興味がない」11.1%、「映画館が近くにない」8.2%、「一緒に行く人がいない」3.5%、「映画館がつまらない、或いは嫌い」1.7%など。「無回答」も42.2%あった。これらの回答のうち、映画館サイドの努力によって改善できるのは「映画館が近くにない」と「映画館がつまらない、或いは嫌い」の二つだろうか。製作や配給も含めた業界全体として、魅力ある作品を創出し、映画館を魅力的な場にして、おカネと時間を費やしてもらようにする必要性を感じる。

 また「0回」と回答した人の中で、「映画に興味がない」と答えたのは意外にも19%程度。裏を返せば、何かキッカケがあれば「0回」が「1回」や「2回」になる可能性を秘めているともいえる。

 (3)「誰と行くか」との問い。「1人」が最多で33.5%。「配偶者」が26.3%、「子ども・家族」が20%と続いた。ファミリーが多いのは納得。「1人」が多く、「恋人」が5.4%と少ないのが気になった。各世代の回答の内訳も知りたいところだ。

 (4)「見た映画のジャンル」の問いでは、上から「邦画ヒューマンドラマ」「洋画SFアクション(サスペンス、クライム含む)」「邦画アニメ」の順番。20代、30代は「邦画アニメ」が1位、40代以上は「邦画ヒューマンドラマ」が1位だった。「邦画アニメ」は一つのジャンルではあるけれど、実際は「アニメ」という一語ではとても言い表せない多様性がある。ただ、昨年、様々な邦画アニメ作品が好調な成績を上げたように、若い世代を中心に邦画アニメの裾野が広がっていることを証左しているのかもしれない。

 (5)「適正な上映時間」についての問いは、「90~120分」が過半数を占めた。

 ざっと結果をみてきたが、まず、このアンケート調査を行ったこと自体を評価したい。お客の声を積極的に聴こう、結果を生かし満足度をさらに高めようという意思が伝わってくる。一方で、注文もある。それは、すべての設問と回答を開示してほしいということ。いま一番センシティブな料金問題をはじめ、他にも設問があっただろうと推測される。出せるもの、出せないものがあるのは理解できるが、それでもやはりオープンにしてほしい。

 今回の調査結果が、どのようにイオンエンターテイメントの方向性に反映されていくのか。次のステップが同社にとっても、業界にとっても重要になる。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。





過去のタイトル一覧

2016年

1月│ 2月│ 3月│ 4月

2015年

1月│ 2月

2014年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2013年

4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月