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【Vol.30】消費増税で鑑賞料金改定の動き

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.30】消費増税で鑑賞料金改定の動き

2014年02月07日
 4月1日から消費税が5%から8%に上がる。それに伴い、映画の鑑賞料金がどのように変わるのか。現在、「業界最大の関心事」と言っても過言ではないだろう。

 今のところ、方針を発表したのはTOHOシネマズのみ。基本料金は据え置いて、各種割引料金を現行から100円引き上げるというもの。同社が先行して発表したのは、日経新聞で記事が出たという事情は勿論あるだろうが、興行最大手としての責任を果たすという意味合いも強く感じる。

 TOHOシネマズは数あるシミュレーションの中から、今回の料金設定を選択しているはず。同社は過去にテスト料金導入という施策も行っており、料金に関して社内にデータの蓄積があったとも言える。

 他の興行会社は、まだ4月以降の料金の方針を明らかにしていないが、各社とも順次発表するという話は聞こえてきた。TOHOシネマズに近いものになるのか、はたまた、全く別の料金体系が生まれるのか。注目だ。

 料金体系に正解はない。様々なパターンが考えられるだろうが、ざっと言うと、こんな感じだろうか。まずは、TOHOシネマズのように割引料金を上げるケース。それから、基本料金そのものを上げるケース(一般1800円を1900円にするなど)。これで税率3%分を吸収しようという考えだ。

 一方、料金をすべて据え置く、あるいは、実質的に値下げをするケースもあるかもしれない。据え置きや値下げの場合、どんな背景があるのか。

 分かりやすいのは、同一エリアでのシェアを拡大して、客単価のマイナスを動員増で補うということ。でも、どこまで新規の客を取り込めるかは正直言って分からず、不透明感が強い。むしろ、興行収入ではなく、別のものに力を入れる。たとえば動員を増やしてコンセッションで稼ぐ、広告営業にさらに力を入れる、入居先との連携によるイベントなどで集客力を高める。こういった重点の移動も考えられはしないか。

 この1カ月余りの間に、各社の方針が出揃うだろう。その違い、地域性はどうなるのか。実際にお客がどのような動きをするのか。しっかりと見定めたい。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。





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