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【Vol.32】コロナの果敢な挑戦、4DXとアイドル企画

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.32】コロナの果敢な挑戦、4DXとアイドル企画

2014年02月27日
 愛知県小牧市に本社を構えるコロナが、またまた活発な動きをみせている。先週から今週にかけて、2件のリリースがあった。その果敢なチャレンジに、大きな関心を持っている。

 ひとつは、同社が国内興行会社で唯一扱う最新上映システム「4DX」を、新たに福山コロナ(広島県福山市)に4月25日から導入するというもの。4DXは動く座席の効果、上映中の様々な演出効果の両方を組み合わせることで、見る者に臨場感抜群の映画鑑賞体験をもたらす。

 同社は昨年4月、中川コロナ(名古屋市)に国内で初めて4DXを導入。この時点から複数サイトでの展開をにらんでいたが、中川が予想以上の反響を得たことで、早々に2サイト目以降に着手した。昨年11月には小倉コロナ(北九州市)に導入し、今回の福山コロナが3サイト目となる。

 中川コロナでは、4DXで上映した作品が全国1位の興行成績を上げることもあったという。中川コロナ全体(全12スクリーン)への貢献度も大きく、2013年の年計は前年比2割ほど増えた模様だ。また、11月30日に稼働開始した小倉コロナ(全10スクリーン)の4DXは、中川コロナのような“爆発”はしていないものの、来場する客数が増えている実感がすでにあるという。

 今回、福山コロナ(全10スクリーン)への導入の際は、スクリーンを左右の壁から壁まで一面に広がるワイドスクリーンに張り替え、臨場感をさらに追及する。4月25日公開『アメイジング・スパイダーマン2』の4DX版(3D/字幕&吹替)でオープニングを迎えることになるが、あの映画を4DXで見たら、一体どんなことになってしまうのか。話題を呼びそうだ。

 もうひとつのリリースは、地元アイドル活性化プロジェクトと銘打った企画。コロナの映画館が立地する各地域の地元アイドルに、ライブなどの活動の場として映画館を提供し、地域を活性化させようという取り組みだ。単発のイベントではなく毎週、または毎月定例で行うことで、地域にアイドル文化を根づかせていくという。この「定例で行う」というのがミソだろう。

 すでに2サイトで開始。大垣コロナ(岐阜県大垣市)は2月22日に実施し、キャパ101席のうち75席が埋まった。中川コロナは同23日に実施し、キャパ275席が完売した。今後は金沢コロナ(金沢市)が3月から、小倉コロナと福井コロナ(福井市)が4月から始動し、その他のサイトも随時開始する。

 とにかく色々なことにチャレンジしてみようというコロナの姿勢には、好感を覚える。昨年、立体音響のAURO11.1を安城コロナ(愛知県安城市)に導入したことも記憶に新しい。東京でもなく、大阪でもなく、愛知県とはいっても名古屋ではないという立ち位置が、同社が柔軟に、そして自由度を持って動くことを後押ししているのではないか…そんなふうにも思える。次にどんな手を繰り出すのか。ワクワクさせる挑戦を大いに歓迎したい。そして、「映画館人口」の底上げに是非ともつなげてほしい。



松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。





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