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【Vol.33】3月に劇場オープン、増床などが集中

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.33】3月に劇場オープン、増床などが集中

2014年03月12日
 この3月、全国各地で映画館のオープン関係の動きが相次ぐ。ここで一度、整理したい。

 まず、シネコンの新規オープンが4カ所ある。本日12日(水)にオープンしたのが、TOHOシネマズくずはモール。京阪本線の樟葉駅前にある「KUZUHA MALL」の増床計画に伴い、シネコンも入居することが決まった。10スクリーン、約2千席。TOHOシネマズ独自規格のラージスクリーンTCX(TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN)とドルビーの革新的シネマ音響ドルビーアトモスを関西で初めて導入する。同じ大阪府枚方市内のシネプレックス枚方をはじめ、競合館もある。

 続いて、16日(日)にグランドオープンするのがイオンシネマ和歌山。和歌山市北部で開発が進む学園都市「ふじと台」に誕生するイオンモール和歌山に10スクリーン、約1800席。イオンエンターテイメントが推し進める「ULTIRA×ドルビーアトモス」の設備を、昨年12月開業の幕張新都心に次いで導入。動く座席D-BOXも含め「関西初」を訴える。一昨年に開業した和歌山大学前駅がモールと直結し、来年には第2阪和国道・和歌山岬道路が開通。電車でも車でもアクセスがしやすいため、かなり広域からの集客が見込まれ、和歌山県内唯一のシネコン、ジストシネマ和歌山だけでなく、大阪府内の劇場も影響を受けるかもしれない。

 20日(木)には、大きな注目を集めるTOHOシネマズ日本橋がいよいよ開業。三井不動産が開発を手掛けたCOREDO室町2に、9スクリーン、約1800席の規模で入居する。くずはモールと同様にTCXとドルビーアトモスを入れる他、豪華な座席であるプレミアムボックスシートを一部に導入する。日本屈指のビジネス街で、街を訪れる人の年齢層が高いイメージもある日本橋だが、どんな映画館になるのか、楽しみだ。どんな客層が来場するのか、週末と平日の比率はどうなるのか、銀座・有楽町・日比谷エリアをはじめ他の興行エリアにどんな影響が出るのか、三井不と協力し施設としてどんな色を出すのか・・・興味は尽きない。

 4つ目は山形県天童市、イオンシネマ天童が21日(金・祝)にオープンする。入居先のイオンモール天童は、国道13号線と48号線の結節点に隣接。この地は山形市のベッドタウンとして、宅地化が進んでいるという。9スクリーン、約1500席で、平日の旧作見放題サービス「シネパス」を行うなど、サービスの向上を図る。手元の資料で調べてみると、東北地方でシネコンがオープンするのは実に5年半ぶり。旧イオンシネマズが2008年10月に開業したイオンシネマ大曲(秋田県大仙市)以来となる。モールともども、地域の賑わいに貢献してほしい。

 天童と同じ21日には、池袋ヒューマックスシネマズが2スクリーンを増設する。また、新規オープンではないが、少しさかのぼって3月1日(土)には東京・新宿でテアトル新宿がリニューアルオープンし、大阪・梅田でシネ・リーブル梅田が増床(撤退したガーデンシネマを継承)し、従来の2スクリーンから4スクリーンになった。

 こうしたオープンや増館、リニューアルが3月に集中したのは、ただの偶然なのか。それとも、後から振り返ってみた時、このタイミングで各社各館がこうした手を打つ必然性があったことになるのか。もちろん今はまだ分からないが、ここ2年ほどの、シネコン再編を含めた興行をめぐる動きの中でとらえていく必要はあるだろう。



松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。




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