閲覧中のページ:トップ > 文化通信バラエティ > 映画部デスクの「映画興行あれこれ」 >

【Vol.34】イオンEがレディスデイ終了、新サービス開始

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

最新記事

【Vol.34】イオンEがレディスデイ終了、新サービス開始

2014年03月20日
 4月1日からの消費税率アップに伴い、興行各社が料金改定を公表している。全国津々浦々までは確認できていないが、興行大手についてはある程度出そろったようだ。

 おさらいをすると、先陣を切って1月末に改定を公表したのがTOHOシネマズだった。料金全体での適正な転嫁となるように、基本料金(一般、大学、高校、中学、小学、幼児)は現行のままとし、各種割引料金を変更する。具体的には、各種割引を100円ずつ上げるという内容だった。

 その後、他の興行大手も順次発表している。松竹マルチプレックスシアターズ、ティ・ジョイ、東急レクリエーション、ユナイテッド・シネマ、佐々木興業など、各社で表現に違いはあるものの、基本姿勢はTOHOシネマズと同じ。基本料金は据え置き、各種割引・サービス料金を100円ずつ引き上げる。若干の違いとして、会員のサービスデーを新たに始める会社があったり、高校生料金を1500円から1000円に引き下げる劇場があったり。会員向け割引料金を据え置くか、100円上げるか…。こういった各社各劇場の違いはあるものの、大筋では変わらないと言える。

 一方、独自性を打ち出したのがイオンエンターテイメント。イオンについては以前、一部報道で、サービス料金も含め料金を据え置くとの観測が出たこともあり、正式なアナウンスが注目されていた。

 実際、どうだったか。まず、一般、大高生、中小、幼児などの基本料金は変更しない。これは、他社と同じ。その上で、ファーストデイ、レディスデイ、レイトショー、シニア割引、夫婦50割引など、従来の全てのサービスを3月31日で終了する。それに代わって、4月1日より次の新サービスを開始する。

▽ハッピーファースト=毎月1日は誰でも1100円
▽ハッピーマンデー=毎週月曜日は誰でも1100円
▽ハッピー55=毎日55歳以上は1100円
▽ハッピーモーニング=平日朝1回目は1300円
▽ハッピーナイト=毎日20時以降の上映は1300円

 この新サービスには、いくつかポイントがあるように思う。

 よく見てみると、一部のサービスは、従来から名称を変更した上で、料金を他社と同様100円ずつ上げていることがわかる。毎月1日は1000円から1100円になる。毎日20時以降は1200円から1300円になる。一部の劇場で実施していた平日初回(月~金、または特定の曜日)の割引を、全劇場を対象に平日は毎日1300円で実施する。

 特に重要ポイントとなりそうなのが、従来は月曜か水曜だったレディスデイを完全になくし、代わりに月曜を男女問わず誰でも1100円にすること。もう一点、60歳以上が1000円だったシニア割引を終了し、新たに55歳以上を1100円すること。

 レディスデイに狙いを定めて映画を見ていた女性は、月曜日に見るとして単純に100円上がる。月曜日が男女とも1100円になり、男性としてはお得感がある。だが3連休の時は別にして、普通の月曜日に映画館に行ける男性がどれだけいるのか。

 また、年配者割引の対象年齢を、従来の60歳から55歳に引き下げたことで、55歳~59歳はお得なようにみえる。反面、夫婦50割引をよく利用する55~59歳にとっては、従来は二人で2000円だったので値上がりになる。ちなみに、イオングループは「55歳以上=グランド・ジェネレーション(G.G)」として、この世代に向けた取り組みを強化している。

 このように見ていくと、性別や年齢、劇場に行く曜日や時間帯、頻度、誰と行くかなど、一人ひとりの抱える条件によって、新サービスに対する印象は違ってくる。この新サービス、観客の動きにどんな影響を与えるだろうか。



松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味はスポーツ観戦、読書。





過去のタイトル一覧

2016年

1月│ 2月│ 3月│ 4月

2015年

1月│ 2月

2014年

1月│ 2月│ 3月│ 4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月

2013年

4月│ 5月│ 6月│ 7月│ 8月│ 9月│ 10月│ 11月│ 12月