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【Vol.37】名古屋に3カ所目のイオンシネマ

映画部デスクの「映画興行あれこれ」

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【Vol.37】名古屋に3カ所目のイオンシネマ

2014年04月21日
 イオンエンターテイメントが、新劇場「イオンシネマ名古屋茶屋」のオープンを発表した。6月27日にオープンする「イオンモール名古屋茶屋」の中に、12スクリーン、約1800席の規模で出店する。

 設備としては、同社独自企画の大型スクリーン「ウルティラ」、立体音響システム「ドルビーアトモス」、映画のシーンに連動して動く座席「D-BOX」を導入するという。この充実した設備ぶりから、同社の新劇場への力の入れ具合が伝わっている。

 同社は近年、これらの設備の導入を進めてきた。それぞれの導入サイトを復習してみる。

 ウルティラとD-BOXは2010年から同時に導入を始めた。新館だった大高への導入を皮切りに、改装のうえ港北ニュータウンに、その後2013年に新館の春日部、幕張新都心、今年3月の和歌山まで導入を完了。今回の名古屋茶屋で6カ所目となる。

 一方、ドルビーアトモスは昨年12月の幕張新都心で初導入し、続いて和歌山に。名古屋茶屋が3カ所目となる。

 同社にとってのこれらの設備、ここでは3点セットを言ってしまうが、3点セットを導入するのは、幕張新都心、和歌山、そして名古屋茶屋の3サイトだけ。競合の程度や立地条件などが導入の判断材料になるのだろう。ちなみに、昨年から今年にかけてオープンした三重県の東員、山形県の天童には、3点セットのいずれも導入していない。

 名古屋茶屋については、相当、競合を意識していると感じる。主な競合館は、中川コロナシネマワールド、TOHOシネマズ名古屋ベイシティの2つになりそう。両館とも昨年は成績を伸ばしている。特に中川コロナは、4DXの集客効果が大きかったのだろう、2ケタも伸ばした。

 地図で距離を測定すると、名古屋茶屋を基点にした場合、中川コロナは北へ2キロ前後、ベイシティは東へ4キロ前後しか離れていない。

 名古屋茶屋のスクリーン数は12で、イオンシネマの中で最多タイになった。中川コロナ、ベイシティがともに12スクリーンであり、両館に揃えたのだろう。一方で、座席数は約1800席と標準的なレベルだ(ベイシティ=2671席、中川コロナ=1607席)。3点セットの導入も当然、競合館を意識しているはずだ。

 今回の名古屋茶屋の出店にあたり、もう一つ注目しているのが、名古屋市内におけるイオンシネマ各館の位置関係。名古屋茶屋は市内で3カ所目のイオンシネマ。名古屋駅を基点にすると、ワンダーは北に10キロほど、大高は南東に12キロほど、名古屋茶屋は南西に9キロほど離れている。市の中心部を取り囲むように立地し、既存のワンダー、大高はともに安定した成績を上げている。

 ここに名古屋茶屋が加わり、同社の業績にどのように貢献するのか。市内には他にもシネコン建設の計画が複数あり、名古屋エリアにおける各社各館の勢力図が今後大きく変わっていく可能性もある。




松本 貴則(まつもと・たかのり)  映画部デスク 兼 サイト事業部所属

2000年、シネコン担当記者として入社。その後、配給会社などへも取材範囲を広げるが、取材のベースは興行に置いている。2011年から映画部デスク。趣味は空手、サッカー、野球、スポーツ観戦、読書。





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